婚姻編 10回目 ⑭
では、実際に届出をする場合には「どこに」「どうやって」
届出をすればよいのでしょうか?
この場合、日本人と外国籍の方とでは届出をする場所と方法と
が異なる部分があります。
日本人の場合
戸籍に関する届出は、原則、本籍地ですが、住所のある市区町村、
海外にいた場合でも、戸籍法に定める届出義務がある身分行為が
発生した場合は、特例的にですが在留している国の日本大使館、
日本領事館に届出をすることができます。
もし、在留している国に、日本の大使館や領事館がない場合は、
郵送にて本籍地の役所へ提出することも可能です。
戸籍の届出については、本人が必ず役所に出向いて本人が
届け出なければいけない。という原則はとられていません。
(明治31/7/26民刑569号)
ですので、
日本の家族などに届出書を郵送して家族に本籍地の役所へ
提出をしてもらうことも可能です。
(明治31/9/28民刑975号)
日本の行政システムからすると、かなり届出者のための利便性を
重視しているのがわかるかと思います。
それは戸籍法の届出というものをそれだけ重視していることの
裏返しでもあります。
ですので、日本人の場合は届出義務を懈怠した
(さぼった、怠った)
場合の罰則規定もあります。
それだけ「大切な手続き」であるという事です。
では、外国籍の方の場合はどうでしょうか?
戸籍法の効力は日本国内において効力が及びますので
外国籍の方の場合、日本国内にいる場合に適応の対象になります。
これは陸地のみではなく、
日本の領域内ですので、海の上でも空でも同様です。
外国籍の方は、「戸籍」がありませんから、当然「本籍地」も
ありません。
従って、届出の提出先は、住所地の役所ということになります。
戸籍法には「所在地」と書かれていますが、
意味としては「住んでいる地」と考えてください。
届出書の受理や、審査、過不足書類や加筆修正などを考えると
住所地で届出を行った方が都合が良いと思います。
特に日本の行政システムに不慣れだったり、書類の種類等が
わからない場合などは家に近い方が必要な書類をそろえるのも
楽だと思われます。
※所在地とは、その者の住所地または居所地のほか一時滞在地も
含む趣旨であると解されています。
(明治32/11/15民刑1986号)