自分と世間
世間的には出世した方が良いとか、収入は多い方が良い、結婚した方が良い、子供はいる方が良いというけどどうも自分はそこに興味を抱けないんだよな。特に出世したいとも思わないし、収入も今の金額で十分。
「もっと仕事頑張って出世した方が良いだろ。その方が収入も多くなるし、今独身なら相手も見つけやすいんじゃないのか。もっと頑張れ。」
「いやあまりそういう希望はないのですよ。」
「だからダメなんだよ。これが世間一般なの。」
「ちょっとは馴染もうとしろ。置いていかれるぞ。」
上司はこうやって僕に発破を掛けてくるけど、どうも気乗りしない。
「なあ世間では出世した方が良いとか収入は多い方が良いって言うじゃん。それって同じように思う?」
「まあそういう意見もあるよねくらいかな。」
「えっそんなもの?」
「うん、だって世間一般は仮にそうだったとしても、それが自分にも当てはまるかどうかは別だろ。僕はそう思わないから、思いたい人は勝手にどうぞって感じ。」
なんか思っていたことをはっきりと言ってくれた。
「やっぱりそうだよな。」
「うん、まあ人それぞれ違うからさ。だって僕等2人でも好きなものが違えば、考え方も違うだろ。」
「そうだよ。」
「価値観も違えば、だから絶対正解なんてものはないよ。例にしてみると、俺はみんなとお酒を飲んだりして騒いだりするのが楽しいけど、そういうのって苦手だろ?」
「うん苦手。全然楽しいと思わない。」
そう僕はみんなで何かをするというのがどうも苦手なんだ。
「もし気になるようであれば、何人かの人に趣味は何とかって聞けば良いよ。みんな違うと思うから。それに伴って価値観や大事にしているものはそれぞれで違う。」
「そうかな。」
「うん。だってほとんど同じってそっちの方が奇妙だろ。違う人なのにさ。」
「確かに。」
そっか、じゃあ無理に合わせる必要なんてないし、仮に自分の考えや価値観が世間の多くの人と違っても、僕と同じように違っている人もそれなりにいるのかもしれないな。そこをわざわざ合わせることに無理がある。
「だからその人は無理に合わせてきたのかもしれないけど、自分まで合わせる必要なんてない。まあその人はそうやって言いたいだけ。」
なんか気分がスッキリした。
「なんか言われてスッキリしたよ。世間がどういうのかは置いて、自分がそうしたいか、それを望むかだね。」
「そういうこと。」
大事なことは自分にとってどうか。そこに合わせたいかそれとも・・・。