小説家・童門冬二さん死去
小説家の童門冬二さん(本名:太田久行)が今年6月に亡くなっているようだ。家族から関係者が聞いた。96歳だった。葬儀は近親者のみで行われ、家族の意向でお別れの会などは開かれない見込み。
代表作の一つは江戸時代後期の米沢藩主を描いた小説「上杉鷹山」(1993)。上杉は倹約を励行して危機的状況にあった藩の財政を立て直した物語は広くサラリーマンなどに読まれることとなった。
佐久間象山、沖田総司、西郷隆盛、ジョン万次郎、福沢諭吉、勝海舟、織田信長など歴史上の人物をもっぱら描き、人気を博した。
都庁時代など40年を超える公務員経験を活かし、組織論や生き方などについても執筆するなど、多作で知られた。
東京の下町に生まれる。東海大学附属旧制中学卒業。海軍少年飛行兵(予科練)の特攻隊に入隊するものの、出撃しないまま終戦を迎える。
目黒区役所に入るものの、のちに東京都に入庁し、美濃部良吉都知事のブレーンとして活躍。美濃部が退任すると都庁を辞めて専業作家となった。 1960年には「暗い川が手を叩く」で芥川賞候補となる。
晩年も意欲的に執筆を続け、亡くなる半年ほど前までNHKラジオ深夜便の月刊誌にコラムを書いていた。