親子編 60回目 六拾弐
「嫡出子」「非嫡出子」「準正」でも
触れましたが、「認知」をする場合は、
通則の29条にて
「子の出生当時」
「認知の当時」
「父の本国法」
「母の本国法」
「子の本国法」
という基準をもって認知をする際の基準となる
法律を決めます。
ただ、「子の本国法」による場合に、第三者の
承諾または同意が必要な要件がある場合は、
その要件も満たさなければならない。
とされています。
この「第三者の承諾または同意」
これをセーフガード条項
もしくは子の保護要件と言われています。
この保護条件は、各国の法律の中で様々なものが見られます。
その書面に該当するものとしては、例えば裁判所の許可書、
母又は本人の承諾書、
親族会の同意書、
児童委員会の同意書等であるとされています。
(「戸籍」555号162項参照)
(渉外戸籍実務研究会 渉外戸籍実務の処理 251項)
ちなみに日本法の保護要件は
①成年認知時の成年者の承諾(民法782条)
②胎児認知時の母の承諾(民法783条1項)
③死亡した子の認知時に死亡した子の
直系卑属が成年者であるときは、
その者の承諾(民法783条2項)
があります。
では、他国ではどのような保護要件があるのでしょうか。
⑸タイ法上の保護要件として、
母及び子の同意が必要であり子が幼少である場合には、
子のが同意できなかった
場合に該当するとして裁判所の判決が必要です
(平成20・1・17民一157号回答、平成23・7・27民一1780号回答)。
なお
胎児認知については、同国の胎児認知の制度が存在しないため、
この保護要件に関する規定もないとされています
(平成22・6・15民一1470号回答)。
平成6年5月10日民二3025号回答では、
タイ国には保護要件に該当する規定がないとされていましたが、
更新されています。
⑹ボリヴィア共和国の場合は、
認知制度はあるものの子の保護要件の規定はないと考えられます
(平成3・7・4民二3728号回答、同日3729号回答、
「戸籍」80号71貢・77貢参照)
⑺エティオピア国の場合は、母の同意を要するとされています。
(同国民法751条1項)(平成4・7・2民二3779号回答、
「戸籍」594号73貢参照)
(渉外戸籍実務研究会 渉外戸籍実務の処理252項)
などがあります。