他人に目を向けないことが必ずしも悪いことじゃない

「それでさあの人またミスしたらしいよ。」
「また?本当そそっかしいよな。」
「あーまたフォロー大変だよ。」
「なあ聞いてるのか?」
「えっ何が?」
「いやだからまたあの人がミスしたって話。」
「あの人・・・。」
「なんだよ、また聞いてないのかよ。もうちょっと周りの話を聞けよ。」
 なんでそんな自分と関係ないことを聞かなくちゃいけないんだろ。組織のことだけどミスなんてよく起こることだし、大抵のミスってどうにでもなるのに。そんな目くじら立てて話すことなのかな。
「でもそのミスの改善で共有することは良いと思うのですけど、ミス自体をどうこう言っても何も起こらないですよ。」
「いやそうだけど話したくなるだろ。」
「いやそういう話、僕は興味ないんで。それよりこれから昼食何を食べるかの方がよっぽど重要ですね。」
「自己中心的だな。」
 これが自己中心的か、ただ単に他人に興味がないだけなんだけどな。
 その場から離れようとすると別の人が声を掛けてきた。
「いや分かるよ、あんな風に他人のことをごちゃごちゃ言うの嫌だよな。」
「うーんまあ自分には関係ないんで。それよりその人がそれを元に改善してくれたらもうそれで良いんじゃないですか。」
 他人に目を向けない人だと思ってきたけど、こうやって良いところもいっぱいあるんだな。さっきの人達からしたら面白くないかもしれないけど、僕はさっきの同僚達の方が好きになれない。
 むしろこの人の方がずっと好感を持てる。他人に目を向けないとどこかそれ自体が悪いことに捉える節があるけど、この人を見る限りそうじゃないとも思う。
 僕はそのミスした同僚が頼ってきたら、僕だったらこうするとか相手の状況や心情をしっかり聞いて自分なりの言葉として伝えようかな。そんな世界の方が僕も好きだ。


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