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今再び、ビートルズのチカラ! 

 今年元旦の能登半島地震を受けてビートルズのチカラ!が再び立ち上がった。これはビートルズの音楽によって被災住民たちの気持ちを癒し、集まったおカネを被災地支援にあてるプロジェクトだ。
 ビートルズのチカラ!は2011年3月の東日本大震災・東京電力福島第一原発事故の後、発足し、今年で13年目。
 そのビートルズのチカラ!が2024年4月28日(日)、栃木県足利市で「能登半島地震復興支援」と銘打った音楽イベントを開催した。

 今回のビートルズのチカラ!のポスター


 ライブハウス「Club South BBC」(足利市永楽町7-11)にてビートルズのトリビュート・バンド9組が演奏した。
 今回が26回目のツアーライブで、2023年12月末時点での寄付額の総額は320万円を超えている。
 今回も会場内でTシャツ、トートバッグ、ピンバッジなどのグッズ販売を行い、収益金を能登半島地震の被災地への支援寄付金とする。
 それに加え、能登からはいわしのぬか漬け、天然めかぶ、ごり佃煮、また南三陸からも海藻類が売り場に並んだ。

「ビートルズのチカラ!」グッズ売り場

 「ビートルズのチカラ!」のGenky松浦代表が挨拶に立った。

挨拶するGenky松浦代表


 「グッズ販売をしています。売り上げを被災地へ還元していこうということです。今日はプロのミュージシャンにも参加いただき、特別なバンドを組んで頂きます。アマもプロもノーギャラです。そういうイベントです」。
 挨拶の後、被災地の映像を見た。3.11当時の写真。そして今の福島第一原発、福島県双葉郡楢葉町、富岡町、大熊町、浪江町の映像がビートルズの楽曲をBGMに映し出された。

  3.11後の現地の様子
3.11後の現地の様子

 トップバッターは足利市のSilver J Beatles
 初っ端は「Stand by me」。続けて「デビュー前にキャバーンでやっていた曲」で「Some other guy」。続けてポールがこれまたデビュー前に取り上げていたリトル・リチャードの「Oh My Soul」。
 ここでスローダウンして「You've really got a hold on me」。そしてジョンが歌っていたフィル・スペクター作品「To know her is to love her」。 

Silver J Beatles

 次は1962年元旦に受けたデッカ・オーディションでジョージが歌った「Take good care of my baby」。このオーディションは結局受からなかった。続けてボツになったシングル候補「How do you do it」。そしてデビュー前のレパートリー「I'm gonna sit right down and cry over you」。
 ここで甲虫楽団のミート鈴木さんがステージに呼ばれた。そして一緒に演奏したのは「I saw her standing there」だった。

歌う甲虫楽団のミート鈴木さん

 2組目のバンドはYohn Lenno(埼玉県)。オープニングナンバーは「Elenor Rigby」。続けてTV映画「Magical Mystery Tour」の終盤で使われたポールの「Your Mother should know」。
 ここでMCがあったー「被災地に勇気と希望を届けて来たビートルズのチカラ!は、13年間チャリティ・コンサートを開いてきた。我々も埼玉支部ということで参加させていただき誇りに思っています」。
 歌に戻って『Rubber Soul』から「Girl」、ビートルズ最新シングル曲「Now and Then」、その後は「Penny Lane」、「Something」と続いた。
 Yohn Lennoのステージは「The long and winding road」で締めくくられた。
 

Yohn Lenno  
Yohn Lenno

 次に登場したのは男女混成の3人ユニット「Blackbird Singing」。MCが「アンプラグド的なユニットです」と紹介した。
 1曲目は「Nowegian Wood」。「イギリスではblackbirdを見ると幸せになるといわれていて、皆さんにも幸せになってほしいということで名づけたユニット名です・・・今日は静かな曲多めでお届けしたいと思います」。
 そしてユニット名にも取られている「Blackbird」が演奏された。ポールの1枚目のソロアルバム『McCartney』収録の名曲「Junk」が続いた。

Blackbird Singing

 ビートルズ2枚目のオリジナルアルバム『With the Beatles』から「All I've got to do」を披露した。ポールの89年の『Flowers in the dirt』から「Put it there」。これはポールの父ジムの口癖で「ほっておけ」の意味。
 それからジョンの「Out the blue」。これは73年のアルバム『Mind Games』に収録されていた隠れた名曲だ。ジョンはヨーコが「突然(out the blue)僕の前に現れたんだ」と歌っている。
 Blackbird Singingの最後の曲はポールがジョンの死後、82年に発表した『Tug of War』に収録したポールならではの追悼曲「Here Today」だった。

 ここで来賓の早川尚秀・足利市長から挨拶があった。

挨拶する早川尚秀・足利市長


 「足利市は能登半島地震の後、いち早く給水車を派遣し、また上下水道の復旧を助けてきた。出来る限りの支援をしています。また現地を取材したNHK記者の助けも得て職員の研修を行っています」と早川市長。
 「困った時はお互いさま。それが日本のいいところだと思うので、引き続き、取り組んでいきたいと思っています」。
 ただ一言、3.11の後「一番困ったのは風評被害でした。栃木県北部の野菜が売れなくなってしまった。その地域の方には大変な問題になってしまう。みんなで支援していこうという気持ちになるような報道をしてもらいたい。その気持ちが全国に広がれば早い復興につながると思います」。

 続いて足利市議会議員の小林貴浩氏は「2011年、まだ規制がある中で初当選させていただきました。能登半島地震の後、1月4日に給水車を派遣してから足利市は3回送らせていただいています」。

小林貴浩・足利市議会議員から挨拶


 「足利市は災害に強いと言われています。災害時に一番大事なのは首長がリーダーシップをいかに発揮できるかです。早川市長と取り組んでいるところです。みなさんのチカラが世界に広がって災害を少しでも減らす助けになればいいなと思っています」(小林市議会議員)。
 この後、1分間の黙とうを行った。

会場で1分間の黙とうを捧げた 


 そして登壇したのはいわき市のバンド「Love&Peace」
 「原発で家族ともども楢葉からいわきへと転居せざるをえなくなり、13年間非常に苦労しています。原発の後、髪の毛が茶色になっちゃったって言ってるんです」とGenky松浦さんがバンドの紹介をした。
 演奏に入り、まずはビートルズを英国で大スターにしてビートルマニア現象を引き起こしたきっかけの第二弾シングル「Please Please Me」。
 1963年の「You really got a hold on me」、そして後期の「Oh Darling」「Don’t let me down」「Let it be」と続けた。
 『Beatles For Sale』収録の「Kansas City~Hey Hey Hey」そして締めくくりはモータウンのカバー「Please Mr. Postman」で、「能登半島頑張ろう」の掛け声も発せられ、会場は盛り上がった。

Love&Peace

  後半戦に入った。登場したのは日本でポール・マッカートニーをやらせたらこの2人だろうといわれるその2人がそろい踏みだ。Naganuma(「ナガヌマッカートニー」こと永沼忠明さん)さんパウロ鈴木さん
 まずサウンドチェックでパウロ鈴木さんが歌う「The long and winding road」があった。パウロ鈴木さんは「ビートルースというバンドで36年やってます。(石川県能登半島の先にある)珠洲市に行って港の船の上でライブをやったことがありました。地震の知らせを聞いて正月からへこみました。元気を取り戻したいと思ってます」と話した。
 ちなみに珠洲原発が計画されたが地元の反対でとん挫した経緯がある。もし珠洲原発が建設されていたら・・・と誰もが思った。
 NaganumaさんはGenky松浦さんのことをまず話した「松浦さんは結構面白い人で、待ち合わせるとずっとヘフナー持ってるんです。行かなかったらずっと弾いている」。そして「どうぞ皆さん元気を取り戻してください。このイベントが続いていくように皆さんよろしくお願いします」と続けた。

パウロ鈴木さん(左)とNaganumaさん


 パウロ鈴木さんは「やる曲決めてないんですよ」と話したが、自然とイントロが奏でられて「Listen to what the man said(あの娘におせっかい)」に突入。ご機嫌なサウンドを聞かせてくれた。
 続けて「Letting Go(ワインカラーの少女)」。ギターがいないのでNaganumaさんがギターを弾いた。
 ここまでの2曲はアルバム『Venus and Mars』から。
 その次は2011年9月11日米同時多発テロを受けて、ポールが書いた「Freedom」だった。

人気者のキーボード

 ここで「ウィングスに戻ろうかな」(パウロ鈴木さん)。そして始まったのは「Silly Love Songs(心のラヴソング)」。すごいツインボーカル!!
 泣けてくるね、この2人の心のラヴソングには。会場には両手でウィングスマークを作って頭上に掲げる人がたくさんいた。この曲はウィングス76年の大ヒットでビルボードの年間1位を獲得している。
 アルバム『Wings at the speed of sound』収録。

「心のラヴソング」を歌うパウロ鈴木さんとNaganumaさん


 続けて「Venus&Mars~Rock Show~Jet」。最後のリフレインのところで財津和夫やビートルズの「Get Back」なども織り込んで「Rock Show」の終わりになだれ込んでいき、これまた75-76年のライブのオープニング・メドレーのお決まりで「Jet」へ。
 これまた涙もののすごい演奏とボーカルだった。
 かっこいいね、本当に。
 パウロ鈴木さんが「もう一曲、アンコール、アンコール」と会場を煽る。メンバー紹介があってラストナンバーは「Hi Hi Hi」だった。

 次に登場したのは弾き語りのToshiyaさん。群馬県桐生市からの参戦だ。
 1曲目は「Yesterday」。次は『Beatles for Sale』から「No reply」。

Toshiyaさん

 「For no one」を続けた。これは『Revolver』に収録されているポールの小品だが人気曲だ。「目に映る君の姿」といった表現で目が効果的に使われている、ジョンにはないポールならではの詩である。
 「この前、被災地の大船渡に行ったんです。TVで見るのと実際に見るのとではこんなにも違うんだと、予想以上でした。何に驚いたかというと建物の3階まで津波が来たと書いてあって、こんなとこまで水が来たら誰も生きてないって、足が震えてしまいました」。
 「一面が海になってしまったと。地獄というのはそういうものかなという気がしました」とToshiyaさんは話した。
 歌に戻って、『A Hard Day's Night』から「I'll be back」を歌った。
 再び『Revolver』収録のポールの作品で「Here there and everywhere」。これはあの辛口のジョンが「いい曲だ」と褒めた作品だ。
 Toshiyaさんの最後の曲は「Ob-la-di Ob-la-da」だった。

 茨城県水戸市からのバンドHoney Beatsがステージに上がった。
 最初は『A Hard Day's Night』から「Tell me why」。『Beatles for Sale』収録曲「I don't want to spoil the party」を続けた。

Honey Beats

  そして地味だけど人気があるジョージがボーカルを取るカバー曲「Devil in her heart」。『With the Beatles』収録曲だ。
 「松浦さんを知ったのは10年前なんですけど、初めて参加させていただきました。声をかけていただいたんですがなかなか(参加出来ずにきて)今日です。ぼくが住んでいる日立は海が近く、知り合いも家が流されたり悲惨なんです。3.11、うちに帰ったら冷蔵庫や本棚が全部倒れてまして、ギターが下敷きになっていて折れてました」。
 ジョン、ポール、ジョージがマイクを分け合って歌う姿が印象的な、「抱きしめたい」のB面「This Boy」。邦題は、当時東芝レコードのビートルズ担当だった高嶋弘之さんがつけた「こいつ」。
 次に披露したのは「Nowhere Man(ひとりぼっちのあいつ)」。
 続く「You're going to lose that girl(恋のアドバイス)」は映画「HELP」のサントラ収録曲だ。
 ジョンの手になる名曲「In my life」を次に演奏した。最後はノリのいい「She loves you」で締めた。

 そしてThe Beagles(東京)の演奏となった。
 まず「you're going to lose that girl」で腕慣らしした後、本番へ。1曲目は「Day Tripper」。2曲目は「Help」、

The Beagles 

 冗談を連発した後、The Beaglesが「真面目に」演奏したのは「Ask me why」。ビートルズのデビューアルバム『Please Please Me』収録曲でデビュー前からすでに演奏されていた古い曲だ。
 「おフランスの香りをみなさまにたっぷりお届けします」とのMCの後演奏されたのはもちろん「Michelle」。
 次は「さわやかに」、ジョージの名曲「Here comes the sun」。ポールのペンによる「Got to get you into my life」、そしてジョンの「Revolution」で、ドラムを中心とした疾走感がよかった。
 締めくくりは「Nowhere Man(ひとりぼっちのあいつ)」だった。

 最後に登場したバンドはThe Beatics。東京からの参加だ。
 冒頭を飾ったのはジョンのボーカルが冴える『Abbey Road』のオープニング曲でもある「Come together」。アルバムの並び順と同じでジョージの傑作バラード「Something」が続いた。

The Beatics

 「1月1日の(能登半島での)震災の少しでも復興の支援に僕たちの演奏がなればと思い、いつもビートルズからもらっているチカラをお役に立てることが出来ればと思います」。
 3曲目はこれまた『Abbey Road』からで、リンゴの「Octopuses Garden」。続いて演奏されたのは「Don't let me down」。これは「Get Back」のB面だったにもかかわらずヒットチャートに登場した。
 『Let it be』からジョンとポールがボーカルを分け合う「I've got a feeling」。そして人気曲「Get Back」。珍しくジョンがギターソロをとったことでも知られるこの歌で締めくくられた。
 最後に各バンドの代表が参加して「Stand by me」で大団円。
 今日の観客は85名と熱気あふれる約7時間の音楽イベントだった。

「Stand by me」を熱唱
ラーメン大好き小池さん
 会場のClub South BBC
 各回イベントで参加者にサインをしてもらった
 
 ボランティア団体から届いた能登の被災写真
 東北の被災写真
 熊本の被災写真
 Club South BBCの屋上
2階のテラス


 

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