夏の下り坂(Pさん)

 今朝、早い時間に目が覚めてトイレに行って戻ると、雲が異様な盛り上がり方をして濁った朝焼けの色をしていたような気がするけれども寝ぼけて印象が大きくなっている可能性もある。
 ちゃんと目が覚めてしばらく過ごしていても、何だか陰っている。外へ出てみたら、もちろん暑いが肌を激しく刺してくるような、あるいは排気口から出てくる風を直接浴びているような苛烈な暑さではなくなっているのを感じ、やはり八月の入り口と、終わりとでは暑さの種類が違っていて、十日間ほど続いた、夏の特に暑いピークの所はもしかして過ぎたのでは、という期待を抱いている。
 それはある意味ではあっという間に、ほとんど出掛けもせず過ぎ去ろうとしていることへの寂しさでもあるかもしれない。何かしら夏らしいことをしてから過ぎてほしい夏でもあった。今まで、冷静に比較することができなかったが、夏と冬だったら、夏の方が過ごしやすい。家のエアコンは冷房は安定して効いているけれども暖房が安定しない。凍結して壊れてるんじゃないかと何度も疑った。外に出られなくなる。夏もまあ同じといえば同じだけど、夏に涼しい場所、冷たいものを欲するのに比べて、冬にその寒さをしのいだり暖を取ったりというのは、どこかさもしい感じがある。
 七十年代の優れた小説をさらう必要がある、とふと思った。

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