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【クワガタ飼育】マットに潜らないメスを潜らせ、産ませる産卵セットの組み方

こんにちは!StagBeetleです。

先日、インドアンタエウスが産卵セットに潜らないので再ペアリングしたという記事を書きました。

再ペアリングはすんなりと目視することが出来たのですが、その後も2日間メスがマットに潜っていかなかったので、産卵セットを組み直すことに。

するとどうでしょう!?

組み直したら即日マットに潜って、翌日には卵を確認することが出来ました!

一体どうしてこのようなことが起きたのでしょう?

クワガタの気持ちはわかりませんが、筆者なりにメスが産卵行動をとらなかった理由について分析してみました。

メスが産卵行動をとらない理由

筆者の経験上、メスが産卵行動をとらない原因は、以下の3つのパターンが考えられます。

  1. 交尾が未成立

  2. 管理温度が合わない

  3. マットの状態が気に入らない

1.交尾が未成立

メスが産卵行動をとらない理由としてまず考えられるのは交尾が未成立だからです。

これは同居ペアリングで同居日数が短い場合に稀に起こります。
なので一般的には4日~10日程度の同居が推奨されているんですね。

ハンドペアリングの様子 交尾器がしっかりと繋がっていることを確認しましょう

でも今回はハンドペアリングで交尾を確認済みなので、交尾未成立ということは考え難い…。
ということで、他の原因を当たってみましょう。

2.管理温度が合わない

産卵セットに交尾済みのメスをいれても、管理温度が合わないと産卵しません。

アンタエウスオオクワガタの場合は20~25℃の範囲が産卵の管理温度としては適温かと思います。

前回の記事にも書きましたが、無精卵の疑いがあるとは言え、上記の温度帯で12個の卵を産んでいます。

なので、温度帯が合わなかったという線も消えますね。
ということは、マット(産卵セット)に問題があるということ。
具体的にどんな問題があるのか見ていきましょう。

3.マットの状態が気に入らない

ここで言うマットの状態とは下記のことを指します。

粒度
発酵具合
添加量
水分量
詰め圧


・粒度

クワガタの産卵には微粒子の発酵マットが向いています。

基本的に発酵マットは微粒子ですので粒子のことはあまり気にかけなくても良いですが、クワガタにとっては卵の埋め戻しがしやすい超微粒マットの方が沢山産卵する傾向があるように思います。

一口に発酵マットと言っても幼虫飼育に特化したものと、産卵に特化したもの、どちらにも使えるものがありますので、用途に応じて購入するマットを選ぶのも大事ですね。

ちなみに今回は産卵用の超微粒子マット『産卵1番』を使用しているので、粒度が問題で産卵行動をとらないということではなさそうです。


・発酵具合

次にマットの発酵具合に関してですが、アンタエウスに関しては1次発酵でも2次発酵でもどちらでも産みます。
したがって、市販のクワガタ用産卵マットなら問題なく産むはずなのです。

しかし、1点だけ注意しなければならないことがあります。

それは産卵セット内での再発酵。

もし、産卵セットから発酵臭(アンモニア臭や酸っぱい臭い)が発生していたらマットが再発酵している証拠です。

この場合は、ガスが発生していて酸欠を起こす可能性があるので、早急に産卵セットを解体し、中のマットをトロ舟などにぶちまけて、発酵臭が消えるまでガス抜きをしましょう。

なお、今回の産卵行動をとらない原因として最も可能性が大きいと疑ったのがこの再発酵。
ですが、発酵臭は確認できませんでした。

今回の再セットにあたっては、念のためトロ舟にひっくり返したマットをよく攪拌し、空気に触れさせてから再セットすることにしております。


・添加量

発酵マットには幼虫飼育用に栄養価を添加したものがあります。

クワガタの種類によっては添加量が多いマットを嫌う種類もありますが、アンテやヒラタに関してはそこまでシビアにならなくても良い印象です。

個人的にアンテやヒラタ、ノコギリ、ニジイロの産卵におススメなのが『産卵1番』『アンテマット』と言うマットです。

産卵1番(フォーテック)
無添加の1次発酵マット
クワガタの産卵用に特化したクヌギ100%の超微粒子のマットで、幅広い種のクワガタの産卵に適している。
無添加なので幼虫飼育には向いていない。

アンテマット(BIGHORN)
クヌギやナラ等の広葉樹を使用した微粒子マット。
栄養を添加した2次発酵マットで、クワガタの産卵から幼虫飼育まで幅広く使える。

で、今回は『産卵1番』を使用しているので、添加量が多すぎて産まないということも考えられません。
したがって、残る問題は水分量と詰め圧ですね。


水分量

クワガタはカラカラに乾いたマットには産卵しません。
適度な水分量が必要です。

具体的には、マットをギュッと握ると団子状になり、水がわずかに染み出てくるくらいが理想です。

先ほど紹介した『産卵1番』は、購入した状態ではやや水分量が少ないことが多いので、適宜加水して使うと良いでしょう。

今回の場合は、最初に産卵セットを組んだときに加水し、採卵後の再セット時にも水分量を確認しましたので水分量は問題ないはず。
マット事態に異常が無いのなら、詰め圧に問題があったと考えるべきでしょう。


詰め圧

マット産みの産卵セットにはザックリ分けると2パターンの詰め方があります。

パターン1
ケースの底から表面までカチカチに詰める方法。

パターン2
ケースの底から5㎝はカチカチで、そこから表面まではそこまで硬く詰めない方法。

私はこれまで前者の方法でやっていました。

それでアンテもヒラタもニジイロもギラファも産卵してくれていたので問題ないと思っておりました。

ところがです。
今回の件で考えを改めました。

確かに表面までカチカチに詰めても産むときは産むのですが、地中に潜る取っ掛かりが無いなと思ったのです。

産卵意欲の高まったメスなら多少硬く詰めてあっても潜っていくのでしょうけれど、今回は12個産卵して意欲喪失気味になっている状態(?)。

それならば、途中まで潜り易く詰めてやれば産む気になってくれるのではないかと思い、後者のやり方でセットしてみました。

メスが潜った産卵セット。マットが2層になっているのがお解りいただけると思います

で、メスを入れたら即行で潜っていくではないですか!?

きっとこのメスも潜る取っ掛かりをさがしていたんだな(楽をしたかったのかも…)と思いましたね。

という訳で、長々と書きましたが交尾も済んでいてマットにも問題が無いのなら、詰め圧を調整してみては? という話でした。


産卵はブリードの初歩ですから失敗したくないところですが、ある意味、一番難しいところでもあります。

よく産卵の結果は運次第だという方もおりますが、運に委ねるのであればやれることをやってから委ねるべきかと筆者は考えます。

一口に産卵セットと言っても、組み方や品質は千差万別。

クワガタ(その個体)にとってどんな環境が生みやすいのか考え、試行錯誤するのもブリードの醍醐味です。

このnoteでは、今回の様なちょっとした工夫から得られた経験などを還元できればと思っております。
何か一つでも読者様のお役に立てる情報がありますと幸いです。

それではまた!

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