雨の日に決まって思い出すこと。
雨の日と聞いて思い浮かぶのは、
あのジメジメとした空気、
けたましく地面に打ち付ける雨の音、
空を覆う暗い雲。
そして、ある一つの音楽、
『サニーサイドメロディー』のこと。
小学生の頃、徒歩40分のところにある小学校に通っていた。雨の日も雪の日も、ちょっと寝坊した日も、両親は決して甘やかして車で送ってくれたりなんかしなかった。
でも金曜日の雨の日の放課後だけ、
習い事に遅れないために、父が車で学校まで迎えに来てくれた。その道中に父のiPodから必ず流れる曲が『サニーサイドメロディー』だった
もちろん当時、EGO-WRAPPIN’だって知らなかったし、この曲名が『サニーサイドメロディー』だってことすら知らなかった。
ただ外の雨の音に反するように
『サニーサイドで待っている、君のことを思い出して』
と歌うそのフレーズが頭から離れなかった。
それから何年も、雨の日車に乗り込むと反射的に頭の中でそのフレーズが思い浮かぶ、車の窓の水滴と若き父の横顔と共に。
そしてその都度わたしは
”サニーサイド”が何なのかを考える。
日の当たる場所かな、どこかの都市かな、と。
その謎は未だ小さなわたしの雨の日の思い出と一緒に眠り続けている。