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頭使うのにも体力が要る
数年前からオンラインでの繋がりが急激に増えて一時はほぼ毎日何かしらでオンラインで繋がっていたような時期がありまして、その時、ふと、そういえば最近近所の人と全然話をしていないな、と、妙な違和感を覚えました。身体はここ、でも意識はどこかに霧散しているような、宙に浮いているような。
すると、無性に「身体を使いたく」なりました。そこで、少しオンラインのものからは距離を置いて、とにかく体を動かすことにしました。近所の人達と話し、山登りや、スキーをたくさんして、意識を、自分の身の回りの草木動植物と、人々と、そして自分の「身体」に向けた。
今冬は、その流れで、かねてより夢だったテイネスキー場のシーズン券(通称KWP)を購入、「とにかく身体が欲した時に行く」を心がけ2ヶ月。うちから車で片道20分で着き、滑っているのは一時間程度。往復2時間で、標高1000メートルの山を滑ることができる、なんて贅沢なのだろうと、幸せを噛み締めます。これまでは、行きたくても行けないと(勝手に思い込み)、悶々としていたのですがそれもなく、心も体も実にスッキリしています。
そうして、一月も半ばが過ぎ、変わってきた事があります。制作に向かう時の集中力と思考を巡らす時の体力です。明らかに以前とは全然違う。余計なことを考えず、集中したい時にはパッと動ける。メリハリのきいた動きや思考が出来るようになりました。そんな自分に驚きます。
機場と暮らしの場が同じなので、気を抜くと一日で数百歩も歩いていないような時があります。下手をすると、制作が仕事と言って、何を犠牲にしても作業場である自宅に張り付いて長時間労働して頑張らねばという感覚すら、持ってしまいます。しかし、私の場合は、それでは良いものづくりは出来ないのだと思いました。
身体を使うのに体力が要るのは当たり前ですが、頭を使うのにも体力が要る。心を健全に保つのにも体力が要るのですね。
良い身体づくり、良い心づくりを心掛けることは、良いものづくりを続ける上でもとても大事だと、つくづく思いました。
これからも好きなことに邁進していこうと思います。
【雪草乃記】vol.31 2023.1.21