北村 薫 『空飛ぶ馬』 読書感想
こんにちは、ジニーです。
今回の読書感想は、北村薫さんの「空飛ぶ馬」です。
ミステリーを読みたいといろんなサイトでおすすめの作品を探していたら、人の死なないミステリーとして紹介されていて気になったのがきっかけです。
■本作の簡単な紹介
この作品の主人公は女子大生と落語家の二人です。
女子大生の日常の中で起こる、不可思議な出来事を落語家の「円紫さん」が解いていくというストーリーです。
全部で5つのストーリーからなる短編集で、先ほど述べた通り人が死ぬことのないミステリーです。
言ってしまえば、気にすることなければ人生に影響も出ることもないそんな不可思議な出来事と向き合うミステリー。
■日常で起こる謎だからこそのスッキリ感
「気にすれば気にもならない」そういった謎って、刺さった棘のようにいつまでも心の隅に棲みついて、モヤモヤさせたりするんですよね。
そして解明したときは、スッキリ感もあるんですが、時によっては何だそんなことかという感想にもなる。
でも、この空気感や爽快感は、この手のミステリーでしか感じることのできない、とても不思議な感覚です。
いろいろ力づくで一言にまとめると、「平和」。
以前読んだ、若竹七海さんの「サンタクロースのせいにしよう」はこの作品ののどかな部分をより強調したような作品ですね。
いわゆるこのジャンルにあるおんなじ匂いを感じます。
特に好きなのは、ラストの作品であり、タイトルにもなっている「空飛ぶ馬」。
この作品を象徴するような、ほっこり笑顔を誘う物語でした。
■東大王のプリンスもお勧めしてました
余談ですが、以前テレビで「東大王」を見ていたら、東大のプリンスと呼ばれる方が、中学生の「どんな本を読めばいいですか?」という質問にこの本を推薦していました。
ビックリ。
個人的には北村さんの時折ペースを乱すような書き方はちょっと戸惑ってしまうのですが、子供が中学生くらいになったときは確かに薦めたい本だと思いました。
夏の暑い日に読んでよかった。
なんとなく、爽やかな風を感じる作品だったから。
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