好きな色がずっと変わらない
「あなたの好きな色は?」
よく子どもの頃に聞かれた質問。
正直、少年時代はこの質問
なんの意味があるんだろうかと思っていた。
好きな食べ物だったり、好きなスポーツを聞くのはまだ分かる。そこからの話題の広がりようだったり、好きなものが被っていた時の「何だか友達になれそう感」も凄まじいものがあるから。
ところが、好きな色に関してはどうだろう。
好きな色が同じだった相手に「私も赤色好き!一緒に赤色を着よう!」となって服を合わせようと思うことは滅多にない。
そもそも好きな色が被ることなんてざらだし、それが分かったところで出来ることの幅はさして広がらないような気もする。
と、屁理屈を言ったとて、小学校の自己紹介シートから好きな色に関する記述が消えることは無いし、今はこの好きな色の質問のおかげで書くネタが出来たのでむしろ感謝しなければならないのだけど。
そんなこんなでずっと脈々と受け継がれてきた
この「好きな色は?」と言う質問。
自分は何と答えていたかと言うと
今の今までずっと「緑色」だった。
幼稚園、小学校、中学校と学年が上がっても、大学生になり社会人になった今でも「好きな色は?」と聞かれたらきっと「緑」と答える。
幼少の頃を振り返ってみると、幼稚園や小学校では好きな色と言うのは大概決まり切っていて、男の子であれば赤や青、女の子だったらピンクや水色。
そこまで大差ないような気がするし、大体の子どもたちが一度は通る道、ならぬ通る色だろうと思う。
赤や青と言えば主人公やクールな役のキャラをイメージする色だし、少年が憧れる要素がふんだんに盛り込まれている。
打って変わってピンクや水色は可愛いキャラクターが身に着けていたり、メルヘンでファンシーな印象を連想する。
それに対して、緑色はどうだろう。
なんだか主人公色と言う感じでもないし、ピーマンやグリーンピースなど小学生が苦手な野菜と言われて思いつくのは緑色のものが多い。まぁ野菜って大概緑だけど。
ちなみに「緑のキャラ」と言われて最初に思いついたのはルイージだった。憧れのキャラがルイージの小学生なんて、その齢にして悟りを開いているとしか思えない。
さらに時は経ち、大人になっていくにつれて好みの色も移ろい変化していく。
青一辺倒だった小学生男子も白や黒のモノトーンの方がかっこ良いかもと気づき始めるし、女の子はピンクオンリーを卒業する時期がきて、黄色やベージュを筆頭に様々な色を好きになっていくようになる。
そうやって多くの子供たちが最初の色を巣立ち、渡り鳥のように飛び交っては好きな色を探しに行く中でも、自分は頑なとして緑色が好きだと言い張っていた訳だ。
身に着けているものや家に置いてあるものを始めとして、緑のものは各所に散りばめられている。
カーペットもカーテンも緑だし。
何でこんなに好きなんだろうと考えると
答えは至ってシンプルなもの。
好きな物が、大体緑色だったのだ。
特に「抹茶味の食べ物」は四六時中食べていた。
アイスやお菓子なんかもみんながバニラやストロベリー味をさっさとかっさらっていく中、黙々と抹茶味の何かしらを食べていた。
さらに家族の中でも抹茶好きは周知の事実であるので、集まってハーゲンダッツを食べる時は当たり前のようにグリーンティー味が自分の前に置かれるようになった。
今はさすがにずっとだと飽きてしまうけど、もはや大人を通り越しておじいちゃんのような感性を持ち得ていた当時の少年は、嫌な顔ひとつせずに毎度のごとく出てくる抹茶味を食べきっていた。
他には「森」も緑色で好きだったものの一つ。
鬱蒼とした樹海ではなく、木漏れ日が射してくるタイプの森。
緑が生い茂る木々の中を探検するのは、なんだかファンタジーゲームの中に迷い込んだみたいで、どこにでも駆けていけるような自由さがあった。
森を探検で思い出したけど、そう言えば「ゼルダの伝説」も好きだったな。
さっき緑色のキャラでルイージを真っ先に思い出したとか言ったけど、リンクの存在を忘れていた。彼は間違いなくかっこいいわ。
ちなみに好きなタイトルは「風のタクト」
好きなBGMは「サリアの唄」
他にもずんだ餅とかよもぎ餅とかも好きだし、そう言えば誕生石もエメラルドだし、そんなこんなで数えだすときりがない。
そうやって幼少期から好きな緑色のものに囲まれて育っていると、どこかしらで嫌気がさしてきそうなものだけども、今の今までこれっぽっちも緑色を嫌いになることはなかったのだから不思議なものだ。
ちなみに、同じ緑と言っても少しの好きの差はある。
実は先日読んだ「木曜日にはココアを」と言う短編小説でも、この緑色についての話が出てきた。
そのエピソードでは、異国の地で絵を描き続ける女性が「私だけの緑」を見つけようとする。彼女は普段も緑色の物を好んでいて、幼少の頃からその色に魅せられてきた。
雑貨でも文房具でも家具でも、選ぶ時はまず緑色を見る。でも緑色のアイテムならなんでもいいというわけではない。苦手な緑色もあるし、そこそこいい感じでも、ちょっと違うんだよなぁと思うものがたくさんあった。(p.126)
そんな彼女のこの言葉に
めちゃくちゃ共感してしまった。
自分も緑が好きとは言うものの全てが一緒くたに好きなわけではなくて、明るくてビビッドな緑色と言うよりは少し暗めで和テイストな緑色の方が好きなことが多い。自分は抹茶が影響しているとみている。
もちろん緑色が好きなことは前提として、本当に些細な色の差ではあるのだけども「なんだかピンと来ないな~」と言う緑色と遭遇することも往々にしてあるのだ。
ただ、そうやって自分の脳内パレットで思い描く理想の色を探す時間も決して悪いものじゃない。苦労して探したお気に入りの色に出会えた瞬間は格別なものになるから。
それにしても、せっかくこんなに緑について書いたのだから、自然溢れる山に登って、好きな抹茶のスイーツを食べて、そして「ゼルダの伝説シリーズ」を久しぶりにやってみようかと思っている。
好きな色の好きなこと、詰め合わせ。
春になったら、そうしよ。