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リンゴの新作「Look Up」

 リンゴ・スターのニューアルバム『Look Up』が2025年1月10日(金)に発売される。これは久しぶりのフルアルバムであると同時におよそ半世紀ぶりのカントリー・アルバムとなっている。
 リンゴはAP通信のインタビューで、T・ボーン・バーネットがこのアルバムでプロデューサーを務めるようになったきっかけについて語っている。
 2022年11月、故ジョージ・ハリスンの妻オリヴィアがジョージについての詩の本のイベントをホテルで開いた時、客の一人にT・ボーンがいたのでリンゴは挨拶をして新しいEPを制作中だと話したという。
 リンゴはT・ボーンに一曲書いてくれと頼んだ。リンゴは「ポップ・ロックが来ると思っていたら、美しいカントリー・ソングだった」と話した。
 それでカントリーをやろうってなったという。
 ユニバーサル・ミュージックの公式ホームページによると、『Look Up』に収録される11曲のうち9曲はT・ボーンが単独あるいは共同で作曲したもので、残り2曲のうち一つはビリー・スワンの作、もう一つはリンゴとブルース・シュガーの共作曲。

リンゴ・スター『Look Up』


 リンゴはすべての楽曲で歌とドラムを担当しているほか、アリソン・クラウスが参加した11曲目の「Thankful」では作曲にも加わっている。
 この曲では間違いなく妻バーバラへの感謝とともに仲間たちへのありがとうの気持ちを込めてリンゴは歌っている。
 そして今幸せでこの瞬間を大切にしたいと歌い、さらには「もっと平和と愛を」という希望を歌にしているのだ。
 T・ボーンはこのアルバムのため、クラウス以外にもビリー・ストリングス、ラーキン・ポー、ルーシャス、モリー・タトルなど、現在のナッシュビルでもっとも勢いのある精鋭たちを起用。
 そのバーネットがポール・ケナリー、ダニエル・タシアン(彼はシュガーとともに本作の共同プロデューサーにも名を連ねる)の2人と共作したのが先行トラックの「Time on my hands」だ。
 それ以外の作品はタイトル曲を除くと:「Breathless」「Never let me go」「I live for your love」「Come back」「Can you hear me call」「Rosetta」「You want some」「String Theory」。
 T・ボーンは語る「「俺は記憶をたどれる限り、ずっとリンゴ・スターのことが大好きだったし、彼の演奏や、歌や、彼の美学が大好きだった」。
 「彼のあとに登場したドラマーはもれなく、ドラムに対する彼の独創的なアプローチの影響を受けている。それに彼はいつだって最高のロカビリー・シンガーだし、彼の歌うバラードも聴く人の心を揺さぶる」。
 「彼と一緒にこの作品を作れたことは、俺にとって60年来の夢が叶ったようなものだ。音楽業界で長く過ごしてきたけど、その中で俺が成し遂げてきたことはどれも、彼や彼のバンドが存在しなければあり得なかった」。
 「何よりこのアルバムは、俺や俺のような人たちに彼が与えてくれたものへの感謝を伝える作品なんだ」。

リンゴ・スター(AP通信のインタビューより)


 ビートルズのメンバーたちが生まれ育ったリバプールは「イギリスのナッシュビル」といわれるほどだった。港町だったので船員らが持ち込むレコードでカントリーやブルースやロックが盛んに聞かれていたのだ。
 そしてリンゴはビートルズ時代、アルバムで一曲は担当があり、それはカール・パーキンスらの手によるカントリー・ソングだった。
 初めてリンゴが書いた曲も「Don't pass me by」というカントリー・フレイバーの作品で『ホワイトアルバム』に収録された。
 解散後に作った2枚目のソロアルバムは完全なるカントリー・アルバムで『Beacoups of Blues』(1970)というタイトルだった。

リンゴ・スター『Beaucoups of Blues』


 それ以来のカントリー曲でのフルアルバムということで55年ぶりだ。
 フルアルバムとしても2019年以来となる。
 リンゴたちは1月半ばにカントリー・ミュージックの殿堂ともいえるナッシュビルのライマン・オーディトリアムでライブを行う予定。

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