コロナで分断される日本国民:政府はこういう力強いメッセージを出すべき!(演説サンプルありw)
コロナがまずまず落ち着いていた時期に、以下のような記事を書いた。
しかし・・・コロナ感染の再拡大がみられている昨今、安倍政権は再度無能ぶりを発揮している。こんなことでは、4期目など全く無理だろう。国民が不安を感じているときこそ、指導力を発揮して求心力を高めるチャンスでもあるのに。
あらためて、安倍総理は有事の総理ではないと感じる。
一方で、迷走する安倍政権と同様に、コロナ感染をめぐっては国民の意見が大きく分かれつつあり、国民が分断されていくことこそが大きな問題の一つではないかと考えてしまう。
コロナをめぐる世論は大きく3つ存在する
7月以降のいわゆるコロナ第2波をめぐっては、大きく三つの世論グループがあるように感じる。
1.コロナ怖い!こんな時期にGOTOキャンペーンとは政府はアホか![コロナ対策至上主義]
2.日本のコロナの死亡率は低い。失業による自殺者の方が多い。とっとと経済を回せ![経済政策至上主義]
3.良く分からないけど、店も開いているし飲みに行こう![受け身な多数派]
いろいろな説があるので、日本人にとってコロナが実際にどれほどの脅威なのか?という議論はここでは行わない。今回問題と考えるのは、国民世論が分断されているという事実だ。
政府が行うべきは、国民をまとめ上げる指針と覚悟を示すことだ
政府は、「専門家の皆さんの意見を聞いて」コロナ対策を進めていくという。
ただ、「専門家の皆さん」は立場によって言うことが異なる。感染症対策を任された医師や専門家、官僚は、感染拡大防止という観点から経済活動を抑制する方向の提言をせざるを得ないし、経済対策を任された専門家、官僚や財界は、経済活動を活発化させる方向の提言をせざるを得ない。
ブレーキをかけろという人がいれば、アクセルを踏めという人もいるわけだ。
一方、ウイルスは人を媒介して拡大していくものだから、経済活動を抑制すればある程度抑制できるし、人の往来が活発になれば感染は拡大するという性質を持つ。
アクセルを踏めばウイルスは広がるし、ブレーキをかければウイルスは減っていく。
その二律背反の条件の中で、感染症対策と経済対策のかじ取りを行っていく役割が、政府にはある。
そのアクセルとブレーキをどのように調節するか、ということに関する戦略がないままに走り出したものだから、財界や業界団体の要望を受けた二階さんや菅さんのような政治家の声に従ってGOTOキャンペーンを開始したかと思えば、東京は除外するとか、地域ごとにまた緊急事態宣言を出すとかいうようなカオスな状態に陥っているわけだ。
これが指導力のある政府と言えるだろうか?
政府が行うべきは、世論1、世論2の両方をしっかりと受け止めながら、全ての世論グループを団結させていくような強いメッセージと行動力を示すことだ。
だが、戦略なき日本政府は、世論1に押されてフラフラ、世論2に押されてフラフラ、大多数の世論3グループはどうしていいか分からず感染が拡大していくというジリ貧状態になっている。
With コロナ時代の日本の戦略指針
新型コロナは中国発の未知のウイルスであったため、2~3月にかけてはかなりの恐怖を感じたが、その後の症例の蓄積により、少なくとも医療崩壊さえ起こさなければ日本における致死率はそれほど高くはないということが分かってきた。
このことから、(当ブログでは当初から言っていることだが)対コロナ戦略の最終防衛ラインは「ICU(集中治療室)を満床にしないこと」である。
この一点を死守しつつ、経済を回していく。これを全ての世論グループに理解させることだと思う(政府中枢を含めてw)。
日本政府はこういうメッセージを発信するべき
ということで、アホな日本政府に代わって、ちょっと演説を考えてみたw
・緊急事態宣言下における国民の皆様の自粛へのご協力と、医療関係者の多大なる献身により、日本はいったん新型コロナウイルスをほぼ収束させるに至りました。
・これは日本国民の皆様の大いなる勝利であるといってよいと思います。ご協力に感謝を申し上げます。
・しかし、この勝利には大きな犠牲を伴いました。経済活動は停滞し、経済的に大きな損失を払った国民の皆様もいらっしゃることでしょう。これについては、政府を挙げて引き続き全面的にバックアップをしていきたいと思います。
・昨今、ほぼ収束させたはずの新型コロナウイルスの感染が再び拡大しており、国民の皆様は大きな不安を抱えておられることかと思います。
・残念なことではありますが、これは「新型コロナウイルスを完全に消し去ることは困難である」ことの証左でもあります。
・再び緊急事態宣言のような自粛を行えば、日本国民はもう一度勝利することでしょう。しかし、ウイルスはいずれまた勢力を盛り返してきます。この繰り返しを永遠に続けることはできません。
・第1波の経験から、新型コロナウイルスについては、医療崩壊さえ起こさなければ、致死率が爆発的に増えることはないことが分かってきました。医療崩壊を起こさない=重傷者病床を満床にしない、これさえ達成できれば、新型コロナウイルスはそこまで恐れる必要のない疾患の可能性が高いと考えています。
・医療崩壊を起こさない、この一点を死守するために、日本政府は全力で取り組んでいく所存です。
・そのためには国民の皆様にもご協力いただかねばならないことがあります。重症化しやすいことが分かっている基礎疾患のある方、高齢者の方を守る。このために皆様ができることは、「新しい生活様式」を守ることです。「新しい生活様式」を守ることが、基礎疾患のある方や高齢者の方を守ることにつながります。
・ウイルスは市中から消滅しない。これは不安な事実です。ですが「新しい生活様式」を守れば、ウイルスを必要以上に拡大させることなく、経済を動かしていくことができると考えます。
・ウイルスを完封しつつ、経済も回していく。これこそが、日本国民が次に目指す「完全なる勝利」です。
・難しいことですが、我々は団結し、一度はウイルスをほぼ収束させました。次も、きっとできるでしょう。
・ただし、重症者拡大に歯止めがかからず、医療崩壊の徴候が見られた場合には、国民の命を守るため、躊躇することなく緊急事態宣言を発出いたします。そのときには、ご理解とご協力をいただければ幸いです。
・ですが、今は少しずつ経済を回していきましょう。我々には、きっとできます!
今日本政府が出すべきなのは、こういう力強いメッセージではなかろうか。
「新しい生活様式」というのは一体何だったのか。日本国民は忘れっぽいから、100回でも1000回でも繰り返すことが政府に必要な広報活動でもある。
お気づきの方もいらっしゃるだろうか、「我々には、きっとできます!」は安倍首相がアメリカ議会で行った「希望の同盟演説」からとったものだ。あれは名演説だったが、最近は優秀なスピーチライターがいないのだろうか
?
日本人は、明確な目標が示されるととても強いのである。
まとめ
日本政府が示すべきは、「最後はワシらが責任取ったる!」という確固たる信念と覚悟である。
それがないから、声の大きな者の意見に従ってあっちへフラフラ、こっちへフラフラ。負担がかかるのは現場ばかり、ということになってしまう。なんとなく、先の大戦の戦略観のなさを彷彿とさせる。
戦後レジームからの脱却をうたった安倍総理。ある側面から見れば、それは「成り」つつあると思うけれど、戦略観のなさは日本の敗戦体質そのものだ。
まったく、何とかならないものだろうか。