閑話休題
日本の現状を考えると、「外国籍の方の労働力」
というものは、今後も間違いなく必要になります。
海外情勢を考えると、大きな転換点に差し掛かっているのは
事実ですが、現状の日本の制度が劇的に変わらない限り
今後インフラの支障が出るほど人手不足になります。
特に地方部、人口減少が著しい地域に関しては・・・・・・
こと「外国籍の方の労働力」は、
様々な政治的な問題や、イデオロギー的な問題などが
山積していますが、その事についても、この場では
言及いたしません。
私の仕事の絡みであれば、「入管法」絡みの案件の話に
なります。
この入管法も、最近はある界隈でかなり大きな話には
なっていますが、これもまた政治的な話になるので
言及はいたしません。
しかし、外国籍の方の日本国内における生活すべてに
かかってくる法律は、「入管法」になります。
この入管法。
条文は、おそらく初見の方からすると、ドラクエⅡの復活の
呪文のように見えるはずです。
つまり、初見では理解不能。
解説書も各種出てはいますが、あまりに規則、細目や通知、告示が多く
そしてそれらの改正が多いので、解説書が出るころには制度が変わってる
というのがよくあるくらい多いのが特徴です。
しかし、これらを外国籍の方が正確に理解できるでしょうか?
逆に日本人が、「海外に行って働こう」と思った時、
現地の在留関係法令を熟知しているでしょうか?
日本語でも海外の言語でも、「法律用語」というのは
いわば独特の独立言語です。
それ用の表現、それ用の言葉が各所に散らばっています。
そして、たった「一言」の解釈をめぐって、学会で論争が
あるような世界です。
そんな世界の用語が使われている法令が
日本人一般男性と同じ身長くらいに積みあがる書籍や
印刷物を網羅しないと正確な手続きができないのが
入管関連の業務でもあります。
しかもそれらの書類が随時入れ替わるという
超難易度設定です。
ところが、相談に来られる外国籍の方の認識は?
というと、日本人の運転免許証くらいの感覚の人が意外に
多いのです。
「更新期間になったら、役所にいって更新手続きをすれば
良い」
くらいの感覚なのですが、なにも問題がないのであれば
それでも良いのです。
何も問題がなければ・・・・・・・・・・・・
ちょっと話を飛ばします。
最近、特にコロナ禍に入ってからの3年ほどの間で
人手不足の業界でよく行われる就労形態に
「特定技能」というものがあります。
「技能実習」という制度の次にできた新しい制度なのですが、
(厳密に解釈すると、技能実習と特定技能は全く別の確立した
制度ですが、一般的な解釈は、特定技能は技能実習の後継制度
という認識です)
こちらの「特定技能」
もし、企業の経営者の方からご相談を受けた場合、最初にお知らせ
するのは、
「社長、「人手不足」ということですが、今の倍の給料で募集をかけてみて
ください。
それでも日本人が求人に来なければ、この制度を検討された方が
良いと思いますよ」
と答えます。
つまり、この制度を「問題なく運用する」ためのコストと、手間と、
人員を考えると、日本人従業員を雇う「倍」のコストと労力を
考えなければいけない制度なのです。
この制度の人員を盛んに売り込んでくるのはブローカーですが、
ブローカーにも様々な企業がいますから一概には言えませんが、
この制度の「厳格さ」に言及するブローカーは数少ないはずです。
なぜなら、そこに言及したら、自分たちの仕事に「支障」がでるからです。
それくらい厳格に規定されているのがこの「特定技能」なのです。
ちなみにこの制度を利用する場合、
大元の「入管法」に関しても知らなければいけません。
そして、「特定技能」という制度を使うのであれば、
経営者にも熟知する「義務」があるということです。
たとえ外部の機関に委託をしてもこの制度によって起きる
全責任は、経営者になります。
「知らなかった」という免罪符が使えない制度になっているので
経営者の方には、最低限の知識を詰め込んでもらう形になります。
経営をしながら・・・・・・
コンプライアンス、ガバナンスが、非常に厳しく求められる現在。
経営者が「知らない」「わからない」「任せている」
という言葉を、使う事も、判断をすることも、企業経営に致命的な
ダメージを負うことになります。
それらへのリスク管理としても「入管法」「特定技能」に関する
知識は習得する必要があります。
それくらい厳しいものなのですが、なぜか界隈では甘く見ている
風潮が強いので、ご利用時には十分に注意をしていただければと
思います。