【アニメレビュー】私は空に恋をした『ブルーサーマル』を観てきた【★★★★★】
こんにちは(o・ω・o)ヲタです。
劇場版アニメーション
『ブルーサーマル』を観てきました。
めちゃくちゃ面白いと思ったので、レビュー時の慣例通り「ココスキ」と「ココスキジャナイ」を紹介していこうというnoteです(o・ω・o)満足度高かったわぁ。
ネタバレ配慮無しです。忌憚ない感想なので、ネタバレNGの方はそっ閉じしていただいて、「観ようか迷ってるからネタバレも来い!」という方はこのまま進んで、どうぞ。
□ココスキ
■ガチめの長崎弁
長崎県出身の主人公 都留たまき
の長崎弁がけっこうガチでリアル。
カエルは長崎出身で、かつ映画ど頭に映る長崎空港の近くに住んでいたので
たまきとたまきママが使う方言にとても馴染みが深く、「かなりリアルやん」と思いました。
多少オーバーかな、とは思いますがそこはアニメ演出で「分りやすさ」だと思うのでご愛嬌。
特に、
「歯がいか〜!」=歯痒い:意訳「ムカつく〜!」
「いっちょん分からん!」=「全然分かんない!」
などのワードはニュアンス含めてかなりリアル。
けっこうおばあちゃんみたいな長崎弁使うんだよな、たまき。
長崎弁でも佐賀寄りな感じがする。
カエルのばあちゃん(佐賀出身、結婚後長崎在住)の長崎弁に酷似してた。
たまきの回想シーンで同級生男子が使ってた
「おいも〜」=「俺も」
とかも、割とポピュラーだとは思うけど、長崎人でも幼い男子しか使わない一人称。
あと、語尾の「〜ばい」はすごく長崎っぽい。
◆もう一つ特筆したいココスキポイントは、ほとんど出番はないけどたまきママの長崎弁。
たぶん中の人本当に長崎人だと思う。
リアル通り越して絶対長崎人。違うなら制作陣の方言へのこだわりが次元違いすぎる。
ママ「東京は一人暮らしは危なかけん、おかーしか詐欺やら、ひっかからんごと、気ぃつけんばよ」
たまき「心配しすぎばい。お母ちゃんがたい1人になってしまうとやけん」
ママ「そがんこと、あんた気にせんでよかっ。お母ちゃん地元に友達のおるとやけんねぇ〜」
ここの流れ完璧。
たまきの「お母ちゃんがたい」はかなり古めかしい言い回しだと思わなくもない。
「お母ちゃんがた(お母ちゃんの方こそ)」がニュアンス的にはリアルか。
みたいな。
地元人をして「これガチやん」という方言に、作品へのこだわりを感じた(映画冒頭2分)
■航空部・グライダーの魅力の説明力
航空部、そしてグライダーに対する知識はカエルは持ち合わせていないので、要は、完全に素人が見てもグライダーの魅力が伝わるか?は作品としてとても重要だと思います。
その中で、「空の魅力」やグライダー、航空知識の解説を会話で説明する所や、図を用いて解説するのが自然だと思いました。
グライダーの型式の違いで、1メートル滑空する時に出る進行距離の差とかは「セリフだけで説明した方がアニメとしてはセオリーな気もするけど、あえて図で説明することで"誰でも解る"」演出にしてある所が個人的にはココスキポイントでした。
難しいモチーフを素人レベルに分かる話まで落とし込んでるのは見せる側の配慮を感じました。
◆航空部厳しさをしっかり見せるのも「部活らしい。素人からのスタートをちゃんと見せてて良い」と思いました。
ミニドライバー1本無くなったのを部員全員で探すシーンとか。
実際に本当にここまでするのか?というのは本当にやってる人しか知らない所だと思うのですが、「ドライバー1本が操縦席に転がってた時のリスク」というのは当然徹底すべき危機管理行動だよなぁ。と説得力があった。
それに「航空部は体育会系の部活だ!」という、カエルが好きな『響け!ユーフォニアム』の「吹奏楽部は体育会系!」という見せ方みたいで良いなーって思いました。
(そう考えると倉持先輩ってユーフォの明日香先輩みたいだな……。)
◆唯一、演出的に「勿体ないのでは?」と思ったのは、たまきの初一人フライトシーンをダイジェストで見せた事。
倉持先輩が後から口にする「たまきの操縦に鳥肌が立った」というセリフも含めて、たまきが体験した初めての一人フライトのシーンでは、たまきはどんな感情になったのか?をじっくり見たかった。
まあ、それを無くしたからこそ、ラストのたまきのドイツでのフライトシーンが重い意味を持つのかもしれない。
あくまで、"たまきのフライト"ではなく、"たまきと倉持のフライト"の方がウエイトが重いのかも。
だからドイツの空を飛ぶディスカスに倉持は反応してたまきの元まで駆けつけたのかも。自分が乗ってたグライダーだから一目で解って誰が乗ってるのかも想像がついた、というのはあるんでしょうけどね。
■たまきがよく動く
めちゃくちゃ動く。身体も動くし表情筋もよく動く。めちゃくちゃ動く。作画コストがマジでパない都留たまき。
劇場版アニメーションの魅力というか楽しみの1つとして"作画・背景へのコスト投資"があると思うのですが(そう考えるとTVアニメーションの『鬼滅の刃』や『Fate』や『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のコストはやっぱりアタマオカシイ)、本作の作画もヌルヌル動く。
『涼宮ハルヒの憂鬱』の"ハレ晴レユカイダンス"とか
『劇場版THE IDOLM@STER』の"小松勇輝の作画"とか
『ウマ娘プリティーダービー2期』の"最終回ウイニングライブ"とか
『かぐや様は告らせたい』の"藤原千花の特殊ED"とか
みたいな「この作画したやつアタマオカシイんか?」みたいなヌルヌル作画とはタイプが異なりますが、
たまきの動きはデフォルメアニメの"いっぱい動くキミが好き"という感じで、コミカルな動きや小動物的な可愛さを感じました。
大学の食堂でうどん食ってる時の表情の動きとか、ハムスターみたいに頬が膨れてるデフォルメサイズたまきで可愛さ爆発してましたね。
□ココスキジャナイ
ココスキジャナイって言うか、今のところ疑問に思ってる所など。
あとはアニメーション界の今のトレンドとかも。
■体育会系コンプレックスはいずこ
原作では「たまこが体育会系だったからフラレた」から。
劇場版では「体育会系の声出しが恥ずかしい。と同級生が言ってた」から。
みたいな理由で体育会系の航空部入部を嫌がっていたたまき。
"空とフライトの魅力"を知ってからはそのコンプレックスはどこへやら。
いや、「"空とフライトの魅力を知ったから"だろ!」って話なんですけど、たまきがコンプレックスと決別(克服)したという、"コンプレックスを払拭したシーン"は無かったと思うんですよね。
「声出しがナンボのもんじゃい! 空の魅力に勝てるかい!」
みたいな分かりやすいセリフでもあったら、なるほどね、で片付いたんですけどね……。
ただこれはカエルがちゃんと把握できてないだけで、あるのかもしれない。
コンプレックスを克服して、航空部に情熱を注ぐようになったという"気持ちの切り替え"を描写したシーンやセリフが。
■恋愛要素は本当に必要か
劇場版は「体育会系だからフラレた」が無いので、序盤でたまきを部に繋ぎ止めるための倉持のセリフ「空知……お前つるたまと付き合え」がちょっと脈絡ない気がするし
(たまきは "恋愛にサークルに楽しいキャンパスライフ♡" に憧れてるからちゃんと繋がってるんだけど)
後半の「つるたまはどっちなの!空知先輩が好きなの!?それとも倉持先輩が好きなの!?」が唐突な気がする。
(え?たまきと空知と倉持がそれぞれときめいてるシーンってあった? と思った)
そして終盤、大会で優勝した時の空知のハグを無視スルー回避したたまきが、ドイツで行方不明中の倉持を探しに行く流れは"たまきは倉持を選んだ"って描写になる訳なんでしょうけれど、「それって恋愛として選んだ訳ではないよね?」とカエルは感じました。
ラストシーンではいよいよ、"たまきも倉持もお互いを選んだ"という形に収まったとカエルは考えていますが、「この二人って、『恋愛 ≠ 空への憧憬』であって、『たまき⇒空(航空)⇒倉持』と『倉持⇒♡⇒たまき』みたいな、たまきにとって倉持は "航空ありきの倉持への感情" なのでは?」
という具合に腑に落ちていません。
今作においては、『恋愛感情と、空への憧憬は完全に割り切られている』と認識するのが正しいのかな?
1回観ただけじゃ把握できないなぁ。
■流行りの見せ場で歌流れる演出
近年のアニメ作品ではよく見るこの演出。
もうお腹いっぱいなんだよなぁ……。
嫌いじゃないし、ピッタリハマる作品も多々あると思います。
個人的には『君の名は。』とか『宇宙よりも遠い場所』とか『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とか。
でも『ブルーサーマル』には不要だったかな。
爽やかさを拡大して見せたかったのかな?
今作での劇中歌演出の意図が理解できてないので「これ要る?」という感じ。
「要る?」であって「要らない!」でも「これは無理!」でもないのであってもなくても〜ってくらいの感想。
ただ、劇場版アニメーションといえばこの演出になってるのがしっくり来ない。
って話。
って感じで「ココスキ」「ココスキジャナイ」をつらつら〜と書いてみました。
カエルが観たシアターでは既に1日1回上映になってしまってて(3/4公開だったのに!?)それが一番納得いかぬ。
Twitterなどでも高評価なコメントが多く感じます。でも『アイの歌声を聴かせて』みたいに話題にはなってないよなぁ。何でなん?
カエルの総評的には、
「108分のこの尺にめちゃくちゃ詰め込むやん! でもちゃんと伏線回収しててまとめてるやん! すごい! しかもちゃんと面白い!」
て感じで星5つ★★★★★
「賛否をしっかりしよう」ってことでココスキジャナイもひねり出しましたが、めちゃくちゃ面白かったので、観てない人には絶対に観に行ってほしい。
□冒頭11分が公開中
最後にもう1つ。
タイトルにもなっている『ブルーサーマル』について、使おうと思えば使えた『図による解説』を使わず、最後までニュアンスで伝えようとした演出は、
(蛙・ω・)<フ……フンッ。カッコいいじゃんっ?(……でもホントは好きッ)
って感じ。
制作陣の「客に考えさせる演出」はカエルは大好物。
もう一回観に行きたいなぁ!!!!
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