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【エッセイ】脳細胞エクササイズ

 最近、物忘れが激しい。

 移動した場所で「あれ? 自分は何の用でここに来たんだっけ?」とか、会話中に「あれ? ワタシは今、この人に何を話そうとしたんだっけ?」などなど……結構頻繁です。

 もうアラフィフなので「まぁ、仕方ないよね(諦め💦)」とは思うのですが、娘たちに「お母さん、それちょっとヤバいかも」と不憫な目で見られると、やはり凹んでしまう私😭

 そんなワケで、何かをド忘れした時は、安易にスマホ検索をせずに、なるべく考えるようにはしています。もちろん、時間に余裕がある時は……ですけど。

 これは正解を導くことが出来なかったとしても、脳細胞にいい影響を与えるらしいですね。

 今回のエッセイは、そんな加齢に抗うアラフィフに起きた、相変わらずのアホエピソードちょっとした 記憶力エピソードです。よろしければどうぞ( ≧∀≦)ノ

 



「ねぇ、お母さんって大学時代は何を勉強していたの?」

 それは次女を学校まで送っていた時のことでした。

 この日、車内での話題が進路関係のことだったので、娘の口からこんな質問が出たのでしょう。

 ハンドルを握っている私は困ってしまいました。

 (何も……勉強していない)

 演劇部に入ったことで、そちらにのめり込んでしまい、ロクに勉強などしなかった4年間。成績は『可』ばかりで、授業料はドブに捨てた…と言っても言い過ぎではないくらい、私は親不孝な娘でした。


「え~とね、ゼミでルソーの研究をしたよ」

 これ↑……言っていることは本当なのですが、消去法で仕方なく選んだゼミなんですよね。
 
「ルソーねぇ」

「『社会契約論』も全部読んだよ」

 これも本当。ただし一文たりとも覚えていないし、これからも読み返すつもりはありません🤣

「そういえばさ、ルソー『じゃないほう』って誰だっけ?」

「は?『じゃないほう』?」

 娘の質問を理解するのに数秒かかりましたが、これは分かりました。

 『モンテスキュー』だ!!

 自分スゲー! ちゃんと覚えてた。

 それにしても社会学者であるモンテスキューを『じゃないほう』呼ばわりするとは、次女よ笑わせてくれるなぁ🤣

 芸人かよ。

「だってお母さん、この2人って社会の授業では大体『セット』だよね? お母さんがモンテスキューの話をしていたら、『じゃないほう』はルソーだったし…」

「あぁ、なるほど」

 もしも彼らが芸人コンビだったら『人気は同じくらい』ということらしいです(※次女の感覚)

「でさ、お母さん」

「ん?」

「モンテスキューって何を書いたんだっけ? 私…忘れた」

 ちなみに次女は、5教科の中で社会が一番嫌いです。

「…………あれ?」

 対して学生時代、5教科の中では社会が(辛うじて)得意だった私なのに、彼が書いた本のタイトルを思い出すことが……で、できない!!

 社会契約論『じゃないほう』って、本当に何だっけ?

 モンテスキューの『音楽家みたいなヘアスタイルで首を傾げて微笑んでいる肖像画』は覚えているんだけど……

 思い出せない!!

 うわぁ、やっぱり加齢だ💦

 知ってたハズのことが思い出せないなんて、なんか脳の片隅がムズムズしてきませんか?

 この時の私は『早く知ってスッキリしたい』気持ち『これは時間をかけても自分で思い出さなければ、また物忘れが進行する案件だろう』という気持ちがせめぎ合っていましたが、選択する答えはもちろん1つです。

「頑張って思い出すから、スマホ検索はちょっと待ってね」

 私は次女にそう告げました。

 実は今回、ちょっとだけではありますが『社会学科出身』という意地もあったんですよ(笑)

「……う~ん、マジで何だったけ?」

 ハンドルを握りながら、必死に本のタイトルを思い出そうとする私。頭の中は彼の肖像画でいっぱいになってしまいました。

 (……思い出せない)

 そんな悩める母に、次女が更なる質問を吹っ掛けてきました。

「お母さん、そういえばロックっていう人もいたよね? その人は何を書いたんだっけ?」

「…………ん?」

 彼の名前と肖像画は覚えていました。確かモンテスキュー&ルソーに比べて貧相なイメージで……(失礼だな💦)

「お母さん、モンテスキュー&ルソー&ロックって……なんかトリオじゃん」

「うん、トリオだね」

 今度は『東京○3』扱いかよ。

「……で、ロックが書いたほうのタイトルは覚えてるの?」

「ははは……忘れた」

 ミッションが2つに増えてしまいました。


 次女を学校で降ろし、帰りの車の中で私の『孤独なシンキングタイム』が始まりました。

 制限時間は家に戻るまでの約30分。この時点でダメならスマホを開いて検索するつもりでした。

 
 まずはモンテスキューから……。

 
 個人の記憶ですが、自分が使用していた歴史の教科書内での扱いはロックよりもモンテスキューの方がメジャーでした。ならば、こちらの方が思い出しやすいハズでしょう。

 
 なんかロックは既に『社会学者トリオ』の『じゃないほう』メンバー状態ですね🤣🤣


 私は、ド忘れした言葉の頭の文字を探す為に「あ…………い…………う」という感じで、50音を声に出します。たまにですが、これで記憶にヒットすることがあるんですよ。

 ただし、途中で飽きてしまうので、『ん』まで言ったことは一度もありません🤣

 そして今回もサ行あたりでやめてしまいました。

 結局、モンテスキューの顔を思い出しながら、乱雑に思考を引っ掻き回す私……。

 何で、何で思い出せないのだろう。ロックはともかく、モンテスキューはまあまあテストで回答してたぞ。それに私は一応社会学科卒だぞ。講義どころかゼミのことすら覚えていないし、ルソー研究の卒論を数十年ぶりに読んだら、恥ずかしくなり古紙類としてゴミ収集所送りにしたけど、モンテスキューの著書名くらいは思い出せよ!!

 なんて思いながら、記憶を辿っていたら、奇跡(大げさ)が起きました。

 「あっ!『法の精神』

 正解ワード頭に浮かび、私の口がそれを言霊化したのは、ほぼ同じタイミングでした。いや、どちらかといえば、口が動いた方がが早かった感覚です。

 答えが『降りてくる』って、こんな感じなのでしょうね。

 「やったぁ! 自力で思い出したぞ! 自分偉い!!」

 狭い車内で、ハイになる私。まるで全脳細胞が私を祝福しているような気持ちになりました。

 ド忘れしたことを自力で思い出した時って、めちゃくちゃ気持ちいいですよね。記憶の老化防止の効果以外にも、この『チョー気持いい』感覚を得られることが、必死で思い出すことのメリットだと私は思っています。

 ちなみに、家に着く10分くらい前の出来事でした。

「ま、ロックはもういいや。家に着いたらスマホで調べよ」

 ロックって一体💦


 さて、家に入ってスマホを開いた私は、早速もう1つの答えを確認しました。

 ……ですが、

『統治二論』?」

 そして著書は『人間悟性論』

 ん? 知らないぞ。

 『法の精神』を思い出した時に得た快感物質が全く発生せず、「へぇ~、あ、そうなんだ」と思ったくらいでした。

 あれ? もしかして私、今初めて知ったんかい!?(←これでも社会学科卒)

 さすが『じゃないほう』社会学者ジョン・ロック!……と自分の頭の悪さを棚に上げる私_(^^;)ゞ

 このあとで画像検索をしてロックとモンテスキューの肖像画も確認。ロックの貧相お痩せになっている姿は記憶の通りでしたが、モンテスキューは『音楽家みたいなヘアスタイルで首を傾げて微笑んでいる姿』ではなく、短髪の横顔の肖像画がほとんどでしたね。

 それにしても、偉人に対して私、言いたい放題だわ……。

 『じゃないほう』社会学者(社会思想家と言った方がいいのかな?)なんて言ってロックをディスりまくるなんて、何と罰当たりな。


 お詫びに彼がどれだけ偉大なのかを記しておこう……っと。

 ジョン・ロック(1632~1704) イギリスの哲学者。哲学者としてはイギリス経験論の父と呼ばれ、主著『人間性悟論』において経験論的認識論を体系化した。また『自由主義の父』とも呼ばれ、政治哲学者としての側面も非常に有名である。『統治二論』などにおける彼の政治思想は、名誉革命を倫理的に正当化するものとなり、その中で示された社会契約や抵抗権についての考えは、アメリカ独立宣言、フランス人権宣言に大きな影響を与えた。(Wikipediaより)

 『統治二論』と『人間性悟論』は暫く忘れない自信があります。実生活では何の役にも立ちませんが。

 そして帰宅した次女に、『法の精神』を自力で思い出したことを自慢することも忘れてはいません。

 娘は

「ふ~ん」

 と言っただけでしたけどね😭


 最後まで読んで頂きありがとうございました。今年もこんなアホエッセイを書いて行く予定です。また1年よろしくお願いします😆🎶

 
 2024 .1.12 ストロベリームーン