阪神淡路大震災30年企画展
来年、阪神淡路大震災から30年目の節目を迎える。
1995年1月17日午前5時46分、マグニチュード7.3の大地震が発生した。兵庫県、淡路島をはじめとする近畿圏の広域が被害を被り、犠牲者はおよそ6500人にのぼる大災害となった。
兵庫県立美術館(兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1HAT神戸内)は「1995⇄2025 30年目のわたしたち」を2024年12月21日(土)から2025年3月9日(日)まで開催する。
開催されるのは6組7名のアーティストによるグループ展だ。
この30年間に、アメリカ同時多発テロ(2001年)、東日本大震災(2011)、ロシア軍によるウクライナ侵攻(2022)、そしてイスラエルによるガザ侵攻(2023)、能登半島地震(2024)など、世界は多くの自然災害や紛争に見舞われてきた、
明るい未来を想像することはますます困難な状況となっているが、そのような時代に求められる希望とは。
簡単には答えが出ないこの問いを、それでも、あるいはだからこそ考え続けるための、ひとつの場となることを目指し、アーティストとその作品、何らかの出来事と、それらと出会うみなさんが展覧会という場につかのま集うこと、言い換えれば、今それぞれに生きる「わたしたち」こそ「希望」の出発点にならないーーそのような思いを展覧会名に込めているという。
参加アーティストは:
○束芋(Tabaimo)ー1975年兵庫県出身、長野県在住。手書きドローイングと日本の伝統的な木版画の色彩を思わせるアニメーションを用いたインスタレーション作品で知られ、現代日本社会に潜む問題をシュールでシニカルに表現する。
○米田知子(Yoneda Tomoko)ー1965年兵庫県明石市生まれ、ロンドン在住。20世紀のイデオロギーをテーマに、戦争や震災の傷跡が残る日本国内およびヨーロッパ、東欧、アジアなど幅広い地域における人々の記憶が強く残る場所を訪れ、徹底した対象へのリサーチを重ねながら制作を続けている。写真を通して土地やものに宿る歴史的真実に迫り、詩的な感性をたたえた情景の背後に幾層にも重なる記憶を呼び起こす。
○やなぎみわ(Yanagi Miwa)ー1967年神戸市生まれ、京都府在住。美術作家、舞台演出家。1993年エレベーターガールをテーマにした作品で初個展、以後国内外で個展多数。2011年より演劇活動を開始し、近代美術の黎明期をテーマに美術館や劇場で公演、北米ツアーも果たす。
○國府理(Kokufu Osamu)-1970年京都府生まれ。乗り物の形態をモチーフに、実際に稼働する動力と機能を備えた大型の立体作品を制作・発表。様々な工業製品を素材に使いながら、必要な部材を自ら作り出し、ユニークな自動車やバイクを生み出す。その後、乗り物に植物や生態系を組み合わせ、「移動」と「循環」をテーマに自然と人間の営みについての寓話のような庭や温室型の作品によって制作スケールを拡大させるが、2014年、展示作品の点検中の事故により逝去。
○田村友一郎(Tamura Yuichiro)ー1977年富山県生まれ、京都府在住。既存のイメージやオブジェクトを起点にした作品を手がける。作品は、写真、映像、インスタレーション、パフォーマンス、舞台まで多彩なメディアを横断し、土地固有の歴史的主題から身近な大衆的主題まで幅広い着想源から、現実と虚構を交差させつつ多層的な物語を構築する。
○森山未來(Moriyama Mirai)ー1984年生まれ、兵庫県出身。5歳から様々なジャンルのダンスを学び、15歳で本格的に舞台デビュー。2013年文化庁文化交流使としてイスラエルに1年間滞在、ヨーロッパ諸国で活動。「関係値から立ち上がる身体的表現」を求め領域横断的に国内外で活動を展開。俳優として日本の映画賞を多数受賞。
○梅田哲也(Umeda Tetsuya)ー1980年熊本県生まれ、大阪を拠点に活動。現地にあるモノや日常的な素材と、物理現象としての動力を活用したインスタレーションを制作する一方で、パフォーマンスでは、普段行き慣れない場所へ観客を招待するツアー作品や、劇場の機能にフォーカスした舞台作品、中心点を持たない合唱のプロジェクトなどを発表。先鋭的な音響のアーティストとしても知られる。
(森山と梅田はコラボレーションによる制作と発表を行う)
開館時間は午前10時から午後6時(入場は閉館の30分前まで)。休館日は月曜日(ただし、1月13日(月・祝)、2月24日(月・振替)は開館、1月14日(火)、2月25日(火)、12月29日(日)~1月3日(金)は休館)。観覧料は一般1600円、大学生1000円、高校生以下無料。70歳以上800円。
問い合わせは℡078-262-1011。兵庫県立美術館公式サイトは https://www.artm.pref.hyogo..jp/