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「任せる」って言葉、多用してませんか?
はじめまして、渡部です。GMOアドマーケティングというアドテクノロジーやメディア様の広告商品開発などを行う会社の代表をしています。
今回、縁あってマネジメントAdvent Calendar 2021に参加させていただくことになり、記事を寄稿させていただきました。
自己紹介
私はGMOインターネットグループに2004年に学生入社し、営業・商品企画などを経て2007年にメディア運営を行う会社を設立、26歳で取締役になり、その後事業の拡大やグループ内の再編を経て今は100名ほどの組織を見ています。
リアルな情報がどんどんネットに集まりコミュニケーションが活性化し、人にとってなくてはならない存在になったインターネットを皆が無料で楽しめるためには広告が不可欠な存在。
入社から一貫してメディアの広告商品開発や販売支援を事業の軸としてきています。
最近は「アドテクノロジー」と呼ばれる、見ているコンテンツやユーザーに関心の高い広告を届けるための仕組みの開発が事業の柱となっており、エンジニア・ディレクター・営業の皆と一緒にプロダクトを日々磨いているところです。
私がEVeMの研修を受けたワケ
今回のご縁をいただいたきっかけでもありますが、私は今年、EVeM長村さんからマンツーマンでマネジメント研修を受けさせてもらいました。
10年以上経営側としてマネジメントを行っていますが、割と場当たり的に対処してきてしまっており、事業は仕組み化できてもマネジメントの仕組みや、人材育成に関しての仕組みが弱いと感じており、マネジメントや評価は会社によって異なるから難しいものだと思っていたところ、長村さんから「マネジメントには型がある」と話を聞き、まずは自身が学んで、組織にインストールしたいと強く思い、受けることにしました。
このあたりの経緯や、どんな事を学んだのかはこちらでインタビューいただいていますので、ご興味あればご覧ください。
権限=任せることが人を成長させる
10回以上におよぶ1on1の中で様々な気付きがあったのですが、その中でも印象的で、思わず幹部合宿で時間をとって話をしたテーマについてお話したいと思います。
メンバーに業務を任せる際は、権限とセットで任せること
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個人的にあまり「権限」という言葉が権力っぽくて苦手で経営上意識してこなかったのですが、メンバーが「この件を決める立場にある」と明確にすることは、結果としてメンバーの成長を促進させるガソリンになると気付かされました。
結果、日々のコミュニケーションで思い当たる反省点を正したり(任せる気もないのに任せるって言わない)、権限表を社内で作って「これはリーダーが決めることです」と掲示するきっかけになっています。
任されているから「想い」を決断に乗せられる
業務と権限がセットで与えられ、最終自分が決めなくてはならないからこそ、上司にお伺いを立てるのではなく自分が考え、決断をする。この結果が良かった時、悪かった時。このサイクルを経て人は成長するという考え方です。
また権限とは、言語化できない自分の「勘」も含めて判断する権利が与えられているということ。例えばA社とB社どちらをパートナーに選ぶか、という時に取引条件だけだとA社が良い。でも担当者の信頼性から今後の伸びしろはB社と組んだほうが良さそうと自分は思う。この時自分に権限がなければなぜB社を選ぶか?の説明と説得責任を果たせないと判断すると、上司には条件だけを持っていって選んでもらうことになり、結果A社になってしまう。
権限があることで、表面化されていないけれど感じ取れた全ての情報を元に自身が判断することができます。これによって、自身の「勘」が養われ、ビジネスマンとしての成長が期待できるでしょう。
上司が「任せる」時に気をつけなければいけないこと
任されることで人が成長できるお話をしましたが、今度は自身が経営者だったりマネージャーだったりで、メンバーにある業務を「任せる」時に気をつけなければならない点をご紹介します。
任せた責任は上司にある
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業務と権限をセットで任せることがメンバーを成長させますが、その結果の成功失敗の責任はそれを任せたマネージャーにあるという事を意識しましょう。
失敗したとしても、「僕がその件、リカバリーするね」「一緒に善後策を考えよう」と、メンバーに責任を押し付けずずマネージャーが責任を持って社内・社外への対応を行う必要があります。
これがないと、メンバーは安心して自身の決断で動くことができないですよね?常に顔色を伺ってきますし、権限を受け取れなくなってしまいます。
もちろん、権限を渡すには早いメンバーに渡してしまうと、結果として失敗することが多いわけですが、この場合には事前に「3回うまくいかなかったら、次から僕が決めるようにするね」等、権限の撤回条件を予告しておく事もよいでしょう。
任せた仕事には常にYESで
まずこちらの上司とメンバーの対話シーンをご覧ください。
上司:
この仕事、任せるからよろしくね!
メンバー:
承知しました!がんばります。
メンバー:
あのーだいたいできまして、この形でいこうと思うんですけど、どうでしょうか?
上司:
なるほど、ここはいいんだけど、こっちはもう少しこう変えたらよくなるんじゃないかな?どう思う?
メンバー:
確かにそうですね!直します。ありがとうございます!
日常でよくある光景だと思います。上司は親切に、メンバーからの相談にアドバイスしているようですが、これには問題があります。何でしょうか。
メンバーが自分で決めていない
メンバーは任された仕事に対して自分で決めずに、最後上司の意見を聞いて正解にしようとしています。
こうなる理由は様々で、
「僕が考えるより上司の意見を取り入れたほうが早いや」
「どうせ自分の考えで作っても最後修正されるから、ほどほどの所ですりあわせたほうがお互いにとってメリットだよね」
などがあります。
自分で決めるのは苦しい。でも決めるから人は考え成長する
最後上司に添削してもらおうと思うと、100%の力で考えずに、例えば資料の細かな表現やデザインまで気を配らずに持っていってしまう事があります。
上司もここで「だいたいいいんだけど、ちょっと自分好みじゃないな」レベルの修正を口出ししてしまうと、メンバーもより一層自分で決める気がなくなってしまいます。
この結果、いつまでたっても確認する関係になり、メンバーは最後リスクをとって決めきる力が育ちません。
ではこの場合、どんなコミュニケーションが良いのでしょうか。
上司:
この仕事、任せるからよろしくね!
メンバー:
承知しました!がんばります。
メンバー:
あのーだいたいできまして、この形でいこうと思うんですけど、どうでしょうか?
上司:
この件は任せているので、君がいいと思うならそれでいいんじゃないの?いちいち確認しなくて大丈夫だから決めてください。
メンバー:
うっ・・・わかりました。自分的に少し気になる点があるのでもう少しブラッシュアップして進めるようにします!
いかがでしょうか。
上司は任せた仕事についての提案は、たとえ少し微妙な所があったとしてもYESで戻す覚悟が大切です。
これによって「あ、自分で決めなきゃいけないんだ」「もっと真剣に考えよう」となり、メンバーの成長につながることになります。
メンバーに任せるべき仕事とは?
ここまで読んでいただいた方の中には、こんな思いを抱いた方がいらっしゃるのではないでしょうか。
「とはいっても100%の答えを出せないから、見て直してあげたほうが成長する」
「そんな手放しに任せられる仕事なんてないよ」
そこで上司がメンバーに「任せる」仕事はどうやって選べばよいかについてお話したいと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1639118308199-DLP5bWADb4.png?width=1200)
メンバーに任せてよい仕事は、メンバーがその業務に対するスキルが十分あって、かつ上長にとってその業務が目標達成においてクリティカルでない(相対的に重要度が低い)仕事となります。
スキルが十分あるからこそ、考えて出てきた答えは100点満点で80点以上が期待できる。
スキル不十分な仕事を任せてしまうと60点で返ってきたり、全く的を得ない回答が返ってきたりします。この場合には一緒にやったり、最初から添削ありきでオーダーをすべきです。
また、スキルが十分にあってもその仕事が部署の命運を左右するような、例えば最も重要なプロジェクトだったり最大顧客の対応の場合には、1%のミスも許したくないケースもあるでしょう。
こういう場合は「任せる」ではなくて定点観測として定期的な報告をしてもらって、時に指摘したり考え方をティーチングすることで、目線を合わせる必要があります。
簡単に任せるという言葉は使わない
ここまで読んでいただいてわかるとおり、「任せる」ことはメンバーの成長のために非常に強力ですが、その人に何でも任せられるわけではありません。
気をつけてほしいのは「任せる」と言った事に対して細かな注文をつけてしまうこと。
それはそもそも任せるべきでない仕事を「任せる」といってしまっている上司の問題となります。
「これは一緒にやろう」
「いったん作ってみてね。できたら確認します」
など適切なオーダーによってメンバーの成長を促すマネジメントを意識していただければと思います。
おわりに
初めてnoteを書きましたが、思ったより長くなってしまいました・・・汗
長文にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
ここでご紹介したノウハウも含めて、EVeMのマネジメント研修(法人マネージャー向け、経営層向け)にご興味ある方がいらっしゃいましたらご紹介いたしますので、TwitterでDMいただければと思います。
それでは!