9・11原子力規制委会見
東京電力福島第一原発2号機からの燃料デブリの試験的取り出しが始まったが、原子力規制委員会の山中伸介委員長は2024年9月11日(水)の定例会見で、まだ小さな一歩であり、より広範囲にデブリを取り出せるようになって、その性状を分析できるようにならないといけないと話した。
「デブリを取り出せて分析が出来て、初めて小さな一歩ではあるけれども重要な一歩が踏み出せたと言えるが、まだテレスコがゲートを越えて侵入した段階ですから、何か言える段階ではないと私自身は理解している」。
テレスコとはテレスコピックというクレーンのこと。
山中委員長はロボットアームによるデブリ取り出しへの期待を示した。「ロボットアームによるデブリの取り出しで広範囲にわたってデブリの性状が把握出来るようになって初めて今後のデブリの取り出し工法の技術開発とか工法の決定に関しての知見が得られるという段階」だという。
デブリの性状に関して、山中委員長は「おそらく最も需要なのは核燃料の分布がどうなっているかを把握してそれを分析してゆくことだ」という。
現在はぺデストリアル基礎部分の周辺のデブリの採取に限られる。
だが、山中委員長は将来的には「ペネトレーションから測量器具を入れることが必要になってくると思うし、必ずしもデブリ取り出しが一つの手段だとも思っていないし、多くの手段で溶融した燃料の分布を知ってゆく、そのうえで工法を決めて大規模な取り出しの技術開発を進めてゆくことが必要になってくると考えている」。
東電は2024年8月22日のデブリの試験的取り出し着手がミスによって中断延期されていたのを9月10日、ようやく着手した。2週間ほどかけて数グラムのデブリを採取する予定だ。
福島第一原発の1号機から3号機までに推計880トンの燃料デブリがある。放射線量が高く危険なため、遠隔操作による作業となる。
燃料デブリとは、炉心溶融によって溶けた核燃料が金属などの構造物と混ざって再度固まったものをいう。
自民党総裁候補の訴えに関して
また、自民党の総裁選挙に関してある候補者は原発の環境面からの視点で環境省と資源エネルギー庁の統合を訴えていることに関して、2011年の東電福島第一原発事故の後に原子力規制委員会が設置された経緯に照らすと問題はないのかとの趣旨の質問があった。
これに対して山中委員長は、同委員会としては引き続き、独立性と中立性を保って活動することが重要だとしたうえで、「その点、何か憂慮する事態があるとは理解していない」と述べた。