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昭和歌謡おかゆ&タブ純

 2024年9月14日(土)、「おかゆの昭和歌謡withタブレット純」というライブが東京・赤坂のJazz Dining B-flatで開かれた。スペシャルMCとして元NHKアナウンサーの宮本隆治さんも加わった。
 定刻の午後6時15分になると宮本さんがステージに現れた。まずはおかゆさんとタブレット純さんの簡単な紹介。
 「おかゆさんは今日本で一番注目されている女性歌手です。何といってもその歌唱力と歌える歌のジャンルの広さです」
 「タブレット純さんは、しゃべる声と歌う声とのギャップが凄くて、どういう声帯をしているのか知りたいぐらいです」


 ここでおかゆさんが白いドレスで登場した。
 この3人は昨年12月17日に茨城県日立で共演した。その時は作曲家・吉田正作品を歌うコンサートだった。
 ここでおかゆさんから近況報告があった。「おととい西川峰子さんと三田明さんと食事をしたんです。吉田正先生のことを知りたくて一時間くらいずっと質問しちゃったんです」
 「西川峰子さんに「ギター流してこんばんは」っていう作品があるんです。流しの曲なんですよ」
 それで吉田正さんの話を聞くと「先生に歌を教えてもらったことは一度もないっておっしゃるんです。先生は人の心を学びなさいとおっしゃっていたそうです。例えば靴の脱ぎ方とかお父さんお母さんに教わるようなことを先生に教わったというのです」
 「意外だったんです。心を学んでこいっていうことはすごく印象に残っています」とおかゆさんはいう。

吉田正さん


 ここからおかゆオンステージとなった。
 一曲目はちあきなおみの「朝日楼(あさひろう)」だった。これはニューオーリンズの女郎屋のことを歌っている作品だ。
 「私が一番好きなのは高橋真梨子さんです。今は天国にいる母も好きでした」と言ってペドロ&カプリシャスの作品を3曲続けた。
 まずはデビュー曲「別れの朝」。この時点でのボーカルは高橋真梨子さんではなかったが、高橋さんは後に歌うようになる。
 続けて「五番街のマリー」と「ジョニーへの伝言」だった。

ペドロ&カプリシャス「別れの朝」


 「昭和ムード歌謡を歌おう」となって、「でもこれはそうなのかな?」といいつつ選んだのは鶴田浩二の「傷だらけの人生」。
 セリフ入りでおかゆさんが歌った。
 おかゆさんがインディーズ時代にテレビで歌った時に加藤登紀子さんから「いつか、あなた、シングルで出したらいい」と言われたのだそう。
 次は古都清乃の「和歌山ブルース」。続けて、奄美大島のことを歌った、三沢あけみの「島のブルース」だった。
 しかし、途中でハプニングがあった。まだ着替える前のタブレット純さんが、赤いスヌーピーのTシャツと短パン姿で楽屋からステージに乱入した。
 何でも「島のブルース」は三沢あけみとマヒナスターズが歌ったからだという。そう、タブ純さんは和田弘さんに認められて、マヒナスターズに加入して短期間ではあったが在籍したことがあるのだ。
 歌い終わるとタブ純さんはおかゆさんの親衛隊の方を向いて「おかゆさんファンは憮然しているみたい。大丈夫ですか?何だこいつはって(思ってるみたい)」と話すと会場から笑いが起こり、受けていた。
 タブ純さんが引き揚げると、おかゆさんは門倉有希の「ノラ」を歌った。
 おかゆさんは「これからも昭和歌謡を大切に唄い続けていくことが私の使命だと思いますし、自分自身を助けてくれる、高めてくれるのは昭和歌謡ですし、昭和歌謡から人生を学んでいます」と話した。
 ここで松尾和子の「再会」を披露した。続く曲は青江三奈の「伊勢崎町ブルース」。おかゆさんのコーナーの最後はオリジナルで「歌の中に昭和歌謡のワードを散りばめた」という「渋谷ぼっちの歌謡曲」だった。

おかゆ「渋谷ぼっちの歌謡曲」


 再びMCの宮本さんが登場し、スペシャルゲストのタブ純さんが紹介されると、タブさんは紫のスーツでステージに上がった。
 宮本さんとタブさんが短いトーク。タブさんは「檀ふみに似ていますね」といきなりのジャブを繰り出した。続けて「メイクしたら優しすぎる能面」。返す刀でおかゆさんのことも「実写版さざえさん」ときた。
 最初に歌ったのはフランク永井の「東京カチート」。
 続けて石原裕次郎の「俺はお前に弱いんだ」。
 そして英語の歌を2曲続けた。
 フランク永井の「シックスティーン・トンズ(16tons)」とヘンリー・マンシーニによる映画音楽「ムーンリバー」。映画「ティファニーで朝食を」ではオードリー・ヘップバーンが歌っている。
 ここで似顔絵を片手に物まねを「芸人」タブ純が披露した。
 まず近くのTBSということで森本毅郎、大沢悠里など、その後、ニッポン放送やテレビのアナウンサーなどの物まねをした。
 最後は「新作」(?)で田中角栄だった。
 ここでタブ純さんはギタレレを手にして、ロス・インディオスの「コモエスタ赤坂」を歌った。

ロス・インディオス「コモエスタ赤坂」



 続けて、亡くなっていたことが分かった敏いとうさんを追悼するために敏いとうとハッピー&ブルーの「わたし祈ってます」。
 歌う前に敏さんの思い出話となり「4年くらい前に仕事でインタビューしたんですが、デニーズで担担麺を食べながら話してくれました」
 そして「ゴッドヒコザ」というタブ純さんが出演した特撮ヒーローものの主題歌を左右に走り回り、最後はジャンプとアクションたっぷりに歌った。
 このヒーローはムード歌謡を聞くと巨大なこけし型ロボット「ゴッドヒコザ」になるという、「お馬鹿監督」河崎実さんの作品に登場するのだ。
 タブ純さんのコーナーのラストは、加藤登紀子さん作詩作曲の「母よ」。
 登紀子さんがタブ純さんのリサイタルに来た時に偶然会ったタブさんの母親を見て作ったのだという。しっとりと歌った。
 宮本さんが戻って来て、遠慮しつつ(?)フランク永井の「お前に」を歌った。なかなかの喉を聞かせてくれた。
 おかゆさんがステージに再び現れて、宮本さんと一緒に松尾和子とマヒナスターズの「東京ナイトクラブ」を歌った。
 そして2人に、着替えてきたタブ純さんが加わった。衣装は紫のスーツ。

宮本隆治さん、おかゆさん、タブレット純さん


 歌うはおかゆとタブ純さんで松尾和子とマヒナスターズの「グッドナイト」。そしてもう一曲マヒナの「誰よりも君を愛す」を一番のメインをタブ純、二番をおかゆ、三番を宮本さんの順番に歌ったのだ。
 最後は「いつでも夢を」。これは橋幸夫と吉永小百合のデュエットだが、宮本さんは橋幸夫のまねをしながら歌った。
 最終盤は3人の前回の共演の縁もあって、吉田正メロディーを続けた。
 これでおよそ2時間の昭和歌謡ムードが会場に広がり、タブさんたちのジョークの応酬が愉快なステージが幕を閉じたのだった。


 

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