自然が教えてくれる
本日は、天気も良く当事業所を利用する子を連れ登山に行ってきました。
登山といってもほんの10分で登れる小さな小さな山ですが。
登山に行くことになった経緯は色々あったのですが
ADHA傾向の強いAくんは、集団の場となると衝動的にお友達に手を挙げてしまう、強い言葉をお友達に吐いてしまう、遊びが限定されており持続しない、などの特性が強いお子さんです。
また、幼少期の家族からのDV経験などもあり愛着も十分ではなく、人の感情を感じることや表現することがちょっと苦手。人に強くあたる一面もあればちょっぴり自信の無さもうかがえる、そんなお子さん。
なにかAくんがうちの事業所を利用している時にがっつり満足感や充足感を得て家に帰れないかな?と考え、今回は登山をして山の上でカップラーメンを食べよう!と企画し、いってきました。
昨日、「ちょっと話があるんやけど、、、明日さ、山に登ってみらん?」
「山登り?」
「そうそう、でさ、山登って、そこでカップラーメン食べようぜ」
「カップラーメン!!行きたい!!!」
カップラーメンのワードでテンションマックスになったAくん。
お母さまにも事情を説明し同意を得た上で、登山が決定した。
今日お迎えに行くとすごいワクワクした表情。とても楽しみにしていたようです。
準備を行い、いざ出発。
もちろん山道のため、そんなに広くない道や急な階段、突然ヘビが出てくる可能性も無きにしもあらず、100%安全とは言えない環境でもあり、そんな中Aくんはこちら側の指示が入るのか?色々なリスクを予測をした上で登山を出発しました。
足元が滑りやすそうな箇所では「滑るかもしれないから気を付けてね」
「あまり端っこの方は歩かないようにね」
「木の棒は振り回さないでね!先生に当たって痛いから笑」
と確認の声掛けを行っていましたが、しっかりと聞き入れるAくん。
事業所で過ごす時は、中々このような声掛けが入り難いAくん。
事業所で過ごす時は別人のように声掛けをしっかり聞き、自分なりに注意をしながら歩みを進めるAくん。
「先生!見てこれ!」
山道に生えていたキノコや初めて見るような蜘蛛を捕まえては生きいきした表情で教えてくれます。
山頂に到着すると景色を楽しむのは一瞬でバッタ捕り大会がスタート。
5分程で15匹くらいゲット笑
その後はお楽しみのカップラーメン。
同行した先生が用意したガスバーナーでお湯を沸かす。
Aくんは「俺が空けてあげる!」と自らカップラーメンの袋を剥がしてくれる。
お湯を注ぎ、完成までの3分間はまたバッタ捕り笑
3分のタイマーがなり、みんなでいただきます。
「うわぁ~いい匂い」
「うめぇ~!」
何回も何回も言ってるそんなAくんの表情は今まで事業所での関わりでは見えていなかったそんな表情でした。
一時すると
「風が気持ちいいね」
と周囲を見ながら穏やかな表情で伝えてくれました。
楽しそうなAくんにとってこの登山はどんな思い出になったかな。
私自身、Aくんの新たな一面を見る事ができた思い出に残る登山になりました。
人間誰だって苦手な事やできない事はたくさんあります。でも良い所や素晴らしい所って必ず人間は持っている。
社会や環境の影響で左右されるものって結構でかい。
物的環境や人的環境、その人を取り巻くものに視点を向け、アプローチを行っていく。これはとても重要でありその人の可能性を広げるものでもある。
どうにか、今回の経験がAくんにとって一つの思い出に残ってほしいなと感じました。
特に私たちが特別な何かをしたわけではなく、自然が色々なことを教えてくれた、そんな気がしました。
森や土の匂い、葉っぱの感触、空気、風に揺られる木々の音、五感に心地よく伝わることは子どもの発達や情緒面にとって、とても重要な点でもあります。
自然はすごいな。
下山し事業所に帰ってからも穏やかに過ごし、お友達とも遊べたAくん。
下山の最後の最後で、転んでしまったけど笑
「この傷も先生に教えてあげる!」
とポジティブなAくん。
可能性は無限大。
この経験をAくんと一緒に大切にしながらこれからも頑張ろう。