ブッダのおしえとは⑥四法印
ある人が仏教徒であるかないかは、その人が仏教の教義を他の宗教や哲学から区別する4つの特徴的な見解『四法印』を受け入れるかどうかによる。その特徴的な見解とは……
①生じてきたもの一切は無常である=『諸行無常』
②煩悩の働きによって一切の存在は苦しみである
=『一切行苦(いっさいぎょうく)』
③存在するものは全て無我である=『諸法無我』
④涅槃は一切が静まった境地である=『涅槃寂静』
この4つの特徴的な見解は、それぞれ独立しているのではなく相互に関係し合ってあるいは依存し合って存在する。
まず、「諸行無常」と「一切行苦」との関係は世の中がどのようにあるか、という存在論的な見解を構成しているので、相互に密接に関係し合っている項目であることがわかる。つまり「諸行無常」だから「一切行苦」であり逆に「一切行苦」だから「諸行無常」である。
すべてのものやことが複合的に原因や条件によって生じていること自体が全てのことが無常であることの理由である。生じて来たものが無常であることが理解できるとそれがなんらかの原因や条件の下に生じてきたものであることがわかる。無自覚に生きる我々の現状考えてみればわかるが、なにも考えずにその無常性を理解せずに執着することで煩悩及びそれに触発された行為を起こし、その結果苦悩が起こるのである。であるなら、逆にそれを消滅させることも可能なのであって適切な道程をたどることによって我々は欲望の充足という形の満足とは別の、真の意味での幸福手に入れることができる。
「諸行無常」と「一切行苦」そして「諸法無我」という特徴的な見解が相互に密接に関係していることを理解し、それらの見解を日々の生活の中で習熟していってついに実体的存在の観念を終息させることができたなら、その時には解脱を達成できることが理解される。『涅槃寂静』=一切が静まった境地である。
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