六寸帯または角帯地について 2
webサイトに掲載している「works」には「六寸帯または角帯地」と表記されているものがいくつかあります。
ご依頼があって織ったものは「六寸帯」もしくは「角帯」と単独で表記しますが、ご依頼なく制作したものは「六寸帯または角帯地」と表記します。
六寸帯は六寸、幅約3.788cm×6=22.728cmで、縦方向に真半分に折ると幅約11cmとなり、少し幅広めの角帯としてもお使いいただけます。そのことを明記したく、そう表記しています。
私の考えとして、葛布の帯はできれば芯を入れずに布を布のまま使っていただきたいというのがあり、そのため、角帯の仕様は随分悩みましたが、お世話になっている仕立て師さんからのアドバイスもあり、六寸帯を角帯としてもお使いいただける方向で制作をするという形に現在は落ち着きました。
芯を入れずにお使いいただきたいご提案の理由はこちらに書いてあります。
六寸帯を作るようになったのにも細かい経緯はいろいろありますが、最終的な理由としては、
「八寸帯ほど畏まらず、しかし半幅帯ほどカジュアルでなく、という微妙な状況に、葛布の独特な光沢とハリも相まって大変重宝する」
と感じていることが挙げられます。また、
「折り目を気にしなければ男女共用で使っていただける」
ということも挙げられます。
着物は男女の別が激しすぎます。男性用の着物、女性用の着物があるのは歴史的流れとして仕方がないとして、どちらを着るかは性別に依らず個人の自由、あるいはその時々の感覚で選びたいものです。または、それらが融合したような新しい形の着物が着られるようになっても良いのかもしれません。そうした着物には六寸帯もきっと似合うでしょう。
とはいうものの「葛布の帯を八寸帯として芯を入れずにお使いいただく」ご提案と同様、六寸帯地の制作は初めの頃は恐る恐るでした。しかし現在では興味を持ってご購入くださる方も増え、ご感想をいただき、自信を持って制作ができるようになりました。
単(ひとえ)であること、芯を入れないこと、六寸帯と角帯のこと、などは、過去にも何度か記事にしていますので、よかったらご参考にしてください。
カバー写真はチシマザクラ 2024.5.4 札幌で撮影