7・3原子力規制委会見
日本原子力発電の東海第2原発(茨城県)の防潮堤についての問題が指摘されているなか、原子力規制委員会の山中伸介委員長は2024年7月3日(水)の定例会見で「基礎は使えないというのが審査チームからの答えで、それに見合った設計の方針を示してほしい」と求めた。
東海第2原発の防潮堤の基礎のコンクリートが未充填、つまり防潮壁の柱が十分深く入っていない状態で、また鉄筋が変形しているなどの問題が明らかになっており、津波に耐えうるのか疑問視されていた。
また、東京電力が福島原発からの汚染水を処理して海洋放出したことにより空になったタンクの解体を来年1月にも始めると発表したが、山中委員長は「タンクの解体そのものは難しい作業だとは思いません。廃炉全体を安全に進めるためそれぞれの作業を進めて頂きたい」と述べた。
タンクを解体して空いた敷地には原子炉内から今後取り出す核燃料デブリを保管するための施設を建設することが検討されている。
「現場では廃棄物の分析、分類、安全な保管をきちんとやって頂く必要があり、東京電力にもお願いをしているところ」だと山中委員長は話した。
川内原発地元での不安の声
九州電力の川内原発1号機(鹿児島県)は本日(3日)40年の運転期限を迎え明日から20年の運転延長期間に入るが、西日本新聞(九州の大手地方紙)の記者から地元での根強い不安の声についての質問があった。
これに対して山中委員長はGX(グリーントランスフォーメーション)推進法に基づいて決められたプロセスを経ていることを強調した、
そのうえで「今、特段技術的な論点があるとは思いませんが、長期施設管理計画に特有の旧式化の問題や設計の古さの問題などもプラスアルファして慎重に申請書の書き換えを進めて頂いて、我々も厳正に審査を進めていきたいと思っています」と山中委員長は述べた。
山中委員長は日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県)の再稼働への審査について聞かれて「昨年来、論点をK断層の「活動性」と「連続性」の評価に絞ったうえで申請書を出してもらって審査を進めてきた・・・活動性については否定できないとの結論出たものと認識している」と話した。
そして7月中にも「連続性」つまり原子炉の下にある別の断層と連動して動く可能性があるかどうかーについても「何らかの結論」が出たら、「委員会に報告してもらい今後の方針について検討したい」と山中委員長。
日本原子力発電は原子力専門の会社。
敦賀原発2号機は、東日本大震災・東電福島第一原発事故から約2か月後の2011年5月から稼働を停止している。
循環器疾患のリスク評価をリクエスト
なお、同日午前に開かれた原子力規制委員会の会合で杉山智之委員と伴信彦委員が大切な発言をしていた。
「研究とか技術の範囲だけでなく社会情勢は変わっていくわけで、運転期間にしても我々は20年延長というようなことを普通に話しているけれど、日本人は人口は1億人を切って、AIも日常的にバンバン使われるようになっ、外国人労働者もさらに増えて、そういう時の技術課題って何かという議論もしてほしい」(杉山委員)。
「放射線の健康リスクに関して国際的にいま一番ホットなテーマである「循環器疾患のリスク評価」について情報収集をしっかり進めていってほしい」(伴委員)。