映画「沈黙の艦隊」の感想:制作陣の熱量を感じるが尺が心配になる件
かわぐちかいじ氏原作の映画・沈黙の艦隊をみた。原作は米ソ冷戦下の時代を描いたものだったが、今なお色あせない普遍的なテーマ性があるので、ここで感想をまとめてみる。
(重大なネタバレは含みません)
沈黙の艦隊
沈黙の艦隊は、天才的な潜水艦館長・海江田四郎を中心に、日本初の原子力潜水艦をめぐる物語である。
35年ほど前の原作連載であるにも関わらず、核での恫喝を繰り返すロシアや北朝鮮がいる現在世界に符合するところも多く、平和を考えるうえで今こそ見るべき映画だと思った。
物語の具体的な内容はさておき、海江田艦長を演じる大沢たかおさんがまず素晴らしい。沈着冷静、指令所で微動だにせずオーラを発し続けるその演技は、海江田艦長にしか見えなかった。
深町艦長は、もっと暑苦しい男のイメージだったので、玉木宏さんはちょっとスマートすぎるかな、と思った。「たつなみ」のソナーマンを演じたユースケ・サンタマリアさんも、かなりくせのあるキャラで存在感をみせていた。
あまり活躍しなかったが、官房長官役の江口洋介さんや、いまのところ気弱なおじいちゃんでしかない総理大臣も、原作通りだと今後かなりの活躍が見込まれる。
そして、原作の見どころの一つである潜水艦バトルも十分に鑑賞に耐えるものだったと思う。特に、外が見えず、音だけが頼りの潜水艦において、モーツアルトをかけながら戦うシーン・・・原作のときも素晴らしいアイデアだと思ったけど、実際に映像化されるとよりインパクトがある。
ロナルド・レーガンを中心とした米国第七艦隊の空母打撃群の映像もよかった(原作当時とは当然ながら異なっている)。
AdoとB'zコラボの主題歌も良かった。
個人的には、海江田が艦に「やまと」と刻むシーンがないのがちょっと残念だったかな・・・
尺が心配になったが・・・続くんかい!
全般的に、潜水艦内部の様子や、潜水艦が潜航していく様子、さらには人間ドラマまでしっかりと尺をとって構成されていて、原作を読んだことがある者からすれば「これ、尺は大丈夫なの?」と心配になったが・・・途中で終わりましたねw
続編は作られるのだろうけど、興行成績が悪かったら続かなくなってしまうと思われるので、ちょっとでも興味のある方はぜひ映画館へ見に行ってください!(笑)
メカの部分や、潜水艦内での詳細なやりとりも含めて、制作陣の圧倒的熱量を久々に感じることができた映画だったと思う。
(画像は写真ACから引用しています)