胸のしこりを取るまで。(4)
検査で3センチ大のしこりが左胸に見つかったのが、2018年8月。
半年後の定期検診で、2019年の2月に再検査。
変化なし。
1年ごとの定期検診を言われていたので
2020年の3月定期検診を受けた。
4センチに大きくなっていた。
その時はまだ実感もなく、以前の針生検も良性の結果だったが
不安の波が再度、私を襲った。
紹介状をもらって最初に行った病院の先生と
相性がよくなさそうだったのと、
その先生の対応がどうも腑に落ちない私がいたので
転院前提でセカンドオピニオンを決めた。
その先生は都内の総合病院の乳腺センターのセンター長。
色々調べていく中で、気になった先生の一人だった。
総合病院の会報がwebで見れたので読んだりしていた。
無事に新たな紹介状も手に入れたので早速、予約の電話。
新型コロナウィルス の影響で病院が空いてる時期だったからかか、
出勤が多い先生だからか結構近い日にちで予約が取れて一安心。
2日後に診察してもらえることになった。
予約が取れたその翌日、病院から入電。
何だろうとコールバックしたら、希望したその先生が
直接電話をくれた。
「(え?大きな病院の専門医の先生なのにこんな仕事もするの!?
総合病院なのに、専門医が直接予約段階の患者に連絡をくれるのは
普通なんだろうか?)」など思いながら電話を受けた。
先生は効率よく診察ができるように来院時間の調整ができるか
自ら電話をくれたのだった。
もう、この時点で好印象だ。
返事のタイミングが難しいくらい少し早口な先生だったけど
私の話もちゃんと聞いてくれた。
会ってないのにこれだけで少し安心するのは私は患者なんだなと実感した。
その病院は初めて行く病院で勝手も何もわからず、建物も古い病院だったが
スタッフさんが親切で、先生も親切な印象だったので
アットホームな総合病院なのだろうと思った。
紹介状の受付を済ませ、様々な検査が始まった。
先生の検診の前に放射線を使うマンモグラフィ以外の検査は
その病院で受け直してもらうとのことで
乳房エコー・心電図・胸部レントゲンを受け、診察を待った。
私以外にも3-4人患者さんが乳腺センターの待合にいたが
他の患者はほぼおらず、急を要さない病院の診療を
この時期みんなが控えているのだなと強く感じた。
待つことほぼ1時間。。。診察室に呼ばれた。
どんな先生かドキドキしたが、電話口まんまの距離の近い先生だった。
当然この時期でマスクをしているせいで顔は上半分しかわからなかったが
診断も早く、でもシステマチックに適当な診断をする印象もなく
画像をみながら腫瘍の場所・サイズ、
乳がんと葉状腫瘍の違い、色々説明をしてくれた。
最初の先生はこういう説明を先生からしてくれなかったので
勇気を持ってセカンドオピニオンに踏み切って本当に良かったと思った。
やはり葉状腫瘍で、生検では良性ではあるが成長が懸念されるので
切除は必須とのことだった。葉状腫瘍は再発のリスクがあるので
半年に一度は検査を受けたほうがいいね、とも。
先生はマイナスの発言を一切しない。
リスクや怖い話でビビらせるわけではなく、
やるべきことを淡々と雑談を交えて伝えてくれた。
顔はよく見えないけど、よくしゃべる。
でんじろうみたいな面白い先生だった。かなり話しやすい。
リラックスして質問できた。
「前の病院で創傷が7-8センチと言われたのですが、
どのくらい切りますか?」と聞くと
「腫瘍が4センチだから、4センチしか切らないよ?」と言われた。
「(・・・は???え??ん???そうなの??)」
また、検査院の先生が言っていた事を思い出した。
・・・
「あーそれは先生によってやり方が違うから、
腫瘍の上直かもしれないし、腫瘍の脇かもしれない。
どれぐらい切るかも先生によるから一概に言えないのよね」
・・・
マジだったよ、、、本当に違ったよ。。。
良性の葉状腫瘍っていう診断や切除対象ってのは同じだったけど
7-8センチと4センチとじゃ、おっぱいの傷としては全然違うよ!!
「・・・先生、おっぱいの形は結構変わりますか?」
「んーそうねーそんな変わらないと思うよ、ちょっと見せて?」
と言って初めて私の胸に触る先生。プラスチックのノギスを取り
私の胸のしこりにあてがって切る長さを測っている。
「うん、やっぱり腫瘍は4センチだし
その位置でちゃんとマージン取っても4センチでいけるよ。
腫瘍も胸の横で切るのも横だから前から見たらほど変わらないね!」
と断言した。
「(うぉおおお!!!)本当ですか!!(嬉)」
「うん、大丈夫。部分麻酔でいけるよ。怖かったら全身麻酔でもOK。
日帰りと入院、部分麻酔と全身麻酔どっちがいい?任せるよ!」と言われ、
良かったー!良かったよー!さっさと取りたいよー先生ー!
と思ったが、翌週の手術日を提案され、正直ビビった。
私は部分麻酔の日帰りを選択し(後に家族に怒られることになる。)
翌々週に手術日を設定してもらう。。。
「じゃぁ、CT検査は手術当日でいいから、今日できる検査お願いね。」
とのことで血液検査と血が止まるかの検査を追加され、
別フロアでの採血検査に向かった。
まぁ、普通の採血室。採血も上手で順調に終了。
血が止まるかの検査を、と奥の部屋に案内された。
別の看護師の方に、荷物を置いて楽にしてくださいと言われた。
看護師の方はストップウォッチと平べったい何かを持っていて、
それをピリッと開封した。
カミソリだった。
わーーーーー怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い(泣)
一気に心拍数が上がる。
え、どこ切るの?どれぐらい切るの???(少しパニック)
「少しだけ耳たぶを切りますねー。」
「(ひぃっ!!)」と思ったのも束の間、
「はい切りました、時間測りますねー。」と言われ拍子抜けした。
全然痛くないし、ちょっとしか切っていない。(当たり前)
でもカミソリで切るっていう響きがなかなかやはり怖い。
こういう時、本当に看護師さんやお医者さんを尊敬します私。
治療のために患者さんを切ったりするんだもんね。
頭が上がらんです。。。
カチカチと昔ながらの銀色アナログストップウォッチが鳴っていたが
程なくして血が止まり、小さなテープを耳に貼ってもらって
あっという間に検査が終わった。
診察受付に戻り、別室で日帰り手術の説明を受けてサインした。
一つ、母親に聞いておけと言われた事を聞き忘れたので
先生への質問をお願いすると、先生が私のいる別室に来てくれて
横にあった診察ベッドにもたれて両手をつき、
お尻からベッドに飛び乗って(小学生みたいでかわいい)
「何でしょ?(ニコニコ)」と聞いてきたので、
「乳がんの手術した方とか、筋肉や筋に関わる所を切ると
腕が上がりにくくなるとか聞いたんですけど私はどうですか?」
と聞いた。
私の場合は特に筋肉とは関係ない所なので「問題ないよ!大丈夫!」
とのことだった。良かった。
ありがとうございました、宜しくお願いしますと挨拶し、
帰路についた。
でもその1週間後、
新型コロナウィルス による「緊急事態宣言」により
手術が延期になることはこの時はまだ思ってもいなかった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?