越路吹雪衣装展を見た
今年は稀代のエンターテイナー越路吹雪の生誕100周年。
それを記念して早稲田大学演劇博物館(東京都新宿区西早稲田1-6-1)で2024年8月4日(日)まで「生誕100年 越路吹雪衣装展」が開催されているのを、5月7日(火)に訪れた。
2009年以来15年ぶりの大規模な越路吹雪展だ。
展示会場には日生劇場リサイタル’70の映像が流されて、「ろくでなし」や「愛の讃歌」の歌声を聞くことが出来た。
越路さん(こーちゃん)は戦後、宝塚歌劇団で主役男役となり、退団後もミュージカル「アプローズ」や「結婚物語」、ストレートプレイ「古風なコメディ」、映画などに出演。
また、シャンソン歌手として広く愛された。
幼少期からファッションに興味を持ち、宝塚時代には”ベストドレッサー”と称され、中原淳一が手がけた雑誌「それいゆ」や「ひまわり」にも登場して服へのこだわりを語っている。
越路さんは1924年、東京・麹町に生まれた。
1937年、宝塚歌劇団に第27期生として入団。芸名は仕事で新潟に滞在していた父親から「越後路に吹雪が舞う」の意味を込めて贈られた。その2年後に月組公演で初舞台を踏んだ。
1951年、初の外部公演に参加、帝劇コミック・オペラ『モルガンお雪』に出演。国産ミュージカル1号だ。宝塚歌劇団を退団し、東宝専属に。
1953年、第1回リサイタル開催(ヤマハホール)同じ年、初の海外旅行でフランスへ。以来、パリの舞台とファッションに刺激を受けてきた。
1968年、初のロングリサイタル開催(日生劇場)。演出は劇団四季の創設者である浅利慶太さんで、舞台人としての越路さんの飛躍に大きな役割を果たした。越路さんはイヴ・サンローランのオートクチュールドレスを着こなすなど、衣装へのこだわりは人々の憧れの的となり、彼女の舞台に一層の輝きを与えた。東宝を離れフリーに。
1980年、最後の舞台となる『古風なコメディ』に出演。もうすぐ満65歳のサナトリウムの院長を米倉斉加年、保養にきた60歳に近いサーカス出身の独身女性リーじゃを越路が演じた・登場人物はこの二人だけ。演出は劇団民藝の宇野重吉が担当した。
公演終了後、緊急入院し、数か月の闘病後、56歳で亡くなった。
『古風なコメディ』について作詞家・岩谷時子さんは「稽古の時、ダメを出される宇野重吉先生のあとを「先生、もう一度教えてください、先生もう一度」と越路さんが追いかけ、先生がもういいよと笑いながら逃げておられた姿が、昨日のことのように眼に浮かびます」と後に話していた。
越路さんの生誕100年を記念する本展では、舞台衣装を中心に、アクセサリー、プログラム、ポスター、写真、雑誌などから、彼女の軌跡とともにスタイルへのこだわりや美意識を紹介する。
開館時間は午前10時から午後5時(火・金曜日は午後7時まで)。休館日は5月29日(水)、6月5日(水)、19日(水)、7月3日(水)、17日(水)。入館無料。
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