見出し画像

6・12原子力規制委会見

 核燃料の検査や開発を行っている日本核燃料開発(本社:茨城県)において求められている点検を行っていなかったうえに点検を実施したかのような嘘の記録を作成していたことが発覚した。
 原子力規制委員会の山中伸介委員長は2024年6月12日(水)の定例会見で同社の社長を呼んで委員会としての抗議を伝えるとした。
 燃料貯蔵施設の扉について未点検を点検したと虚偽の記録を作成していた旨の連絡が同社からあった。同様のケースがホットラボ棟に設置されているセル負圧警報計器に関して、また放射性廃液タンクの内面検査に関してあった。これらの不正は2009~2022年度に行われた。
 同社では火災報知器の点検での不正がおよそ20年にわたり行われていたことが2021年にも発覚していた。
 今回の事案は、4段階で下から2番目の「深刻度3」との評価が下った。
 山中委員長は「3というのは極めて深刻度のレベルが高い案件だと考えており、事業者としてもその深刻度を感じて対応してもらいたい」という。

日本核燃料開発の施設


 これらは一人の担当者によるものだとされたが組織の問題ではないかとの質問があり、これに対して山中委員長は「本件は職員一人の問題というより、長期間にわたり点検の不正を見逃した組織の問題であり、組織として真剣に受け止めて是正を図ってほしい」と述べた。
 親会社2社ー東芝エネルギーシステムズ、日立製作所ーへのアプローチを問われた山中委員長は「今回の事案は親会社にもある程度サポートして頂く必要はあるが、まずは事業者自身にしっかりと是正してもらうことが大切だと思うし、検査の中でしっかりと見ていきたい」と話した。
 日本核燃料開発は約60名の会社で、半数が研究者・技術者。かなりの人数が親会社2社からの出向者で占められている。
 さらに不正が繰り返されて行くのならば「何らかの措置を考えなければいけないと思います」と山中委員長。
 ALPS処理水すなわち原発から出た汚染水を処理して核物質をある程度除去した水についても質問が出た。
 東京電力は今回求められている以上の内容の自主的な成分発表を行ったが、「今後もALPS処理水の放出が30,40年続くのならば、ヨウ素129といった半減期が非常に長いものもあるので、今回のような発表を東電に続けてもらうべきではないか」と訊ねた。
 山中委員長は、これはあくまでも「自主的な行動」であって、委員会としては放出が基準の中で行われているかを「検査の中で確認をしてゆく」との立場を表明するにとどまった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?