理系好きな中高大学生に焦点を当てた本:『13歳からのサイエンス』緑慎也、ポプラ新書
本屋さんでたまたま手に取った本が思いのほか良かったので急遽、記事にすることにしました。
『13歳からのサイエンス』緑慎也、ポプラ新書
本書は、サイエンスライターである筆者が理系好きな中高大学生8名を取材したものです。
対象者は全員、種々の科学自由研究コンテストで優秀な成果を残した若者ばかり。
どのエピソードも興味深く、また考えさせられるところもたくさんありました。
徹底的にその人個人に焦点を当てている
本書の特徴として、その人個人に焦点を当てた構成になっていることが挙げられます。
これまでどのような生活環境で過ごしてきたか
何をきっかけに研究を始めることになったか
研究で苦労したところや、成果を確信した瞬間はどこか
今後の進路と、これからやりたいことは何か
などなど
その人の人生を見ている気分になって、ついつい読みふけってしまう内容でした。
研究内容そのものも興味深い
彼らの行った研究それ自体も、それぞれ独自の視点があってなかなか面白いです。
落ち葉の表裏、ピザの定理の拡張、活字の拡大アプリ、おがくずの断熱材、火星の水の粘性、アンモナイトの絵、麹菌の輪、蚊の刺されやすさ
どれもタイトルだけで興味をそそられます。
筆者の説明も簡潔かつ的確で、不明瞭なところもなくスラスラと読み進めることができました。
彼らのような若者をどう支援すべきだろうか
本書に登場する若者たちは、生活環境は様々ですが一つ共通しているのは、幸運にも周りの手厚いサポートが得られたということです。
貴重な体験を成しえた彼らには、さらにやりたいことを後押しするような支援が引き続き受けられるように願っています。
一方で、その陰にはチャレンジしても思うような成果が得られなかったり、さらにはその機会さえも与えられなかったりした人たちも居たことだろうと思います。
本書のコラムにある「集中よりも機会均等を」との指摘には、深く考えさせられました。
最後に
本書は、理系好きな中高大学生にも、またその親御さんや周りの人々にも参考になる部分が多いように思います。
皆さんも是非、読んでみてはいかがでしょうか。
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