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無我の思想と『五蘊(ごうん)』〜仏教の根幹 6

仏教では、固定の実体(自我)は存在しないと考える。そして、人間は5つの異なる要素である『五蘊(ごうん)』によって成り立っているとする。

仏教では『我(=自我)』は存在しないとする。万物は変わり続け(諸行無常)、それは自我においても同様である。永遠に変わらない実体はない(諸法無我)のだ。

わたしたちが『自我』と思っているもの、それは人間を構成する5つの要素『五蘊』が集まり働きあって一時的に人として存在しているだけのものである。5つの要素もひとつひとつでは成り立たず、すべては関係性の上でのみ姿を形作ることができる。

仏教では不変的な自我はないとするが、個として成り立っている『自己』は存在すると考える。ただし『永続する自我はない』。自我がないのであれば「これは我のものである」や「これは我が好きなものである」などの執着は存在しない。執着が存在しないのであればそこから生まれる苦も消える。

・人を構成する5つの要素『五蘊(ごうん)』
人はひとつの肉体要素(色)と
4つの心的要素(受、想、行、識)が集まり(蘊)成り立っている存在だ。

色蘊……人間の肉体、物質を構成する要素

受蘊……苦楽を感じる心

想蘊……直感的に心に思い浮かべられる外的対象
↓                                                                                  
行蘊……欲求。〜したいと感じる心                      
↓                                                                 ↑
識蘊……分別、判断する心                      →→→→

『五蘊』はそれぞれ影響しあい、どれかひとつでは成り立たない。

例えばケーキに例えると…
色蘊(ケーキ発見)→受蘊(おいしそうなケーキだ)
→想蘊(食べてるところを想像して楽しくなる)
→行蘊(よし、ケーキが食べたい)
→識蘊(でも食べたら太るかな…)

結果:食べるか食べないかの葛藤が始まり、苦が生じる

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