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1・8原子力規制委会見

 原子力規制委員会は原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分に関する規制基準の策定を今年4月から開始するが、まずは「基礎的な特性についてのデータ収集」をすると山中伸介委員長は2025年1月8日(水)の定例会見で述べた。
 「特に地下の岩石中の水の挙動、放射性物質の挙動についての基礎データを把握していくことが第一の目標です」。
 「安定した地下の構造を持った場所をどうやって選定してゆくのか、考え方をどう示すのかというのがやはり難しくなってくると考えている。その点に十分参考になるようなデータを今後取っていきたい」という。
 実際に核のごみの最終処分についての事業提案があった時に、事業者からの提案を聞きながら基準作りをしていきたいという。
 第一の目的である基礎的データ収集に「数年」かけて取り組んでいきたいと山中委員長は話した。
 最終処分は使用済み核燃料を再処理した際に生じる廃液をガラスと溶かし合わせて、専用の容器に流し込んだ「ガラス固化体」を地下300メートル以上の深さの安定した地層に埋める計画(今年1月6日付日経新聞)。

廃炉や復興に関して若者の意見を聞く
 また、山中委員長らは1月16,17日に福島を訪問し、17日には福島高専の学生に向けての講演を行う予定となっている。
 同校の学生たちは東京電力福島第一原発のペデスタルのコンクリートの劣化実験に参加しており、実際に同原発のペデスタルと同じようなコンクリートを作成している。
 一方、同高専は原子力規制人材の事業の対象でもあり、「規制委員会が福島第一原発の廃炉に対してどういうコミットをしているのか、そのあたりをぜひ講演で学生さんに話をさせていただきたい」と山中委員長。
 情報発信、対話に変化をつけ、レベルを上げていくようにしたいという。山中委員長はこうも述べた「特に福島の復興を目の当たりにされている若い方々と率直な意見交換をしてみたいというのが私の希望です」。
 そして若い方々の意見を「規制の業務に生かすことが出来るのではないかと考えている」と話した。
 山中委員長は事故原子炉内にも事故調査と分析のため入る予定だ。

広範囲に、深くデブリ採取を
 東電は今年春に福島第一原発2号炉の燃料デブリの2回目の試験的取り出しをする予定で、これについて山中委員長は「サンプリングについては一つではなくて多数サンプルを分析してどういう状態でデブリそのものが分布しているのか、きちんと調べるべき」だと述べた。
 最初と同様に2回目も「テレスコ式」といわれる釣りざお方式でのデブリ採取になるが、山中委員長は「ペデスタルの開口部付近のデブリをサンプリングすることが中心になると思うが、より広範囲に、深さ方向のデブリのサンプリングをして、今後、どのような性状のものがどのように分布しているか把握していくことが大切だと思います」と述べた。
 現状ではクリップのような方式でサンプルを掴んでくるが、「何かショベルのようなもの」ですくってくるとか「工夫してそういう技術開発は可能ではないかと考えています」と付け加えた。
 福島第一原発1号機から3号機までに推計880トンの燃料デブリがあるという。一回目の試験的取り出しでは0.7グラムのデブリを採取した。
 デブリは高放射線のためリモートでの取り出しをせざるをえない。また、取り出したデブリをどこに持っていくかなど不明な点が多い。

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