布は土地と紐付く
帯地、帯の頂くご感想で多いのが
「独特」
という言葉です。
雰囲気であったり、質感であったり、光沢の感じや色合いであったり
人によって観点は色々と思います。
躊躇なく言いますと自分でも割とそう思います(似たようなものを他で見ることがない、例えそれが葛布であっても)。
以前、住居兼工房の土地を探すのにあちこち見て回ったことがあります。その時に、「ここで制作したら作風が変わるだろうな」と感じた土地がいくつかありました。
例えば極端に言えば、沖縄に移り住んで制作をしたら、今とは全く違うものが織り上がるのではないかと思います。もちろん、素材や微生物や水や気候の違いも含めて。
すると、今私が織っているこの布は、ここ、札幌手稲の地の、気候や微生物や葛はもちろんのこと、私が普段触れて見ている景色〜無意識の中に仕舞い込まれる数々の私の中の風景〜が影響しているのだろう ことが想像されます。
葛布は元は北海道にはない文化、
「布は土地に紐付く」ものであることを、ずっと負い目に感じていましたが、
流石に20年も経つと、1人でやっていても、「この布は、この土地だからこそ」のものであると、少しは言えるようになってきているのかもしれません
【雪草乃記 vol.27】2022.12.25