シェア
私の住む街には大きな浄水場があって、そこには巨大な白い建物がどっしりと構えている。街の…
そこはだだ草っぱらが広がり、手前にやたらと新しい小さな案内看板が据え付けてあるだけだっ…
買い物帰りに、自転車を漕ぐ。市街地を抜けると、のどかな田園風景が広がっていた。稲を刈り…
その日は朝から雨が降っていて、漠然とした不安が幼い心を曇らせた。 知世は、ふいに教室…
近くのため池に、カワセミがいるらしい――。 その話を聞いたとき、私は半信半疑だった。…
夏、無機質な都会を離れ、この別荘で過ごす時間は、とてもゆったりとしていた。それでも飽き…
あの宏香が結婚したらしい、と風の便りに聞いたのは、私が五年勤めた省庁をうつ病で退職したその日だった。 私は、言葉が出なかった。宏香が晴れ晴れしく新たなスタートを切った一方で、私は日々の激務から体調を崩し、本日をもって退職するまでに至ったのだ。 同じ中学校に通っていた宏香は、「報われない子」だった。真面目に授業を受け、課題も毎日かかさず提出していたのに、成績はいつまで経ってもパッとしなかった。一度教科書を読めばその内容のほとんどを理解し、勉強した分だけ良い結果を残すこと
すでに葉桜となったそれを見上げると、風に吹かれざわめく葉の隙間から日の光がちらちらと見…
両親は共働きで、家にいないことの方が多かった。 今日も、家にひとり。夜、塾から帰って…
「ひとつあげる」 部活帰り、音楽室を出ると、廊下で待っていた萌々香が飴をくれた。夕日を…
毎日、休み時間に練習するんだけども、全然うまくいかん。勢いづくために数回跳んで、その後…
クイーンズタウンのハンバーガーはとても大きくて、食べ終えるのに何時間もかかってしまった…
得体の知れない黒の中。気づいたら、僕はここにいた。自分がどこの誰なのか、どこから来たの…
昔、僕がまだ小さかった頃、お兄ちゃんはよく僕の顔を覗き込んだ。僕の目をまっすぐ見て、ニカッと笑ってこう言った。 「お前の目には、まだ何も映っていないんだね。まっさらで、とてもきれいだ。でもね、この世界には、もっときれいな目がたくさんあるんだよ」 それがどういうことなのかよく分からなかったけど、どうしても忘れられなかった。 こうして僕は今、きれいな目を探しに旅に出ようとしている――。 僕の名前は、コリン。ももいろはりねずみの、コリン。僕は自分のことを、立派なはりねずみ