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9・4原子力規制委会見

 東京電力が先日、福島第一原発2号機からの燃料デブリの試験的取り出しに着手したものの失敗し、中断・延期となったが、その件について情報公開上、東電は十分な対応をしていないのではないかとの疑問が呈されたが、原子力規制委員会の山中伸介委員長は2024年9月4日(水)の定例会見で特段問題があったとは思わないと述べた。
 デブリ取り出し失敗の原因などについて一般に知らせるよりも前に経済産業大臣への報告をするなど情報公開の点で問題があるのではとの質問に対して、山中委員長は「特に今回の問題だけについていえば、情報公開が遅いとか、正確性に欠けるとか、そのような印象は持っていません」と話した。
 「これについては(東電に)きっちりとこういう原因でこういうことが起こったと公開してもらえれば十分だと思っている」。
 「あくまでも我々は安全に注目しているが、今回の作業に安全上問題があったとは思っていません」。
 山中委員長はこうも述べた「今回のようなトラブルのようなことを経験として積んでいって今後の技術開発につなげていってほしい」。
 東電にはサイト全体のリスク低減を図っていただきたいと思っていますが、「デブリ取り出しは様々な活動の一つ」であるとの認識も示した。
 燃料デブリとは炉心溶融で溶けた燃料が金属などと混じって出来たもの。福島第一原発1~3号機で推計880トンあるとされる。
 今回の試験的取り出しは数グラム。極めて放射線量が高いため、安全上厳しい作業とされており、遠隔操作によって行われる。

女川原発2号機で燃料装荷作業開始
 また昨日(9月3日)、東北電力女川原発2号機(宮城県)の燃料装荷作業が開始されたが、これは大事故を起こした福島第一原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)であることをどう見ているかとの質問に対して、山中委員長は直接の返答を避けた。
 そのうえで、「事業者が安全第一に今後の作業を進めてほしいと思っている」と述べるにとどまった。
 使用済み燃料プールに保管してある燃料560体を原子炉圧力容器の中に入れる。水中で燃料の移動作業は行われる。
 これは11月頃の再稼働をにらんでの作業だ。

原子力資料閲覧室の閉鎖は情報公開上問題か?
 また、来年3月末で原子力資料閲覧室が閉鎖されることについて情報公開の後退ではないかとの疑問が呈された。
 山中委員長は「機材の制約あるいは機器更新コストの問題があり、一番の理由としては利用者の大幅な減少があり、このこと踏まえて閉鎖という対応になった」と説明した。
 そして山中委員長は「この対応が情報の公開性の劣化につながるとは考えていない」と付け加えた。
 総務課から、年間利用件数が5件にとどまっているとの説明があった。
 また、閲覧室の「資料はその後はデジタルおよび紙で提供してゆく」と話した。

常陽で医療用放射性物質の生産へ
 原子力規制委員会は、日本原子力研究開発機構(JAEA)が高速実験炉「常陽」で医療用の放射性物質「RI(ラジオアイソトープ)」の生産に向けた実験装置の設置を認める審査書案を了承した。
 放射性医薬品の原料となるRIは、多くを外国産に依存している。
 生産を目指す放射性元素「アクチニウム225」はがん細胞を攻撃する効果が高いとされている。
 課題について山中委員長は「水冷却炉が目視出来るのか。キャプセルのハンドリングに難しさがあるのか。今後審査の中で見ていってほしいと指示したところです」と述べた。

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