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12・18原子力規制委会見
このほど公表された新しいエネルギー基本計画案について原子力規制委員会の山中委員長は2024年12月18日(水)の定例会見で規制当局としては個別の利用政策に物申すことは控えるとしつつも、明確に言及された建て替え原発については対応していかなければいけないと述べた。
新エネルギー基本計画は原発の建て替え方針を初めて記し、廃炉した原発の敷地内での建て替えに加え、同じ電力会社の別の原発敷地内での建て替えを認める方針に初めて言及している。
同委員会はすでに電力会社とは意見交換を始めているという。
ただ「利用政策がどのように変更になっても審査、検査を厳正に進めていくという点についてはこれまでと何ら変更はありませんし、規制の個別的改善は進めていかなければならないし進めていくべきだと考えています」と山中委員長は話した。
少し欠けていた規制に関する説明
また、国民との対話の重要性に関して、山中委員長は「これまで規制当局が規制について説明することに少し欠けていたという認識で常々おります。そういった意味で国民の皆さんに規制をよく理解して頂き、そういう対話の場をよりこれまで以上に設けるべきとの認識です」と述べた。
かつて住民説明会というと保安院と経産省が一緒に行っていた、つまり規制側と推進側が同じ席で説明をしていた点について質問があった。同委員会が設立された目的もこの2つの側の分離で規制側に独立性を持たせるため。
山中委員長は「推進側からの独立性については十分配慮したうえで説明会をしていきたいと考えています」。
「住民の皆さんにわかりやすく説明して理解して頂くことが必要だと思いますし、万が一事故が起きた時にどのような対応をして頂くかという一点についても原子力発電所への規制について理解して頂いたうえでいろいろな判断をして頂くことが必要だと思っています」と説明した。
新エネルギ―基本計画では2040年度までに発電量に占める原発の比率を20%に高めるとしているが、これを達成するには建設中のものも含めほぼすべての36基を稼働させないといけないと記者から指摘があった。
これに関しては規制当局としてはコメントを控えると話した。
同委員会の審査の長期化についての指摘があることから山中委員長は次のように述べた。「現状で非常に長い時間かかっているサイトは自然ハザード審査が非常に難しいサイトだ。事業者の対応、審査の進め方、両方が審査に要する時間を決めている要素だと思います」。
そのうえで「審査に改善すべき点があれば改善を続けていきたいが、技術的な評価や議論はこれまで通り厳正に進めていくのは変わらないと思います」と山中委員長は強調した。
圧力があっても安全が一番大切
また、北海道電力泊原発の再稼働が次世代半導体の量産を目指しているラピダスへの電力供給の必要という要素に左右されてしまうのではないか、またそういう暗黙の圧力のもとで現場は声を上げづらくなるのではないかと問われて、山中委員長は「利用政策側の非常に大きな圧力が仮にかかったとしても安全に対する取り組みをおろそかにしてもらっては困るという気持ちでいます」という。
そのうえで「事業者にもそこが一番大切だという認識でこれからもやっていただきたい」と付け加えた。
先週、中国電力島根原発2号機で重大事故時に使用する原子炉の水位計が計測できなくなったが、実際はトラブルはなく運転員が計器類への理解不足による誤認からだったと判明した。
山中委員長は特に安全上の問題はないとしつつも職員教育を通じたレベル維持向上の必要性に言及した。
「教育不足、認識不足、そういうところに(原因が)あったと理解しています。オーバースケールの意味、この水位計はどういう意味を持つのかを十分理解したうえで判断して頂く必要があると思います」。
さらに東電柏崎刈羽原発(新潟県)6号機の再稼働認可の見通しについて、問題がなければ数か月後には認可出来るだろうと山中委員長は話した。
昨日で保安規定審査はほぼ終了し、申請書の見たうえでそれを了承してからの認可という運びとの説明が事務方からあった。