就活人気ランキングは、”ラーメン食べたことない人によるラーメン人気ランキング”
楠木建『「好き嫌い」と才能』を読んでいます。
楠木さんと高岡浩三さん(ネスレの元CEO)との対談の中で、採用活動について以下のような話が出てきました。
高岡 たとえば、毎年「就職人気企業ランキング」が発表されていますが、私がCEOに就任したときは人事部門が「ベスト100に入るのが目標です」と言っていました。しかし、「ちょっと待てよ」と思った。仮に毎年就職活動生が100万人いるとして、私たちが本当に欲しい人材は、たぶんそのうち1%もいない。そんなにたくさん採るわけでもありません。十把一絡げの学生全体による人気投票より、本当に欲しい人材による人気投票がいいわけです。逆に人気企業ベスト10みたいになってしまうと、欲しくない人からたくさん応募が来て、採用業務にすごく時間が取られてすごく非効率。
「人気企業」として認知されると、「よくわからんけど人気なら選考受けちゃお!」みたいなアホ大学生がたくさん応募してきます。(私も御多分にもれずそのアホ大学生だったのですが)
そうすると、企業としては選ぶ・落とす手間が増えるだけです。
企業側から見ると、自社に合わない・自社で活躍できない”ハズレの学生”を引く確率も高まります。
人気企業ランキングを上げようとするより、自社に合う・自社で活躍できる学生に絞ってアプローチしたほうが効率的。
人気企業になる方が、採用の観点からいうと損かもしれません。
また、これを受けて、楠木さんは以下のように語っています。
楠木 僕がいつも思うのは、就活生の人気企業ランキングって、「ラーメンを食べたことのない人による人気ラーメン店ランキング」みたいで、あまり説得力がないということ。誰でも知っている会社がランクインするのが当たり前。毎年見ていますが、文系学生の人気ランキング上位は商社やメガバンク。これって僕が学生だった30年くらい前とほとんど変わっていない。
この比喩最高ですね(笑)
実際にラーメンを食べたことがない人がランキングをつけようと思うと、知ってる・知らないが大きな判断基準になります。
そうすると、知名度の高さがすなわち人気の高さとなり、ラーメンのジャンルや味、麺の種類といった、諸々の条件は無視されます
知名度ランキングだけを見て店を選べば、「あっさりした塩ラーメンが食べたかったのに、こってりした家系ラーメンが出てきた」みたいなことになりかねません(想像するとおもしろい)。
「周りの友達や親が知ってるような、有名な会社に入りたい!」という思いを持って就活をする大学生は多いですが、多くの人が入った後にミスマッチを感じることとなります。
思ってたラーメンと出てきたラーメン(仕事)が違ったんでしょうね。
「自分が何を求めるか」を定めないと、ラーメン屋も、就職先も選べません。
ラーメン屋:
麺、スープ、ジャンル、具材、提供時間、価格 とか?
就職先:
業界、職種、組織文化、労働時間、給料 とか?
ラーメンに当てはめて考えると、企業選びもイメージしやすかもしれませんね。
麺が仕事内容で、その周りのスープが組織文化、具材は福利厚生、価格が給料・・・みたいな。
「就活はつまりラーメン屋を選ぶようなもので・・・。君は麺とスープと具材の中で、どれを重視する?」みたいなワケのわからんことを言う。
どっかの大学生に試してみようと思います。
まあなんにせよ、企業にとっても、大学生にとっても、「就活人気ランキング」なんて役に立つものではありません。
企業にとっては採用の手間が増える、学生にとっては合わない企業を選んでしまう原因になります。クソですね。
と言いつつ、たぶん自分の入ってる会社が人気企業ランキングで上位だったら嬉しいだろうなぁ。
あしたのチームは・・・入ってませんねぇ(笑)
いい会社なんですけどねぇ。