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10・9原子力規制委会見

 反対意見も根強い中、東北電力は女川原発(宮城県)2号機を2024年10月29日に再稼働させる方針だが、原子力規制委員会の山中伸介委員長は同10月9日(水)の定例会見で地元との対話を改めて持つかどうかについては「まだ決まっていない」と述べた。
 同原発に関しては今年1月に地元との対話を行った。
 「2号炉については特に津波対策について慎重に審査を行い、また大きな地震を経験した原子炉ということで慎重に審査してきたところです。今後は事業者については安全第一で作業を進めて頂きたい」。
 女川原発2号機は、2011年の東京電力福島第一原発事故以降に被災地で再稼働する初めての原発となる。また、福島で事故を起こしたのと同じ沸騰水型軽水炉(BWR)としても初の再稼働となる。

革新原子炉は現行の基準の枠内で審査可能
 同日の原子力規制員会で革新原子炉(建替原子炉)について事業者との実務レベルでの技術的意見交換会の設置が決まったが、「事業者(関西電力、三菱重工、原子力エネルギー協議会)から提案があったSRZ1200について、私は改良型加圧水型軽水炉だと考えており、現行の基準の枠内で審査が出来ると考えている」と山中委員長はいう。
 「基本的な設計思想は従来の軽水炉を踏襲出来るものと考えている」。
 さらに山中委員長は「対策については福島第一原子力発電所事故を踏まえたものであることが望ましい」と付け加えた。
 現行の規制基準の枠外のことが出てきた場合についての対応を問われて、山中委員長は「委員会で議論することになると思います」といい、「公開での意見交換会」を行ってもらい「一定の事実確認が出来た段階で委員会に報告をしてもらう」という流れを説明した。
 同委員会は「リプレース原子炉」の日本語訳として「建替原子炉」という云い方を使っているが、これは「革新原子炉」の呼び名でも知られている。
 革新原子炉は現在の原子炉よりも安全性が高く燃料の燃焼効率が高い特長をもつという。経済産業省は既存の軽水炉型原発をベースに安全性を高めたタイプなど5種類を打ち出し、開発・建設を平行して進める考えだ。

山中委員長就任2年目を振り返って
 山中委員長が就任して2年となる。昨年、1年目の感想を述べたが、今年は2年目について振り返った。
 「2つ重要な案件があったと考えている。一つは昨年夏から従来規制委員会が安全上問題がないとしてきたALPS処理水の海洋放出が始まって、モニタリングも含めて順調に推移していること」。
 「福島第一原子力発電所の廃炉については、今年4月にようやく10年後を見据えたリスク低減マップが作成され、10年後に東京電力が行うことを定めることが出来た」。
 「一方、東京電力の廃炉作業でトラブルが相次いでいる。我々規制当局としてのメッセージを正確に届けるということでも、(これまでの廃炉作業は旧検査基準を使っているが)早くこれを見直してシステム改良したいと考えているところです」。
 あと、山中委員長からは今年初めの能登半島地震および集中豪雨について言及があった。同地域には北陸電力志賀原発が位置している。
 「自然災害の脅威を改めて再認識することになりました。原子力規制委員会の原点を振り返る重要な機会となったと考えています」。
 

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