2023 Fuji100完走物語
今年のFujiを一言で言うと総じて上手くいった!それはタイムが全てを物語っている。40時間〜42時間の想定の「41時間半」であったこと。つまり大きなトラブルなく、淡々と進む事ができた証。淡々の中に様々な対策を埋め込んだつもりで、もちろん上手く行った事、いかなかった事あるが、それも全て許容範囲に収まった事は、この1年取り組んできたことの集大成でもある。
今回上手くいったのは、やはりチームメイトのサポートによるところが大きい。その機能的な役割もさることながら、支えてもらっている、応援してもらってる精神的な安心感は絶大。また、途中一緒に走る仲間が入れ替り、立ち代わりいてくれたもことも勝因の一つ。・・・って事で、自分で考えたいろんな対策が基本にあるとしても、レース全体における仲間の存在が完走において大事だと改めて感じたFUJI2023だった。
以後、レース前日の受付からレース中に起こったことをつらつら書きます。あまり、ここがポイント!って感じのものではなく、レースの雰囲気を感じて頂ければと。
【レース前日】
二子玉川のRISEで友達と待ち合わせ、高速バスで富士急ハイランドまで移動。今年は隣接する富士急コニファーフォレストが唯一の受付場所。東名高速が事故渋滞で1時間半の遅延。着いたら既に長蛇の列。炎天下で約1時間半並んで必携のチェック(上下のレイン、ヘッデン×2と予備電池,エマージェンシーシート)をうけた。 受付に時間がかかってバス乗り遅れたので、あきらめついでにゆっくりマーケットを回ったり、チームメイトや知り合いたちとおしゃべりできた。結局友達に御殿場高原ホテル時之栖へまで車で送ってもらう。晩ごはんは景気付けの焼肉。去年も同じものを同じ席で食べて完走祈願、ノンアルビールで乾杯!
【レース当日の朝】
明日サポーターに預ける荷物の整理、着る服の選択に悩み夜中1時に就寝し、朝6時に起床。ゆっくり朝のニュースや天気予報をみながらダラダラと着替え、ホテルのビュッフェへ。バイキング形式でパスタ、ごはん、フレンチフライなど炭水化物を多めにとってお腹いっぱい。部屋に戻って9時。11時にチェックアウトなので、一度スタート時の装備を全部詰め込み、服を着てシュミーションしてみる。今日は暑くなりそうなので、スタートはラナーのノースリーブにfinetrackのアームカバーで決定。ショーツはmilestone。帽子もmilestoneのメッシュキャップで暑さ対策。今回のギアの目玉は前日に届いたばかりのPaago11r。100戦錬磨のデザイン、きっと期待に応えてくれるはず!まだチェックアウトまで1時間半近くある。体力を浪費しないために一旦脱いでパジャマに着かえて二度寝。11時になりチェックアウト。11時45分のバスまでまだ時間があるので、ロビーのソファでガチオのランチャン聞きながら、印刷した地図を見ながら改めてルート確認。おー!富士宮エイドの場所が変わっている事に気づく!
【スタート会場】
送迎バスでまたまた渋滞もあって15分で遅れてこどもの国に到着・・・ちょっと嫌な予感が的中!サポートメンバーの車が見当たらない!連絡しようにもスマホ(ライン)がつながらない。そう、ここは携帯つながらないエリアだったことを思い出してプチパニック!少し冷静になるまで待って「道に迷ったら登れ」の教訓を思い出し高台へ移動。そうすると別の駐車場を発見!そちらに移動するとAという記号も発見!無事A4方面へ下り、メンバーと合流。スタート前に危うくロストしかけた・・・w
ようやくメンバーにあえて一安心。もうゴールした気になった。クーラーボックスに座って買ってきてもらった親子丼を食べて至福の時。これから100マイルのレースというのに緊張感がまるでない。ゆっくりお茶を飲みながら、引き渡す荷物(着替え、リフレッシュグッズ)の説明をする。同じ駐車場でインスタのフォロアーさんを何組か見つけてご挨拶。どこもスタート前の準備に忙しい中、写真とってさらリラックスする。
【スタート前】
スタート前にチームのメンバーや知り合いいっぱい会う。意外と知り合いいるなーと我ながら感心。第1ウェーブの熱気に気持ちをアゲつつ、第2、第3ウェーブも見送り、いよいよ自身の第4ウェーブのスタート位置へ。ちょうどそのタイミングで友達から電話をもらい更にアガる!今回のスタートは最後尾ということもあり、やはり緊張感ゼロ。あとは抜くだけって感じで。今回のテーマは「心拍」で唯一の決め事は「140」を超えないように走るだけ。というのは、キロ何分という「ペース」は結果であって体の状態を把握する指標にはならない。これは昨年、スタートから麓エイドまでの50キロを心拍160前後で走ってしまったがために、以降足が売り切れ、回復せぬまま全歩きになった苦い経験から学んだこと。以降、いろんな練習やロングレースで心拍140以下を試し、走れる継続性を検証してきた結果でもある。
【スタート〜F1 富士宮】
「第1から第3までは第4の前座だーーー」というリッカさんのMCにまた和む。カウントダウンでスタート。こんなにも大勢の人に見送られるスタートはここでしか味わえないので、走りながら感動。去年なら緊張で見えなかったその光景を今年は堪能できている自分に成長を感じた。って、走り出して2-3分で何考えてんねんって話やけど。ここからの長い下り基調の林道は思わず調子よく走りがち。でも今年のみっちゃんは違います。心拍140を守ること。ペースで言うと5分半から6分くらい。第3ウェーブならどんどん抜かれるペースだが、第4ウェーブが奏功したのか、みなさんゆっくりペースでちょうどいいじゃないですか!と思わす口にする。森の林道に垂れる木漏れ日、ザクザクとした走る音、木々を通り抜ける爽やか風、すでに最高!
10キロを過ぎ、林道から送電線下のトレイルに入る。シングルトラックなのですぐ渋滞。補給や休憩(我に返る)のチャンス!と思えば渋滞もラッキー。前後の人と世間話しながらのひと時。これもまた楽しい。「走る、止まる、しゃべる」の楽しい時間を繰り返しているとあっという間に富士宮エイドまであと3キロ。前を行く同じPaago 11rを担いでいる仙台から来た女性と高尾マンモスの話で盛り上がるも、気が付いたら心拍150超えてるやん!ってことで、スピードダウンしてお別れ。日が沈む前は気温が上がるのか、ちょっと頭もぼーっとしてきた時にほぼ予定通り(18:35)に富士宮エイドに到着。ヘッデンはギリギリつけずに滑り込めた!すぐ水の補給、塩タブの補給し、ヘッデンを装着し、糖分の補給とトイレに行って10分足らずでスタートする。
【F1 富士宮~F2 麓】
もう辺りは真っ暗。しばらく林道とロードを蛙のゲロゲロという鳴き声を聴きながら走る。やっぱ少し蒸し暑いな。この区間、ノースリーブにして本当に正解だった。140ならハアハアすることなく、汗もかきすぎなかったし、かいても脇が空いているので冷えやすい。20km過ぎの辺りから第3ウェーブの緑のBIBの選手を抜くことが増えてきたが、特に何のダメージも感じていないので、今日の体のコンディションの良さも実感しはじめていた。またこの区間、沿道の声援が多く元気をもらえ、いい状態で天子山地の登山口に到着する。
しばらくはダブルトラックの緩やかな登りトレイル。みんな列になってゆっくり上る。さきほどの平坦な道で活躍した筋肉を休めつつ、登る筋肉に意識を集中。ここからが始まりだなーなんて思いながら、極力大きな一歩、大きな段差を避け、疲労しない登り方を心掛ける。ここでも度々渋滞発生。特に天子が岳の頂上に近づくほどに急登となり、待ち時間が長くなる。するとまた前後の人とのおしゃべりタイム!前方に知り合いも発見!この人とは本当にレース中ばったり会う。気温も下がり、風も出てきたのでウンドシェルを羽織る。あったけー。ついでに山頂から先の尾根の走りに備え、ここでしっかり補給しておく。
さあ、山頂!渋滞も一気になくなった。エネルギー十分、休足十分てことで走り始める。ひんやりした夜風がちょー気持ちいい。降りて、登ってを2、3回繰り返すと行者が岳に到着。結構休んでいる人を見かけるようになる。
気温が下がりさらに快調に走る。ただ、上りは極力手押し車で重心利用しながら登り、調子乗りやすい下りも「ドン!」って落ちないように小股でちょこちょこ刻みながら下り、足に負担をかからないように心掛けた。なんてったって100マイル、先は長い。こんなところで疲れてられるか!って気持ちでいた矢先、トレイル脇で休息をとる人、寝始めている人がちらほら。 ちょっと頑張りすぎたんじゃないのーなんて抜かしていると、なんとチームのメンバーが!またもやキツそうな面持ち。声をかけたら既に数回吐いているとのこと・・・無理しないでーといって先をいきました。
ようやく鉄塔。さっきよりも休んでる人多い理由もわかってきた。みんな最初頑張りすぎた人たちなんだと。あらためて心拍140の体調管理の良さを実感。岩々ゾーンを超えると熊森山への最終アプローチの目印となるロープに到着。このロープを5回繰り返せば山頂だ!ただロープだけに超急登。ここでも極力心拍上げず足の筋肉を使わず、重心移動と上半身の腕力をうまく使いながら登る。最後つづら折りを超えて山頂到着ししばし補給(コーララムネでブドウ糖いれ脳に栄養を)。嬉しいことにことにまたチームメンバー3人に会い元気もらう。その元気使って悪名高き熊森の下りに挑む。「なんじゃこりゃ~」って唸るくらいの激下りで、かつ下れど一向に終わらなくて、再び「なんじゃこりゃ~」と叫ぶ。こんなのコースにしていいのかと主催者を脳みそを疑うくらい急で長い。
1km下った末、ようやくロードに出る。いきなりガードレールの脇で吐いてる人いるし。。。このロードも胃を揺らさないように、足に負担かけないようにスピードを極力抑えて走ろうと再認識。6kmくらい下った末、林道に入る。去年はこの区間、大勢のランナーに混じってふうふう言いながら爆走してたなーと思いだす。今年のみっちゃんは違うぞ!暫く走って暫く歩きにして、体を休めながら進んだ。おかげでサポートへの連絡(食べたいもの、飲みたいもの)も頻繁に入れられたし、到着時間も比較的正確に伝えられた。この作戦いいことづくめだな。スタートして10時間、ようやくサポートのみんなの待つ麓エイドに到着する。
【F2 麓エイド】
エイドに着くなり富士宮焼きそばを一つ受け取り、サポートエリアに向かって我がサポーターをさがす。今度はすぐ見つけれらてほっとした。ちゃんと必要なものをセットしてくれていて、テキパキといろんなものを交換してくれる。とにかく50kmくらい走ってお腹がすいたので、即効で焼きそば食べて、ミニカップラーメンたべた。うまい、うますぎる。ミニコーラも入れてしっかり補給。快適すぎてもっといたい気持ちを捨てて、再びコースへ。サポートに見送られてつつ、ここからはエイドで合流した友達と一緒に進む。次は6時間後の精進湖でと手を振った!
【F2 麓エイド~F4 精進湖エイド】
食べたばかりなので、ひとまず30分くらいは胃を揺らさず歩いて進む。去年はここも必死に走ったなーなど思い出しながら。そうこうしていると端峠の入り口に。ひとまずトイレに寄ってすっきりさせて、胃薬の漢方を飲んで体調も整える。去年はそんなことすら考えなかったなー。わーい登りだーっていって、また必死に登り始めたのを覚えている。今回は違う、ゆっくりゆっくりトレイルをすすむ。名物のつづら折りを何度か繰り返すと30分で端峠を通過。その後またゆるい下りを降りロードにでて、暫くすると本栖湖エイドに到着。午前4時、石川弘樹さんに饅頭もらって気持ちあがも、そろそろ眠くなってきたので、錠剤のカフェインを投入で気持ちをも切り替える。
佛峠までのゆるやかなのぼり。カフェインパワーで脳も体も冴えてきたてすいすい登れる。徐々に空が明るくなってきて夜明けパワーも追加されテンション高め。朝の爽やかな気温の中で疾走できる喜びを感じながら尾根を順調に走る。途中知らない男性がくっついてきているのに気づく。僕らが止まると止まる。「いやーここの区間一人じゃ眠いので、引っ張てもらって助かります!」、そういう事ならみんなで行きましょうって、また張り切って走り始める。というのもこのお楽しみ区間、去年は痛い足を引きづりながらほぼ全歩きし、この後はじまる何十回というつづら折りの下りを何百人という選手に道を譲りながら下った悔しさも思い出した。それがどうだ!今年は何の心配事もなく下れている自分が誇らしかったし、うれしさが爆発していた!やがて樹海におり、ゆっくりペースで進みながら、サポートと連絡を取り到着時間や調子を伝え、まもなく精進湖エイドに到着(朝7時)
【F4 精進湖エイド】
あれ、誰もいない?ちょっと早く着きすぎた?もらった雑炊片手にみんなを探す。ここでは、食事の補給、行動食の交換に加え、全着替えと靴の履き替えを行った。またサポーターがスムーズに靴のチップとかいろんなもの交換してくれる。徹夜明けでぼーっとしたままま、ご飯食べてるとでダウンパーカー着せてくれた。嬉しい。食べ終わると着替えで体育館に行く。プラ板の上にエマージェンシーシートを被った選手100人近くが寝ていた。みんなどんな状態なんだろうかと。さっさと着替えて体育館を後にする。やっぱ寒い!急いでサポートに戻って出発の準備。っていうとなぜか急に眠気。すぐさま寝袋を用意してもらって5分ばかり仮眠。横になるといろいろ回復するなと実感。
【F4 精進湖エイド~F5 富士急エイド】
その後も友達と一緒に出発。食べたばかりなので、走らず早歩きで進む。ちょうど傾斜がなくなるポイントに来た時に、少しづつ走り始めた。エネルギー補給と足の回復も手伝って調子いいぞー。風穴に入る道を右折すると友達発見。前方にいたので久しぶりにゆっくりおしゃべりし耳寄り情報をゲット!走り始めてからお尻の周りの尻づれが痛いと思ってたのでチャンス!次のトイレがウォシュレット付というので待ってみた。なかなか順番がこない内に友達が出てきたので、そのままやり過ごす。くうーーー残念。次こそお尻ふきたい。さあ足和田山ののぼり!ここも慌てず一歩づつのぼる。林道にでればちょっと走り、登りで歩くの繰り返し。途中、また友達と再会はあったものの、ぼーっと登ったり下ったりする以外、何もなく終了。ロードに出てきて、さっそくサポーターにおしりふきの調達をお願いしたが、そんな急に目当てのものは手に入らず・・・。1時間ほどロードを走って、富士急に到着。入口に大勢のチームメンバーがいてくれてめっちゃテンション上がり道を間違える。
【F5 富士急エイド】
時間もお昼時だったからか、大勢の仲間が迎えてくれて嬉しかったー。早速、リクエストしていたお稲荷さん。めっちゃうまかったー!こういうものってぜった行動食として持てないから嬉しい。チームも来てくれて一緒に雑談。(ここらへんで早いチームメイトがゴールに近づいているという情報が現場に入やいなや、みんないなくなった・・・。俺の横で、淡々と行く準備を進めてくれているサポーター。あれする?これする?といろいろ聞いてくれるので、回ってない頭を最大限使って「うん。やる!、うん、やらない…」だけ答えている。サポートって本当にありがたい〜。最後にトイレに行くついでにお手拭きも持って行ってお尻の周りをしっかり拭いた。これアルコール入りのボディタオルだったら、お尻に火がついてトイレからとび出ているところだった。お手拭き必需品!覚えとこう。
【F5 富士急~F6 忍野】
さてお昼ご飯も食べ、気持ちもお尻もリフレッシュ。ここも友達と一緒にスタート。エイドの出口でいつもの「行ってらっしゃい」っていわれて、「行ってきます、次は8時ね」って元気に応える。早速始まる炎天下のロードは一旦全部歩きで体温の上昇を抑える。トレイルに入ると日影もあるので走り始めるが、足場がガレているので挫かぬように慎重に走る。ロードから忍草山に入る手前で、黒すぎるコーチに会う。しっかり走れているよ!と言われてパワーアップ!しょっぱなの急登も落ち着いて登る。さらにこの先の富士吉田の道の駅でまた友達が待っているとの情報!モチベーションあげて、がつがつ登る
彼らに会う前に一組のカップルにあう。友達の友達だ。ひとしきり話してさよならすると、今度は自分の友達が待ち構えていた!親友に会うと本当にうれしい。一緒に道の駅まで走って、食後のソフトクリームとアイスコーヒーをおごってくれたので、コーヒーフロートにして堪能する!めちゃくちゃうまいぜ!ずっと甘いものばかり食べてたので、苦いコーヒーは美味しい。ついでにソフトクリームでクールダウン、一石二丁!ちょうど100km超えたくらいか?まだまだ先は長い・・・ゆっくり行こう!仲間に別れを告げ再出発する
ここから先は去年KAIの全選手に抜かれた思い出の林道。当時とぼとぼ歩いている私の後ろから次々とガンバ、ナイスラインと言われてほんとに嬉しかった。今年は時間が遅いので誰にも会わなかったが、その声を思い出しながら一歩一歩登る。頂上手前にそそり立つ急登も今年は難なくクリアし、頂上にある倒木のベンチで休むことなく下り始める。今回の一つの小さな目標が忍野エイドまでのこの緩い下りを走ること。今それができていることでやる気アップ!さらに前を年配のランナーが軽快に下っていることもてこにしながら負けじとついていく。そんな些細なこともやる気に繋がる。ちょっと我慢の区間。
【F6 忍野エイド】
ロードに出て2キロくらい走ると新しくなった忍野エイドに到着。沿道の地元の人や子供たちの声援が嬉しい。このあたりから少し糖分の補給がまにあっていないと思い、ババナナを2本頂く。走り始めて24時間を過ぎ、そろそろ疲れが出てくるころなのか、エイドのアスファルトの上でひっくり返って寝ている人も見かけるようになった。去年の自分もまさにここでリタイヤ覚悟で救護室に駆け込んだ。(結果リタイアしなかったが・・・)そんな僕にとっても鬼門となる忍野エイド。今年は違うぜ!っと悪いイメージを振り払うように首をぶんぶん回した!気持ちが落ちかけた時にまた友達にばったり会う!まさに奇跡!その友達と言えば去年、忍野の地獄の淵から救ってくれた天使だ。何という巡り会わせ!めちゃめちゃ嬉しくなってエイドを出発。
【F6 忍野~F7 きらら】
さあ、また気持ちをを切り替えて長い川沿いのあぜ道をゆっくり走る。この辺りから友達とペースが合わなくなってっきたので互いにマイペースを維持する。時間はたっぷりある、ここで無理は禁物だ。チーム3人で大平山の林道を登りながら、ここまでのレース運び、それぞれの体の状態などおしゃべりする。まだレース途中だがこんなひと時が何とも言えず楽しい。西日が差す山の斜面、視界が開けて、ふいに周りを見渡すと、こんなに元気にぺちゃくちゃしゃべっている人もそういない。みんな疲れた体を引きづるように前へ運んでいる。しばらくするとメンバーの1人が遅れ始める、足の調子が良くないそうだ。自分自身も急に眠気が襲い、我慢せず道端で寝る。ここで友達が追い付いてきて、チームメイトと友達ペアで先行する。
5分寝るとすっきりする。体の回復を感じながら二人を追う。追うことは人間の本性なのか、そんなモチベーションでもとても元気が出る。ただ心拍は140を超えない範囲で。きららへの下りで二人を捕まえ3人組復活!日没の太陽を追いかけるように下り、あっという間に平野の交差点に到着。めちゃめちゃいいペース!。ん?調子あがってきた?きっと気温が下がったせいだ。ヘッデンつけずに予定時間を30分もまいてきららに到着。大歓声の中、サポーターの待つエリアに到着。やっとここまで来れて、ほっとした。
【F7 きらら】
とにかく寒い。なぜダウンを持ってこなかったかを心底後悔。今夜更に気温が下がるので、まず長袖のベースレイヤーに長袖のメリノに着替えた。あったかい。この装備は昨年暮れの京都で実証済み。この上にシェイクドライを切れば完璧。私の手先のが震えているの見たサポーターがお湯で温かいおしぼりを作ってくれた。手先がジーンとして気持ちいいうえ、汗でじゃりじゃりの顔を拭けてすっきりさっぱり。エイドでもらった豚汁と晩御飯のうどんをすすり体の中からも温まる。ミカンゼリーもなんやかんやうまい。熱いお湯でマグオンやイ胃薬、アミノ酸なんかもどんどん押し込む。糖分入れつつ、体の回復も促せるアミノ酸は本当に重宝する。これらの酸味は単体で飲むと吐き気がするので食後の薬と思って一緒に飲むのがよい。ここでチーズメイトに追いつく。ずっと先行していたので会えてうれしい。
【F7 きらら~ F8 二十曲峠】
友達はもう少し休息をとるってことで、ここからは新しいチームメイトとの二人旅になった。これまでいろんなレースや試走で一緒の時間を過ごしてきた人とここで一緒になるのも感慨深い。そんな時にエイド出口でチームから最大の応援を受け涙が出そうになる。ここからがUTMFと言われるのだが、120キロ以上走ってきて、これから始まる明神山、山伏峠、石割山、杓子山、霜山と心して越えねばならない山が5つもある。考えると気が遠くなるのですぐやめる。とにかく目の前の山を越えることに集中。一山一山を潰していく感じ。このメンタルがとても大事。
登り始めてすぐ熱くなり、シェイクドライを脱ぐ。メリノ長袖で心地よい。二人でもくもくと明神を登りお互いのペースをつかむ。頂上につき間髪入れずに下る、ほぼ登った分降りてる感じ。・・・と、そこへなんとまた別のチームメイトが合流!今度は新3人組となってみんなを引っ張った。せっかく3人いるのでこれからは順番に先頭を入れ替えながら進もうということで、先頭を新しいメンバーに交代し進んだ。そこにさらに見覚えのあるランナーが僕らを抜き去った。実はこのランナーは同じ第4ウェーブでスタート前に完走を誓い合った元チームメイト。ここまでそれぞれのペースできたが、ここで一緒になるとは!今度は新4人組なって進みつつ、山伏峠で先頭を交代し、地味に一番眠くて長くて辛いこの区間をガンガン進んでもらった。心強いってこの事!行けども行けどもつかない石割山分岐だったが、応援カウベルの音が聞こえてきて3つ目の山を越えたことをしっかり自覚した。二十曲峠への下りを丁寧に降りやっとの思いでエイドに到着(23時40分)。到着後まもなく友達と再会!さらにエイド内て知り合いとも再会!!!
【F8 二十曲峠】
二十曲峠のエイドはまさに真夜中の野戦病院、狭いエイド内には仮眠者でごった返し、蒸し暑くて息苦しい。腰を落ち着ける場所もなく、立ったままお湯だけもらって自分でカフェオレを作り、カロリーメイトを食べる。うまく食べれないし呑み込めない。。。そろそろ俺も食えなくなってきたなと自覚。食えない時は食わないってことも学んだので、気にしない。唯一インゼリーだけは押し込めた。椅子が確保できたので、みんな5分仮眠しようってことで寝るも・・・寝れない。こんな状態の時エイドでどんなふうに過ごすといいのかまた改めて考えようと思った。30分くらい休憩し、体が冷えないうちに杓子山に向かってスタート。これからは6人組で進む。
【F8 二十曲峠~F9 富士吉田】
今度は自分が先頭。立野塚過ぎたあたりで後続の友達がペースダウン。ちょっとペースが速かったか…比較的ペースが速いメンバー3人に先をいってもらい、二チームに分かれて進む。ここからが急登で岩を登るロープの難所続く。どんだけ後ろが詰まろうとも、目の前の足場に集中し一岩一岩丁寧に超えていく。それにしても長い。長いとふと真夜中になんでこんな岩にしがみついてるんだろうと何度も思う。きっとみんなもそう思っていたに違いない。偽ピークの子の神に到着、ここまで来たらあとは杓子の「あの鐘をならすのはあなたー」と心の中で歌いながら走る。ちょっと心に余裕が出てきたのか、ゴールが近づいてきたと少し感じ始める。待望の杓子山到着。さっき先行した3人が待っててくれた!寒いのにありがとう!目覚ましの鐘を二回突きいよいよ杓子の激下りに挑む。
ここからはまた自分が先頭になり、足を着く場所や向き、ロープを確認し、声を出しながら下る。それにしてもこの朦朧状態でこの激下りは超ハードだ。足の置き方、ロープ使い方を間違うと滑落する危険もある。それくらい緊張する場所。ある意味、ドキドキ過ぎて目が覚めるのでちょうどいいのかな?ここも地の果てまで落ちていくかのような長さ。熊森山の下りとはまた違った斜面で一度降りたら当分来たくないと思えるほど嫌な下り。…と散々頭で文句言いながら降りた。ようやく尾根から逸れ、つづら折りのトレイルに入る。緩やかなトレイルはふかふかのベットのようで、このまま走りながら寝てしまいそうになる。3kmの林道をゆっくり走ったり、歩いたりしながら、「ゴールは何時かなー」なんて完走を意識した会話も始まり、4時過ぎに富士吉田エイドに到着。10分くらいして友達とチームメイトが到着。
【F9 富士吉田エイド】
着くやいなや、補給の水をもらい行く。でも飲んだら消毒液の匂いに反応し、気持ち悪くなって全部吐いた。うー水が補給できない。ひとまずサーモスにお湯入れてもらって紅茶を作り、匂いを飛ばし喉を潤す。あーーーーうまい。砂糖があればさらによかったのになーーー。そんなわけで期待した吉田うどんには手を付けられず、次回に持ち越し。明け方の子のエイドはめちゃくちゃ寒く、外にいると体が冷え切ってきたので早々に出ようと決意。ここでまた男子4人チームと女子2人チームに分かれて再スタート。
【F9 富士吉田~ゴール】
霜山の入り口までのロードは体が温まるまで歩いた。エネルギーも切れかけている気もする。入口手前での応援で気合が入いるも、柵を超えた瞬間、登りの斜度のきつさに気が遠くなる。本当に嫌な登り、いちいち力がいる感じですぐ暑くなり、着ていたタイツや防寒、ヘッデンをしまい身軽にして再スタート。あーーこれだ!朝日を浴びながら、一歩づつもくもくと登る、長い長い登りを登る。何度もある偽ピーク騙されながら登る。霜山の登りの極意は、頂上を目指すのではなく、ゴールにたどり着くまでの長い登りと捉えなおすといちいち落胆せずに取り組める。果たして気持ちも体力も弱っているこの区間で、そんな気持ちになれるかなーとも思った。そうこうしていると、ついに何でもない尾根に到着、ここから先は下りですよーーと。ここの下りを颯爽と駆け下りる事こそUTMFの醍醐味。って思ったのもつかの間、下り始めると胃の筋肉が痛い・・・着地した瞬間もろに内臓に響く。なんも食べてないのに胃がキリキリ痛む。今回初めて感じた体の痛み。後ろから元気な選手がガンガン抜いていく最中で、できる限りそっと着地し、だましだまし降りていく。先に行ってください!というも、みんなも遅い僕を気遣いながら降りてくれた。
ようやく最後のロードにでた。沿道の方が「おかえりー」と言ってくれるだけで涙が出そうなる。泣くのはまだ早い。さっきまで痛かった胃の痛みが嘘のようになくなる。あれ?ロードを走るとどんどん体が回復してくる。どこからともなくエネルギーもみなぎってきた!すごい!応援の力だ!富士急に入るところで遠くに我サポーターを発見!思わず駆け出す。ほんとは、大きな声で「ただいまー」って言いたかったけど他のお客さんがたくさんいたので、ぐっと堪える。ゆるやかなカーブをみんなで一緒に登るとさらに大きな歓声に包まれる。歩道でハイタッチしながら「戻ってきたぜー」と心の中で叫ぶ。ゴール手前のゲートでさらに人と歓声が増え、たくさんのチームメイトにも声をかけてもらい、思わず飛び跳ねながらうウインニングロードを駆け抜けた!ゴールはスマイルがテーマだけど、そんなこと思わなくても笑ってた!みんな最高だから!おしまい
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