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奈々福とタブ純浪曲講座

 浪曲師・玉川奈々福さんと元マヒナスターズのメンバーにして昭和歌謡の伝道師・タブレット純さんのコラボが再び実現した。
 2024年10月6日(日)、「玉川奈々福の浪曲講座withタブレット純」がよみうりカルチャーセンター荻窪で開かれた。
 三味線の音が教室に流れると着物姿のタブレット純さんが登場して、細川たかしの「浪花節だよ人生は」を歌った。
 「今日の衣装は浅草で買ってきました。古着で2000円、帯は500円でした」とタブ純さん。
 そしてタブ純さんが奈々福さんを呼び、登場した。
 奈々福さんが話をした「この世界に入った時は全然目覚めていなかったんです。浪曲って二人の芸で、唸る人と三味線弾きの二人。昔はすごい盛んで、落語家が今史上最高で900人いるそうですが、浪曲はかつて全国で3000人いたそうです。昭和18年のことです」。

長者番付トップ10のうち6人が浪曲師
 「確か昭和22年の芸能人長者番付のトップ10のうち6人が浪曲師だったんです。稼げるからって農家が口減らしで子どもを浪曲師にしたりしたそうです。唸りでものにならないと三味線弾きになったとか」。
 奈々福さんはもともとは筑摩書房の編集者で、文学全集などを作っていた。「浪曲(親友)協会が近くにあって、三味線を貸してくれたり、ウェルカムな感じで、やる気のある若い人をピックアップしていた」。
 「蟻地獄になってしまった」。
 タブ純さんも思い出話になった「父がよくカセットテープで浪曲を聞いていて、それを夢うつつで聞いていたら不思議に荒唐無稽な話で、いつ死んでもいいような人ばかりのすごい世界で、面白いなって思っていて、そういう下地はあったんです」。
 奈々福さんはそれに対して「だからマスターが早かったんですよ」。
 タブ純さん「やってみると楽しかった」。
 奈々福さんは「浪曲って譜面が全くないんですよ。純さんも完コピは出来ていないんだけど、結果として出て来たものが浪曲として成立しているかどうかということでした」という。

節を曲師に渡すというアドリブ
 浪曲の習得について、「基本の節(ふし)は習いますが、それを応用していくんです。その節を三味線を弾く曲師(くせし)に渡すんです。そうしたら弾いてくれる。そういう意味ではアドリブです」と奈々福さんは話す。
 節とは歌の部分を指し、啖呵とはセリフのことをいう。
 奈々福さんは1995年に二代目玉川福太郎氏に入門。当初三味線の修行をしていたが、勧めもあって浪曲の勉強もするようになった。
 「こんなに後輩がいるようになるとは思わなかった。でもそれまで10年くらいは一番下だったんですよ」と奈々福さん。
 ここでタブ純さんが浪曲をひとつ唸った。
 「清水次郎長伝」だ。
 ステージに向かって右側に曲師として三味線を抱えた奈々福さん。中央の縁台に浪曲師のタブ純さん。
 終わると大きな拍手に包まれた。
 タブ純さんは「芸事全般が好きなんですよ。楽しいんです。登場人物も楽しい」と話すと、奈々福さんも「愚かな人が多いけど、魅力的なんですよね。でも現実には関わり合いたくない」と言って笑った。
 そして奈々福さんによるワークショップ。浪曲の歌い方つまり言葉の歌い方のコツのようなものについて説明があった。
 参加者たちもそれにチャレンジした。
 最後に、今度はタブさんが「教える側」にまわり、奈々福さんがムード歌謡をタブ純さんとデュエットした。マヒナスターズと松尾和子の「誰よりも君を愛す」を二人で歌い、講座は締めくくられた。


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