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そんなことまで言っていいの!? #2 新人賞の選評だけを読んでみて(ウサギノヴィッチ)
ども、ウサギノヴィッチです。
今日は、7日です。7日は文芸誌の発売日です。
しかも、新潮、文藝、すばるの新人賞の発表の月です。
今回は、その新人賞の選評だけを読んでみて、各賞の傾向とかぼくの言いたいことを書いていきたいと思います。
●新潮
「新潮」だけでガチムチな純文学なイメージなのですが、選考委員もガチガチな純文学を欲しているのか、選評を読むだけで手厳しいことが書いてあります。その中で目立ったのは大澤信亮氏の選評ですね。
「今回は△二つ、✕が三つの評価で選考会に臨んだ。」
選考会の前の時点で辛い評価をしている。そして、評価の低い順に評していく。その中で二番目の作品を評していく中では、「つまらない」と一刀両断している。もちろん、前後に文脈はあるのですが、「つまらない」と書いてしまえるほど、厳しいところがある。ただ、大澤氏も鬼ではなくて、途中まで○にしようと思っていた作品が、最後に書かれている。
大澤氏だけでなく、今回は「該当なし」だと思った選考委員もいるし、選考会が史上最長になったらしく、それだけ、受賞作に関して揉めたのか、難航したのかわからないが、むずかしかったみたいだ。
それで二作同時受賞というのは、これいかに? と思ってしまう。
●文藝
前回の受賞者が、芥川賞と三島賞を獲った新人賞としては、作品のレベルの高い新人賞を排出する文藝です。
個人的なことを言ってしまえば、自分の作品がエンタメと純文学の境目にあるから、そこに送っておけば間違いないと思っていたが、今では一番送りにくい賞になっている。
最終選考に残ったのが三作品で、受賞作と優秀賞のダブルが出て、もう一人がかわいそうに思えた。
選評に関しては、選考委員がどれも好意的に受け止めているし、辛い評価を下す人もいない。選評を読んでいるというより、受賞作をプッシュするレビューを読んでいる気持ちになった。そのせいか、受賞作を読みたいと思ったし、難度の高い作品が受賞しているようで気になった。
●すばる
すばるは、今まではノーマークでした。でも、今回から選考委員が変わって最終に残って読んでもらいたい作家がいるので、気になるようになった。ただ、歴代の受賞者をみると、女性が多いし、選考委員も女性が多い。
選考内容は、大まかに言ってしまえば、選評に出てくる順番は好みの問題なのかもしれないが、受賞作は全員に評価はされていた。つまりは、満場一致で決まったように思える。
選評の中で、「ワンアイデアで書いた作品が多い中」という、フレーズを見つけた。それが悪いわけではないけれども、やっぱり、複合的な作品を求めているみたいだった。奥泉光氏の言葉を引用するならば、「選考委員が新人作家(新人でなくても)に求めるものは、「なんだこれは?」と思わず呟いてしまうような驚きである。(中略)ポストモダンの言葉がとんと聞かれぬまでにポストモダンが一般化した情況下、もは古色を免れぬのかもしれないが、「純文学」の言葉に現実性があるとしたら、そうしたところもしかなく、だから今後も引き続き期待しようと思います。」と書いている。
考えてみれば、選考委員はプロであり、たくさんの文章を読んできた人間なのは当然だ。だが、そこに風穴を空けるような新しい価値観の提示をしたら、何かしらの琴線に触れるものがあるかもしれない。
文学なんてややこしいものかもしれないが、そこから人は影響を受けてなにかしら新しいものを見つけるのかもしれない。
今回は新潮、文藝、すばる、でしたが新人賞にたいしては、「新しいなにか」かが求められているのだと、ぼくは思います。