それだけの話なのだ
先日、事業部で会社への改善提案を提出する際に、誰の案を採用するかを決める会議をおこなった。
「私は佐竹さんの社内システムにおける計上方法の簡易化に賛成です」
口火を切ったのは1年目の山下。怖いもの知らずで、真っ直ぐに意見を言う。
「俺もかなあ」
「この中なら佐竹さんの案を上げたいね」
中堅社員が続々と佐竹さんの案に賛成をする。
「いや、俺は須崎の自分の飲み物には名前を書いて冷蔵庫に入れる、が良いと思うけどな」
意見が決まりかけていた所で、思いがけない部長の1票が入る。
改善提案としては明らかにチープだ。しかし、部長の一言で形勢は逆転し、結局須崎さんの案が採用される事になった。
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角ハンガー(※注1)に洗濯バサミを使って干すタイプの洗濯物を干していく。
外側にタオル、ズボンなど面積の広い物を干していく。それは外に干しているからエチケットとして内側に干しているパンツを隠すためだ。
続々と角ハンガーの洗濯バサミが全て埋まっていく。しかし、後半に残っていたズボンを干すと、ズボンを干した方に、角ハンガーが大きく傾いてしまった。
所詮、重い方に傾くだけの話。それだけの話なのだから深く考えるだけ損なのだ。
※注1 洗濯バサミがたくさん付いている四角の物干し器具