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色移りについて
「葛布の帯の取り扱い」には、念のため、「色移りにはご注意ください」というような文言が入っておりますが、基本的には、通常使っていただく分には、色移りはほとんどしないと考えていただいても大丈夫かと思います。
というのも、帯地の最終仕上げで、「ぬるま湯通し」「葛粉糊がけ」といった工程があり、そこでは、濡れた布地どうしが擦れ合ったり、重ねられた状態で叩かれたりしますが、色は全く移りません。逆に、ここで色が写ってしまったら品物としては失敗となりますし、そのようなものは、販売もできません。
しかし唯一、心配であったのは、藍染めでした。「染めたてでも色移りがしない藍染め」の方法を、私はずっと試みていて、しかし全く到達できず、従って、「必要以上に濃く染めない」「良く洗い良く天日干しする」「年数を置く」ことを通して、色移りがしなくなったものを使うようにしていました。
ところが今夏、北海道の記録的な猛暑のお陰か、「色移りのない藍建て」が出来ました。染めたてでも、本当に、全く色移りがなく、感激しています。
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写真は、糊がけ中の葛布帯地です。濡れた状態で重ねて上から叩いても、このように、全く色は移りません。