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『ICE MY LIFE』One Minute Literature 第六号

 こんばんは。ウサギノヴィッチです。
 今回もあなたの貴重な一分をいただきます。

 今回も掌編の小説を書いてみました。よかったら読んでみてください。
 それではどうぞ。

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──あなたの手って冷たいのね。
 彼女はぼくにそう言った。彼女はびしょぬれだったが、それよりもぼくの手の方が冷たかった。ぼくの部屋が冷たいのではなく、ぼく自身が冷たいのだ。
 ぼくは親の財産で生きていて、昼間はたいていパソコンに向かってだれにみせるわけでなく小説を書いてる。今まで二千枚ほど書いた。だれかに教わったわけではなく、父親の部屋にある文学全集を読んで書こうと思った。
 書いている作品はミステリーだった。だれかが死ぬことでなんとなくゾクゾクとする気持ちだった。ぼくは書いているときが気持ちよかった。
 ──まだ、小説書いているの。
 彼女はぼくの為に夕飯を作りながらぼくに言った。
 彼女と出会ったのは、本屋だった。非常によくあるパターンだが同じ本に手をかけたのがきっかけだった。そこから、近くのコーヒーショップで話をして、仲良くなった。
 窓の外を見ると晴れ間が見えていたが雨は依然として降っていた。リビングでノートパソコンを使ってかいているのだが。姿見がぼくらを映し出す。それは未来のぼくら。ぼくは年をとっても変わらずパソコンをいじっているし、彼女もとしをとっても料理を作っている。未来も現実の地続きであって、なにも変わらない。しいて言えば、彼女とぼくの間には子供ができないということだけかもしれない。
 矛盾の静けさは悩みかける。彼女と本当に結婚婚するのだろうか。この鏡が映していることは真実なのだろうか。鏡に写っている彼女は本当に今の彼女のなのだろうか。
 ぼくは立ち上がり彼女を抱きしめる。
 ──なに。
 ──好きだよ。
 ──私もよ。
 ──どこにもいかないでほしい。
 ──そこにもいかないから安心して。あなたの手の冷たさは一生忘れられないの。初めてては触れたときから。人の手じゃないと思ったの。でもね、話して見たら人間味のある人で安心した。あなたの好きな本は私も好きだったし。この人ならうまくやっていけると思ったの。
 ──そう、ありがとう。でも、ぼくの心も冷たい人間かもしれないよ。
 ──そんなことはないよ。あなたは十分に優しい。きっとハイジャックが起きても真っ先に私のことを守ってくれると思う。
──ぼくだけ逃げちゃったりするかもよ。
 ぼくたちは笑い合った。
 こんな生活が続けばいいとと心から祈った。手が冷たい間は多分それは大丈夫かもしれないという根拠ない根拠であった。

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