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原子力規制委2.7会合

 2024年2月7日(水)に行われた原子力規制委員会会合では委員たちから緊急時の情報発信の問題やモニタリングポストでデータ測定情報が得られなくなった通信の問題について発言が相次いだ。
 石渡明委員から「すでに(能登半島)地震から1か月以上たっているんですよ。ホームページで情報をまとめて掲載する予定だといいますが、動きが鈍すぎるんじゃないですか」との厳しい意見が出た。
 また「規制庁のホームページも変わりなく、個々の発電所の問題について、トップページから直接アクセス出来ない」と石渡委員は指摘した。
 これに対し広報室から、ホームページにリンクを貼って特設ページを作るの説明があり、「今週中には公開したいと考えている」と話した。
 伴委員からは、いわゆる「プッシュ型」で緊急情報を知らせる民間のアプリもあることが挙げられ、「そういうところから学んだり、場合によっては連携すること」を考える必要があるのではないかとの発言があった。
 山中伸介委員長から緊急時広報について「早急に改善してほしい」と要請があった。広報は「取り組んで改善していきたい」とした。

モニタリングポスト欠測問題
 今年1月1日に起きた能登半島地震の後、北陸電力志賀原発周辺の放射線を測るモニタリングポストのデータが確認出来ないトラブルが起きた。 
 現在の原子力災害対策指針では、事故発生時には原発から5キロ圏内の住民は避難を、5-30キロ圏内は屋内退避をするように定められている。
 今回の地震では志賀原発の30キロ圏内で多数の家屋が倒壊し、避難計画の基になるデータを取るモニタリングポストの不具合が起こったが、この原因についてほぼ通信の問題だったと確定されたとの報告があった。
 対策として、新たな測定器の開発・導入による「通信の信頼性向上」、市販ドローン搭載可能な小型測定器やトラブルが起きている箇所へ機動的に設置することが可能な軽量測定器の開発・導入による「放射線モニタリングの多様化」が杉本孝信・長官官房緊急事案対策室長から説明された。
 また、「ふわっと上昇してすーっと飛ぶ」無人機である機動性の高いドローンVTOL機の導入を機動的な対応のため検討するという。
 だが、伴信彦委員から「VTOLは平たんならば大丈夫でも複雑な地形ではやってみないと分からない」との指摘があった。

富山県氷見市上余局周辺の様子(1月2日撮影)ー会合資料より


 志賀原発1号機非常用発電機の試運転中の自動停止については、電源構成の変更や試験手順の見直しによって1月29日に起動試験を再び行ったうえで復帰しているとの説明があった。
 これに関して杉山智之委員から、電気というのは「組み合わせ」が問題であるとの話があり、「単につながっていれば動くわけではない。今回も電気的な理由で停まってしまった。電気の専門家にちゃんと確認していただくことが重要」だとの発言があった。通信が「総倒れにならない工夫をしてゆくことが大事」と杉山委員は言った。

津波の高さの想定は変わらず
 今後10年のリスクマップ策定に関連して東京電力福島第一原発における津波の高さの想定について、石渡委員から今後の予定の中に新たな防潮堤などの建設予定がなどが含まれていないがどうなっているのかと質問が出た。
 これについて岩永宏平原子力規制部東電福島第一原子力発電所 事故対策室長は「建屋取水については(対応として津波で入ってこないように)開口部を閉じることで、(津波対策は)完了しているとみている」と述べた。
 さらに、「津波の引き波で(建屋の)中身が出て行かない」ようにするなどの基本的対策が東電によって「自主的」に取られているとの説明が岩永室長からあった。
 津波の一番高い想定は引き続き20メートルなのか問われて、岩永室長は「今も生きています」といい、建屋取水に注力していて、津波の「高さについては問題ないというところにきている」と話した。

 (冒頭写真は1月5日に撮影された石川県旭町局の様子=会合資料より)
 
 



山中伸介 田中知 杉山智之 伴信彦 石渡明 

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