親子編 72回目 七拾四

海外で出生した場合の重国籍状態を放置せず、

国籍選択に一定の猶予期間を設ける制度を

「国籍留保届」と説明しました。

18歳を基準としているので、大体、日本の学校では

高校を卒業するときには、自分の国籍をどうするかを

決めなければなりません。

しかし、18歳未満でも兵役や徴兵がある制度の国も

あります。

その場合、国籍選択前の重国籍状態ですから、

その国の制度として国籍を取得して保持しているうえでは

徴兵や兵役の義務は生じます。

だ、重国籍状態における兵役をどうするかは、その国の

法律に従うことになります。

子供自身の本人の意思確認も重要ですが、各国成人の年齢や、

徴税や社会保障の加入年齢も違います。

そういったものも加味して

本人の意思を確認した時点で速やかに手続きをすることが

本人にとっても利益ですので、ぎりぎりまで選択を伸ばせば

良いというものでもありません。

それだけに、普段から子供と国籍保有国の政治や経済、

社会保障などを知識として習得して、どちらが
今後の人生に

より良い結果をもたらすかを真剣に

考える機会を作るように

する必要があります。

法律のことわざの一つに

「権利の上に眠るものは保護されない」

というものがあります。

権利というものは、促されて主張したり、自分が気にしなくても

誰かが保護してくれるものではありません。

自分で調べ、自分で勉強し、自分で主張して、自分で管理しなければ

いけないのが権利の本質です。

ですので、国籍というものをしっかり自分で考えて自分の国籍を

保護しなければいけません。

おそらく今後、国際化の中で、

様々な国籍を持った人々が今まで以上に

国内で活躍することで、国際結婚の件数も増えていくでしょう。

その中で、本当に日本国籍というもの、外国国籍というものに

正面から見つめなければいけない時がくるかと思います

それは、日本人から生まれた日本国籍をもった日本人であっても

同じでしょう。