ノックダウンはしない
私は元々作業療法士として医療介護分野で働いていた。
現在は福祉分野で作業療法士として働く一面とある一件から経営者としての一面を併せ仕事をするようになった。
もちろん元々は経営に携わることは無く、なんとなくのイメージは持っていたが、今回急遽経営についてのスキルが必要な立場になってしまった。
幸いにも、経営関連を指導していただける環境でもあり、日々頭を悩ませながら、よりクリーンな経営を行っていくために奔走している。
この指導をしてくれる方は、もちろん医療介護福祉の専門家ではなく、経営ビジネスの専門家である。
その方から言われるのは「結果」を出すことである。
この結果の概念についてよく悩むことが多い。なぜ悩むのか
それは作業療法士というリハビリテーション専門職とビジネスとの「結果の捉え方」が若干違う部分にあると考えている。
今は、似通う部分であり双方重要度は高く、どちらも目を瞑ることはできないものである感覚は何となく身体に染みつつある。しかし、当初は頭が痛かった。
リハビリテーションの中での結果とは、障害を負った機能の改善度をはじめ、残存機能を活かし病前の生活にどれだけ近づけることができるか。また、その人の心をどのように自発的に主体的に変化させていくのか。
認知機能や身体機能が低下しないよう維持し、より健康に過ごせる日々をつくっていくか。
各期(急性期、回復期、生活期、終末期など)によったり、または患者さん一人一人の性格や環境因子、病態のレベルなどにより結果の概念は多少なり異なるものではあります。
ざっくりいうと私たちの関わりの中でその方の今後・将来にどれだけ希望を持たせることができるか。と私は思う。
(これはあくまでも私の主観的な考えですのでこれが正しいというわけではありません)
ビジネスでの結果というと、こちらもざっくりですが利益を出すか出さないかというシンプルなもの。このシンプルが奥が深い。利益を産むためには、本当に緻密な計画や情報収集力が必要です。これらはリハビリテーションにも通じるものがあります。PDCAですね。
しかしながら、どんな方法(法的なものは順守した上です)でも利益を出す。ここに人の心といった感情が入りすぎてしまうと結果=利益を出すことの阻害因子となってしまうことがあります。すなわち、法的ルールは守るが、冷徹な心や感情を度外視した行動が重要になってくることが多いということです。このあたりが私の頭を悩ます「結果の概念」の異なる部分なのかと思っています。
これらのことから、どうしても人の心や尊厳の部分に目が行き過ぎてしまい、その結果、ビジネスとして利益を産まない方向へ視点が向いてしまっていることがよくあります。
今の自分は、双方のベストを得られるようなバランスを見出だしていくことを目指しています。
私たち作業療法士をはじめとするリハビリテーション専門職は、組織の中で活きるのがベターな部分でもあります。起業するリハビリテーション専門職も近年増えていますが、大半は医療機関などの一組織の従業員として働くのが大多数です。しかしながら、それでは私たちの仕事の価値を見出すのには限界があるとも感じます。私たちの価値を見出し、職域拡大していくためにはビジネス的視点は非常に重要なポイントとなるでしょう。
私たちが介入する時間は一体何円の価値なのか?
患者さんや利用者さんはこの時間に何円払っているのか?
このあたりを理解し働くリハビリテーション専門職はどの程度いるのか?
これらを意識するだけでも、プロ意識や責任、自覚を高く強く持つ材料になると思います。
対価に見合った質の高いサービスを常に提供する意識を忘れずにしないといけませんね。