【投球制限は何球にすべきか?〜連続投球が肘へのストレスに及ぼす影響〜】
〈現在の投球制限〉
現在、小学生(軟式)では1試合70球(4年生以下は60球)、中学生も硬式では1試合80球、軟式では1試合100球、高校野球(甲子園)1週間に500球以内などの投球制限が設けられています。
このように投球制限は年代によって異なります。
ではその球数以内であれば肘に影響はないのでしょうか?
また、連続投球するとその他の身体機能、投球動作などにどのような影響があるのでしょうか?
今日はいくつかの先行研究から、連続投球が身体機能(筋力),肘関節外反動揺性(緩さ)、投球動作(肘下がり)に及ぼす影響についてそれぞれ紹介し、投球制限について考えてみたいと思います。
投球数に関しては、よく投球数の目安とされる100球、そして小学生・中学生の基準に近い75球、最低ラインの60球という3段階に分けて、研究報告がされています。
〈連続投球が筋力に及ぼす影響〉
100球前後の連続投球で、肩周囲の筋力、握力が低下することがわかっています。1,2)
しかし、もっと手前の60球の連続投球でも、肩関節(棘上筋,肩外旋筋力)や肩甲骨周囲(僧帽筋中部・下部、前鋸筋)の筋力低下が報告されています。
実際に臨床や現場で投手をみていても、筋力は割とすぐに低下する印象です。
〈連続投球が肘関節外反動揺性に及ぼす影響〉
肘関節外反動揺性とは、簡単にいうと肘の”緩さ”になり、靭帯や筋肉が肘にかかるストレスに対して、どれだけ耐えられているかという指標になります。これが大きくなればなるほどストレスに耐えられていないということです。
まず、100球前後の連続投球で肘関節外反動揺性は増加すると報告されています。3)
こちらも筋力と同様に60球の連続投球でも増加するとされています。4)
また15球ずつ肘関節外反動揺性を調べた研究においては、60球未満では変化なく、60球時点で増加することが示されています。2)
このことから、60球投げると肘関節のストレスに耐えにくくなってくるということがわかっています。
〈連続投球が投球動作に及ぼす影響〉
続いて、投球動作の変化についてです。
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