長編小説 雨粒のひかり 【1.モラトリアム】 2018年5月
2018年5月12日 晴れ
「若宮ひかりさん」と名前を呼ばれて、そんな風に呼ばれるのなんて久しぶりだから、すごくくすぐったくて、ついに社会復帰できるんだって実感が湧いてきた。
就労支援をしているNPO法人に派遣社員の仕事を紹介してもらうことになって、名古屋のカフェで面談。約束の時間より少し早めに行くと、すでに先客と話し込んでいて、私の番になるまで1時間ぐらい待った。
面談といっても、堅苦しいものではなかった。申込み用紙に名前と住所と電話番号、メールアドレスを書いて、既往