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#574 ガレの向こうにモネが。紀元前4世紀の壺の向こうにモディリアーニが。〜アーティゾン美術館〜

アーティゾン美術館に行ってきました。相変わらず1,200円という入館料が激安に感じる内容だったので、メモ。


1、何やっているの?

困った時のアーティゾン美術館(個人の感想です)。月1何かしら右脳を使う体験をすることを目標としておりますが、先週、このままだと未達!ということで、アーティゾン美術館へ行ってきました。

何やっているかもろくに調べず、突撃です。

結果、2月9日まで、というギリギリのタイミングでした。

アーティゾン美術館は基本的に3つの企画展を同時開催するスタイルです。
現在は、

「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて」
「ひとを描く」
「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 マティスのアトリエ」

の3つです。

ひとつだけでも、普通の美術館ならば立派に通用する内容です。それを、同時に3つって…
予算だけでなく学芸員さん、めちゃくちゃ大変だろうな、と毎回尊敬の念を持ちつつ拝見しております。
いったいどうまわしているんだろう…


2、とても語りきれない①

で、結果として、とても語りきれませんので、個人的に印象に残ったことをメモしてきます。

まず、「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて」です。

毛利悠子さんを、失礼ながら存じ上げず、今回初めて作品を拝見しました。

実は私が美術館を訪れる目的のひとつは普段使っていない「右脳を使う」というのがあるのですが、個人的にめちゃくちゃ「左脳」を使ってしまう内容でした。

というのも、インスタレーション作品って、その意味や意図、構造がパッと見わからないのもが多く、どうしても「感じる」というより「考える」というモードに脳がなってしまうのです(個人の感想です)。

例えばこちらの作品

毛利悠子 「めくる装置、3つのヴェール」2018-

3台のスキャナーの上に網状の布が貼られており、定期的にスキャンした画像が上のモニターに更新される、というものなのですが、ファンがある通り、都度風吹いてスキャンされる画像が変わっていく、というものです。

と、かように因果関係を追ってしまう鑑賞方法しかできない私としては(あくまで個人の感想です)なかなか「右脳」まで到達できず…

ただ、それに特段の答えが用意されているわけでもなく、同じ左脳でも問われたことのない問いに脳が接することで「普段使わない脳」を使おうという狙いはある意味達成されます。


3、とても語りきれない②

続きまして、一つフロアを降りまして「ひとを描く」。

先ほどは現代美術でしたが、こちらは「ひとを描く」の起源まで遡っての展示です。

今では当たり前の人物画ですが、そもそも、というのはいつ頃、どうやって、なのでしょうか?考えたこともありませんでした。

古代ローマの大プリニウスの『博物誌』には、コリントの陶器商の娘が旅立つ恋人の姿を残しておくために壁に影をかたどったというギリシア人の説話が書かれています。

アーティゾン美術館HPより

コリント、ですからざっと紀元前5、4世紀。現代美術からの振れ幅がすごい…

で、最初の展示も紀元前4世紀ごろの人物が描かれた壺です。
アーティゾンの(石橋財団の)所蔵品です。

そこから人物画の歴史を辿っていく展示が続くのですが、アーティゾン美術館の収蔵品に(毎回言っていますが)圧倒されます。

その一例を。

手前が紀元前4世紀頃の壺、その右奥に見えるのが、モディリアーニ「若い農夫」1918年

もうね、おかしいです。狙って撮った写真ではないのですが、後で見て笑ってしまいました(個人の感想です)。

で、大量の(というと失礼な感じがしますが量だけでなく質も素晴らしい作品ばかりです)展示の中で、これまで見たことがなかった、個人的に最も印象に残った作品がこちら。

アルベルト・ジャコメッティ「矢内原」1958年

ジャコメッティといえば、彫刻のイメージが強いのですが、絵は初めて見た気がします。うろ覚えで恐縮ですが、キュビスム、シュルレアリスムに傾倒したのち、「写実」に戻ってきた、というひとです。写実にカッコしたのは、以下のような作品だからです。

アルベルト・ジャコメッティ 「ディエゴの胸像」 1954-55年

いかがでしょう?
これは以前やはりアーティゾン美術館で撮影したものです。
今回、同じジャコメッティの肖像画を見ることができました。


4、とても語りきれない③

さらに一つフロアを降ります。
「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 マティスのアトリエ」

当然、マティスのことを触れないといけないのですが、もう2,000字になりますので、また機会があれば、ということで。

最後に、この常設展で印象に残った場面をご紹介して終わりたいと思います。

エミール・ガレ「蜻蛉草花文花瓶」1880-1900年 と クロード・モネ「睡蓮の池」1907年


ガレ越しのモネ。
なかなかでした。


5、おまけ

あと、私の大好きなシスレーも展示されていました。これ、初めて見るかも。

アルフレッド・シスレー「森へ行く女たち」1866年
地味…とか言わないでくださいませ。実物は良いのです。私にとっては。


シスレー好きに関しては以下に書いております。万一ご興味ありましたら。


最後までお読みいただきありがとうございました。
個人的なメモですが(しかも来週末までの展覧会)どこか参考になるところがあれば嬉しいです。

アーティゾンに関しては過去以下投稿しております。ご参考まで。


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